親の語彙力① かなづかい・送り仮名
信用度を左右する
大人でも誤りが散見される「かなづかい」「送りがな」
問
次の①〜③の文にはそれぞれひらがなが一字間違ったところがあります。正しい文になるよう、その一字を抜き出し、正しい字に書き直しなさい。
①二個づつ、袋に分けて入れてください。
②上へ下への大騒ぎとなった。
③おおさまの言葉に、みな驚いてしまった。
2015年度・明治学院中学校(第2回)一部改題 ▶答えは最終ページ
NEXTページ
「かなづかい」のミスを指摘する問題です。...
-
PREV
-
1
-
2
-
3
-
NEXT
大人でも「かなづかい」をミスしたまま気づかないでいるケースが案外散見されます。
問題の①の「づつ」はメールの文面などでよく見かけます。
ひらがなですので、変換の際に気づくことが難しいのかもしれません。
また、先日Twitter(現「X」)をチェックしていたら、ご立派な教育論をぶっていた方が「~と言わざるおえない」と呟いていました。
わたしは一瞬「え?負えない?」と混乱してしまったのですが、もちろんこれは「~と言わざるを得ない」の間違いですね。
このようなミスを目にすると、(わたしが歪んでいるのかもしれませんが)どうもご立派なその教育論自体、信用に足るものかどうか疑わしく思えてきてしまうのです。
正しい「かなづかい」で文章を書けないと相手が自分を信頼しなくなってしまうリスクがあります。
「かなづかい」といえば、「じ・ぢ」の使い分けも誤ってしまいがちです。
たとえば、「間近」「鼻血」「底力」をそれぞれひらがな表記すると、「まぢか」「はなぢ」「そこぢから」となります。
もともとは「近い(ちかい)」「血(ち)」「力(ちから)」ですから、「ち」に濁音が付く理由は分かります。
「地」は「ち」と読みますから、そういう理由で「ぢしん」「ぢめん」とひらがな表記をしてしまいたくなりますが、実はこれは間違いです。
それぞれ「じしん」「じめん」と書き表します。こちらは例外的なものとして覚えておきましょう
NEXTページ
それでは、かなづかいのミスを防ぐポイント...
-
PREV
-
1
-
2
-
3
-
NEXT
それでは、かなづかいのミスを防ぐポイントをお伝えします。
「は・へ・を」
たとえば、「わたしは高校生だ」「公園へ行く」「電車を利用する」のように助詞として用いられる「は」「へ」「を」は「ワ・エ・オ」と発音します。
先ほど指摘した「〜と言わざるおえない」の「お」は助詞ですから、「を」と書き表すのですね。
助詞以外のものとしては、「こんにちは」「こんばんは」「あるいは」「もしくは」「または」の「は」は「ワ」と発音します。
「あ・い・う・え」
長くのばす音(長音)のうち、「アー・イー・ウー・エー」と発音するものは、かなの下に「あ・い・う・え」をつけて書き表します。たとえば、「おかあさん」「おばあさん」「くうき」「おにいさん」などです。
「う・お」
長くのばす音(長音)のうち、「オー」と発音するものは、かなの下に「う」をつけて書きます。たとえば、「おとうさん」「おうさま」「こうえん」などがそうです。
ただし、以下のものは「お」と書き表すので注意が必要です。「おおかみ(狼)」「こおり(氷)」「とお(十)」「おおきい(大きい)」「とおい(遠い)」「とおる(通る)」「おおい(多い)」などがその一例です。
それ以外にも間違いやすいものとして、「たいいく(体育)」が挙げられます。「体育館」なんてつい「たいくかん」と発音してしまいますからね。
さて、「かなづかい」同様、大人であってもうっかり書き間違えてしまいがちなものに「送りがな」があります。
たとえば、「うけたまわる」「こころよい」を、送りがなを付して漢字で書いてみてください。
PROFILE
中学受験指導スタジオキャンパス代表・国語専科博耕房代表
矢野耕平
1973年東京都生まれ。大手塾に13年間勤務したのちに、2007年中学受験指導スタジオキャンパスを創立。
東京の自由が丘と三田に2教場を構える。指導担当教科は国語と社会。
中学受験指導歴は2023年度で29年目を迎える。2児の父。
法政大学大学院人文科学研究科日本文学専攻修士課程修了。
現在は社会人大学院生として同大学大学院同研究科国際日本学インスティテュート日本文学専攻博士後期課程に在籍し、認知言語学、語用論などをベースに学齢児童の言語運用能力の研究に取り組んでいる。
著書に『わが子に「ヤバい」と言わせない 親の語彙力』(KADOKAWA)、『令和の中学受験 保護者のための参考書』『令和の中学受験2 志望校選びの参考書』(ともに講談社+α新書/講談社)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(ともに文春新書/文藝春秋)、『13歳からの「気もちを伝える言葉」事典 語彙力&表現力をのばす心情語600』(メイツ出版)など。 中学受験や中高一貫校、国語教育などをテーマにした連載記事を担当し、これまでにオンラインメディアの記事を300本以上執筆(2023年9月現在)。
NEXTページ
-
PREV
-
1
-
2
-
3
-
NEXT