【掲示板の声×公認心理師】 子どもに「死にたい」と言われたら?親ができる寄り添い方と“心のSOS”の受け止め方(第2回)

「完璧でなくてもいい」、親の弱さを見せる親子関係だってあります。

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【掲示板の声×公認心理師】 子どもに「死にたい」と言われたら?親ができる寄り添い方と“心のSOS”の受け止め方(第2回)

日常の中でできる“心の回復ケア”

てつなぎ編集部
ここまでのお話から、子どもたちが日常の中で大きなプレッシャーや孤独感を抱えてしまうことがある、ということがよく伝わってきました。だからこそ、家庭という“いちばん安心できる場所”で、心が少し休まるような関わりが大切になってくるのかなと感じます。 家庭の中で、子どもの“心の疲れ”を和らげるような関わり方には、どんな工夫があるでしょうか?

「あなたがいてくれるだけでうれしい」というメッセージ

田村先生
そうですね。まずは「安心できる空気」や「肯定的な態度」ですかね。 “あなたがいてくれるだけでうれしい”っていうことが、お子さん自身に伝わるってことは、とても大事。たとえば「元気でいてくれてありがとう。パパもママも嬉しいよ」みたいな感じですかね。

“何か出来た”っていうのは、その次の段階ですから。“いてくれるだけでも大きな存在”ってことを、日常の中で意識してもらえることは大事かな。
てつなぎ編集部
確かにそこは大切な部分ですよね。ただ、疲れていたり落ち込んでいるときには、すべてを大きな気持ちで受け止められるほどの余裕がないこともあると思います。

あと、自分のつらさを見せないように、無理をして「自分ひとりでなんとかしよう」と抱え込んでしまう親も多いかと思います。そんな親御さんに、何かアドバイスありますか?

「完璧な親」じゃなくていい

田村先生
“完璧な親”になる必要はないと思うから。「お母さん、こんなことで今悩んでるんだよね」とか、「今こんなことがあって疲れてるんだよね」「仕事が大変だったんだ」っていうふうに、そのまま伝えることも大事かな。そうやって“等身大の親の姿”を見せることが、子どもにとっての大事な“生き方のモデル”になるのかなと思います。

“完璧”なモデルじゃなくて、“子どもが育ちやすい”モデル。つまり、“そんなに無理して頑張らなくてもいいんだな”って感じられるモデルに親自身がなってもらうことは、大事かなと思います。
てつなぎ編集部
たしかに、親の弱さを見せられる関係のほうが、子どもも自分の気持ちを出しやすくなりそうですね。
田村先生
そうですね。あと、失敗したら「ごめんね」って、素直に親も謝ることも大事だと思います。そういう関係性ができると、親子の間でとてもいい雰囲気ができますよね。親の感情の安定が、お子さんの安定になるっているところもありますし。

“ほどよい距離感”が子どもの安心につながる

てつなぎ編集部
本当にそうですよね。親も、人間ですからね。いい意味で適当なくらいがいいのかもしれないですよね。
田村先生
そうですね。“ほどよい”が大事。関わりすぎてもダメだし、放しすぎてもダメ。ほどよく“適当”がいい。“適切”かつ“妥当”ですからね。“適当”って言葉。
てつなぎ編集部
それ、いいですね(笑)。確かにそうですね。“適切かつ妥当”ですね。
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安心を育てる「ハグ」の力

田村先生
あと、“安心”っていう部分で言えば、日本人はあまりしないですけど、やっぱり「ハグ」。ハグを30秒するだけで、ストレスが軽減されるという研究もあるので、可能であればハグを子どもにしてあげる【※3】。小さい頃からの習慣でもいいと思うんですよね。寝る前でもいいし、出かける前でもいいし、帰ってくるどこかのタイミングでもいいし。ある種、そこは習慣にしてもいいのかなと思いますね。

ただ、年齢が上に行くとさすがに厳しくなってくるかもしれないですけどね。これは性の問題と絡んでくるところがあるので、ある程度の年齢になったら、「ハグっていうのは、仲のいい関係性じゃないとダメなんだよ」「お互いがOKじゃないとダメなんだよ」みたいなところから話をしなくちゃいけなくなる。ただ、ハグはやっぱりとても大事だなと思います。親御さんにとってもストレスの軽減にもつながりますしね。
てつなぎ編集部
確かに…これは性教育の話にもつながってきますよね。できれば、“性”への意識が芽生える前、もっと小さい頃から、たくさんハグする習慣をつくるというのはいいですよね。

ハグにはどんな意味があるのか、その“ロジック”を知っておくと、「あ、これはちゃんと意味のある関わりなんだ」と思えて、親としても積極的に子どもを抱きしめやすくなるのかもしれませんね。

最後に:子どもの命を守るために親が覚えておきたいこと

てつなぎ編集部
ここまでいろいろ伺ってきましたが、最後に改めてお聞きしたいです。 「子どもの命を守るために、親が覚えておきたいこと」って、どんなことだと思われますか?
田村先生
そうですね。とにかく、一人で悩まないでほしいですね。親御さんも、誰かに相談して、みんなで考えていければいいのかなと思います。

保護者が全部やるっていうのは難しいことなので、そんな時は、話を聞くカウンセラーさんがいたり、いろんな先生が、学校でのお子さんの様子を見守ってくれたり。それが、子どもの命を守る“きっかけ”になったりすることもあるだろうし。

一人で考えないで、いろんな人に頼ってもらうことが、やっぱり一番大事かなとは思います。
てつなぎ編集部
そうですよね。子どもが繊細な時代だからこそ、親もまた繊細で、いろんな痛みを抱えている気がします。子どもと親って一心同体みたいなもんだと思うので...。

親もつらいときは、「ごめんね」とか「助けて」って言っていいんですよね。 それこそ、“適切かつ妥当”に(笑)。
田村先生
そう。“適切かつ妥当”(=ほどよく“適当”)にね(笑)。
てつなぎ編集部
田村先生のお話を伺いながら、あらためて思ったのは、子育てでしんどい時は「親が一人で背負わなくていい」ということ。

子どもの「死にたい」という言葉は、“親が何かを間違えたサイン”ではなく、 “助けを求めているサイン” なのだと感じました。そして、そのサインに気づくためには、まず親自身の心が安全であることが大切。

子どものことをひとりで抱えず、学校の先生やカウンセラー、周りの大人たちと“チーム”になって支えること。それは決して弱さではなく、子どもの命を守るための、いちばん確かな選択肢なのだと思います。

「完璧な親にならなくていい」「頼っていい」「弱さを見せてもいい」...その言葉に、救われる親御さんはきっと多いはずです。

田村先生、貴重なお話をありがとうございました。
PROFILE

公認心理師

田村 俊作

公認心理師。教育現場でのカウンセリングを中心に、中学校や行政機関、地域の相談窓口などで子ども・保護者・大人の支援を行い、 スクールソーシャルワーカー、精神保健相談員としても活動。教育・福祉・保健医療・メンタルヘルスの現場を横断的に経験し、 現在は都内の学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)でスクールカウンセラーとして活動中。
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