育児ストレスとセルフケアの実態を408件の声から調査 【公認心理師解説】叱りすぎた罪悪感・疲れのリセット方法

子育て中の親は何に疲れ、どう気持ちを立て直している?叱りすぎた罪悪感や疲れのリセット方法、新生活のストレスを、公認心理師の解説とともに紹介します。

公認心理師
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調査対象 372 名

「なんで私、こんなに疲れているんだろう…」

子育てや仕事に追われる毎日のなかで、そんな気持ちになったことはありませんか? 誰かに相談するほどではないけれど、確かに積み重なっているストレス。

その正体を知りたくて、今回は、てつなぎに寄せられた408件の回答をもとに、子育て中の親が抱える育児ストレスと、その乗り越え方(セルフケア)についてホンネ調査を実施しました。

調査では、「今、一番ダメージを受けている部分は?」「自分を一番責めてしまう瞬間は?」「叱りすぎた罪悪感、どう軽くしている?」「疲れた時のリセット方法は?」「4月の新生活、ストレスある?」「怒りすぎた日のセルフケアは?」という6つのテーマについて、保護者のリアルな声を集めました。「うちだけじゃなかった」と感じる共感の声から、思わず頷いてしまうエピソードまで。

今回は、これらの結果を公認心理師の田村俊作先生に見ていただき、専門家の視点からの解説もあわせてご紹介します。

調査概要

実施元

てつなぎ「みんなの声」

対象

子育て中の保護者

総回答数

408件

調査期間

2026年4月〜2026年9月

今回のホンネ調査テーマ

親たちは、日々のどんな場面でダメージを感じ、何に罪悪感を抱き、どのように自分を保ちながら子育てをしているのか。

今回のホンネ調査で聞いた6つのテーマ 

全408件の回答をもとに、親のストレスの実態と、その付き合い方を読み解きます。

子育て中の親のダメージ、最多は「体力・体調」だった

「なんだか疲れが取れない」──そんな感覚を抱えたまま、日々を過ごしている人は少なくないのではないでしょうか。そこで今回、「9月、今あなたが一番ダメージを受けている部分はどこ?」というアンケートを実施しました。

ダメージの実感は「体力・体調」が最多

夏の疲れ・体力や体調

50%

夏休み出費による家計

18.7%

やる気が出ない・メンタル

15.6%

肌や髪

13.5%

※ 回答96件・選択式

【代表的な声】9月、一番ダメージを受けている部分は?

💬 夏休みを駆け抜けてその疲れがドッと来てるのか寝ても寝ても眠い。

疲れが取れないから、朝起きるのが本当につらい。

(おまめさん さん/30代)

💬 実はすでにダメージ出ました笑

夏休みに予定やお出掛けを詰め込みすぎて、張り詰めていた緊張が一気になくなり、子どもたちの夏休み明けとともに3日熱や咳、頭痛などで寝込み、病み上がりなうです。

(あおはるまま さん/30代)

💬 日光アレルギーによる肌へのダメージが…

酷暑、猛暑に太陽に当たり続けたので、髪と肌へのダメージが酷いです。

(ねこた さん/30代)

💬 夏は色々と担ぐからその影響もあるかな?

肩と腰が痛いです。

(こんまさ-2021 さん/50代)

※投稿内容を読みやすいよう一部要約・編集しています。

みんなの声から分かったこと

今回の調査では、「体力・体調」にダメージを感じている人が半数にのぼりました。夏休みで予定を詰め込みすぎたり、生活リズムが崩れたりしたことで、気づかないうちに疲れが溜まっていた様子がうかがえます。

一方で、「メンタル」と自覚している人は15.6%にとどまりました。体の不調として語られている中に、実は心の疲れも一緒に含まれているのかもしれません。

田村 先生公認心理師

「体力がない」「疲れが取れない」といった体の不調の背景には、『身体化』が起きている可能性があります。心と体は相関していて、メンタルのつらさが頭痛・腹痛・めまい・眠気といった体のSOSとして先に表れることがあります。

心の疲れは無意識に後回しにされやすく、「体力がないだけ」「睡眠不足なだけ」と物理的な問題に置き換えようと心が働くこともあります。ストレスが強くなると、感情そのものを麻痺させようとすることもあります。

忙しい時期は交感神経が優位な、いわば"戦闘モード"が続くため、心が弱っていることに気づきにくくなります。夏休みが終わって緊張が解けたとたん、自律神経のバランスが崩れ、疲れや風邪として一気に表に出ることもあるのです。

