LDの子が見つけた「書き」への困り感への工夫・勉強法

多数派とは学び方が異なる LD当事者(Learning Difference)の工夫、学校での配慮を紹介します。

発達/発育

一般社団法人UNIVA理事
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書き

板書をICTにまかせて聞くことに集中

【診断名】・ディスレクシア
困ったこと

● 手書きではえんぴつに力が入りすぎて芯が折れる、消しゴムで紙が破れる。


● 板書は1文字ずつ黒板を見て書き、どこまで書いたか忘れる。


● せっかく書いたノートが、後から読めない。


● 手書き文字は枠からはみ出す、枠がないと斜めにずれていく。

工夫

① 漢字は形と訓読み一つだけを集中して記憶する


② アルファベットは筆記体で書く


③ パソコンを使う


④ 黒板をiPadで撮影する

自分が習得しやすい方法

小学校では授業のノートをとることが困難でした。

力加減が苦手で、えんぴつの芯が何度も折れる、ページが破れる・・・の繰り返しでした。漢字の読みも覚えられませんでした。

将来はパソコンで書くことを考えて、漢字を読む力と変換ができる力が必要だと思っていました。

まずは集中して漢字の形とその意味を表す一つの調読みだけを覚えることにして、漢字ドリルの宿題の代わりに漢字カードを使いました。

小学5年生になり板書内容が増えたこととiPadが使えるようになったことで、黒板の写真撮影を許可してもらいました。

今までは文字を書くだけで精一杯でしたが、先生の話を聞くことに集中できるようになり、授業内容が記憶に残りやすくなりました。

イギリスに留学してからは、筆記体の指導を受けました。

bとdなどの紛らわしい文字の使い分けができるようになり、単語と単語の隙間も意識しやすくなりました。

黒板に書いてあることをノートに写したら授業がわかるという人ばかりじゃないよね。先生の話を聞くことに集中した方が授業がわかる人もいるよね。みんなはどんな方法だと一番授業がわかる?見つけてみよう!
PROFILE

野口晃菜:一般社団法人UNIVA理事。
田中裕一:前文部科学省特別支援教育調査官/兵庫県立山の学校 学校長。

野口晃菜・田中裕一

野口晃菜
一般社団法人UNIVA理事。小6でアメリカへ渡り、障害児教育に関心を持つ。
その後筑波大学にて多様な子どもが共に学ぶインクルーシブ教育について研究。
小学校講師を経て、株式会社LITALICO研究所長として、学校・少年院等との共同研究や連携などに取り組み、その後一般社団法人UNIVAの立ち上げに参画、理事に就任。
インクルージョン実現のために研究と実践と政策を結ぶのがライフワーク。
経産省産業構造審議会教育イノベーション小委員会委員、文科省新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議委員、日本LD学会国際委員など。
共著に『発達障害のある子どもと周囲の関係性を支援する』などがある。

田中裕一
前文部科学省特別支援教育調査官/兵庫県立山の学校学校長。
1970 年生まれ。兵庫教育大学大学院特別支援教育コーディネーターコース修了。
企業の社会人野球チームに所属した後、兵庫県内の知的障害者施設、県立特別支援学校(知的障害)に勤務。
2014年から文部科学省に勤務。文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官を歴任後、2020年、兵庫県教育委員会に戻り、特別支援教育課副課長。

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