“家庭で社会を学ばせる”子どもの脳を発達させるトレーニング①
発達が気になる、不登校、すぐキレる……どんな子も「生活環境の改善」で劇的に変わります!
しつけ/育児
脳を発達させるトレーニング 家庭で社会を学ばせる
家庭で社会を学ばせる
家庭は一番小さな社会の単位です。家庭で子どもは多くのことを学べます。
例えば、子どもが周りの大人たちからお年玉をもらえるのは、親がしっかりその人たちとよい関係を築いているからです。
子どもには、「日ごろの私とあの人がよい関係を築いているからあなたたちはお年玉がもらえるのよ」と伝えてよいのです。
社会は子どもの目に見えている世界だけではないことを教えましょう。
ご近所付き合いもとても大切です。
道で会った時の挨拶だったり、子どもがおやつをいただいた時のお礼の電話やお返しやおすそ分けを欠かさず、いつもできるだけ「感謝の気持ち」を持つようにすることです。
感謝の気持ちは、今度はその人を気遣う気持ちになります。
最近の脳科学の研究では、親ザルがおこなっている、ノミ取りなどの行動を見ている子ザルの脳では、あたかも自分がノミ取りをおこなっているかのような脳神経活動が、親サルと同じ脳の部位に同じように起こることが発見され、「ミラーニューロン」と名付けられました。のちにミラーニューロンの存在は人間の脳でも確認されました。
子どもの脳の育ちには、親のふるまいが大きく影響するということです。
また、経済観念を早いうちから身につけさせることがとても大切です。
社会では、労働の対価として賃金が支払われる事実を、幼少の時からきちんと理解させるようにしましょう。
きちんとした「お小遣い制度」を敷き、なるべく早いうちから、世界全体の経済状況に目を向けた消費行動ができるようにするのがよいペアレンティングです。
私たちは、一つひとつの消費行動について、日本経済や世界経済までを俯瞰して考えるということが大切であると考えています。
生まれた時にはすでに飽和状態の消費社会が形成され、モノを使い捨てることに抵抗が少ない子どもと、子どもにかける金銭にそれほど不自由がない親の組み合わせでは、「早く自立して、自分でお金を生み出せる人間にならなければならない」という考えが自発的に起こる脳を育てることがとても難しいのです。
うまく育たなかった子の脳は、少しの人間トラブルなどをきっかけにバランスを崩しやすくなってしまい、最悪の場合は引きこもりやニートなど、社会へ自分の力で出ていくことに不安を感じる状態になってしまいかねません。
だからこそ、親が一つひとつの消費行動に責任と理由、つまりしっかりとした経済観念を持つ必要があります。
100円均一ショップで売っている髪飾りを買う時に、その100円玉がどのように細分化されて世界に流通しているのか、親子で考えてみましょう。これだけ手間暇がかかっている製品が100円という低価格で売られることの是非や、それを簡単に「100円だから」と粗末に扱うことの是非など、考えるべきことは多くあります。
成田奈緒子:発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
上岡勇二:臨床心理士・公認心理師・子育て科学アクシススタッフ。
発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。
子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。2005年より現職。
臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。
上岡勇二(かみおか・ゆうじ)
臨床心理士・公認心理師・子育て科学アクシススタッフ。
1999年、茨城大学大学院教育学研究科修了した後、適応指導教室・児童相談所・病弱特別支援学校院内学級に勤務し、子ども達の社会性をはぐくむ実践的な支援に力を注ぐ。
また、茨城県発達障害者支援センターにおいて成人の発達障害当事者や保護者を含めた家族支援に携わる。
2014年より現職。著書は『子どもが幸せになる正しい睡眠』(共著、産業編集センター)『ストレスは集中力を高める』(芽ばえ社)。
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