体調が悪いとメンタルも落ち込み、メンタルがつらいと体も不調になる。心と体はそうして影響し合っているので、体のサインを『心のSOSでもあるかもしれない』と受け取ってみるのも、ひとつの方法です。

体のダメージを感じながらも、日々は続いていく。そんな中で、親たちが一番自分を責めてしまうのは、どんな瞬間なのでしょうか。

ワーママが自分を責める瞬間、最多は「子どもとの時間が取れない」こと

仕事と育児、どちらも手を抜いているつもりはないのに、なぜか「足りていない」気持ちになる。そんな感覚について、ワーママとして自分を一番責めてしまう瞬間を聞きました。

自分を責める瞬間は「子どもとの時間不足」が最多

子どもとの時間が取れない

40%

疲れ・余裕なく当たる

20%

体調不良時に対応できない

12%

預けることへの罪悪感

8%

※ 自由記述を編集部が分類した概算値(複数該当あり、n=50)

【代表的な声】自分を一番責めてしまう瞬間は?

💬 子供にとってこのままでいいのか毎日悩んでる。

いつも!日常的に!でも毎日子供が元気で笑顔でいてくれるから頑張れてる日々。

(きい さん/30代)

💬 仕事のために早く治ってほしいと思ってしまうこと。

子供の体調不良時、ゆっくり看病してあげたいけど、心の奥底では、子供のためを考えてないと感じる時があります。

(ゆきんこ さん/30代)

💬 うちの子にはちゃんと向き合えているのか。

保育士をしているので、園の子どもたちには全力で向き合っている分、うちの子には…と責めてしまいます。

(ひぃか さん/30代)

💬 母親なのに…と自分を責めてしまう。

時間がなさすぎて心の余裕がなくなり、子どもから離れて一人になりたくなる。そういう思考に陥った時。

(よもぎ さん/40代)

※投稿内容を読みやすいよう一部要約・編集しています。

みんなの声から分かったこと

自分を責める瞬間として最も多く挙げられたのは、「子どもとの時間が取れない」(40%)ことでした。仕事や家事に追われる中で、一緒に過ごす時間の短さそのものが、大きな罪悪感につながっているようです。

一方で、「疲れて余裕がなく子どもに当たってしまう」ことへの後悔の声も目立ちました。「量」だけでなく「質」への不安も、根強くあるようです。

田村 先生公認心理師

子どもとの時間が取れないことに罪悪感を覚えるのは、関わり方を見直すきっかけにもなるので、健全なことです。問題になるのは、『親失格だ』『母親なのに』と、自分の存在まで否定してしまう時です。

アタッチメント(愛着)の観点からいえば、同じ空間に長くいることよりも、子どもが『ママ見て』と言った時に応えられるかどうか、そうした感情のやり取りが大切です。15分でも、短い時間でもしっかり子どもと話す時間をつくることが、子どもにとっての安全基地になります。『ご飯おいしいね』『寝る前にぎゅっ』といった日常の小さな関わりの積み重ねで十分です。

ただ、「密度を高めなきゃ」と気負いすぎると逆効果になることも。常に子どもを優先すべきという完璧主義にとらわれず、働いているからこそ休息も大切にしてください。疲れた時は「ちょっと休ませて」と素直に伝えて、休んでから子どもと向き合えば、それで大丈夫です。

「時間が取れない」ことへの罪悪感を抱えながらも、叱りすぎてしまう夜もある。そんな時、親たちはどうやって自分の気持ちを整理しているのでしょうか。

叱りすぎた罪悪感を軽くする行動、最多は「謝る・ハグ」だった

感情的に叱ってしまった夜、「言いすぎたかな」と後悔した経験は誰にでもあるはず。そこで、叱りすぎた日の夜、親の罪悪感を軽くするためにしている行動を聞きました。

罪悪感を軽くする行動は「謝る・ハグ」が最多

謝る・ハグ・スキンシップ

55%

翌日に優しく接する

17%

寝顔を見る・振り返る

13%

会話・話を聞く

11%

※ 自由記述を編集部が分類した概算値(複数該当あり、n=47)

【代表的な声】罪悪感を軽くするためにしている行動は?

💬 今日は怒り過ぎてごめんね、をちゃんと伝えて手を繋いで寝ます。

夜お布団に入ったら手を繋いで寝るのが日課なので、それまでに気持ちを落ち着かせギューと抱きしめだいすきだよと伝えます。

(たけちゃん さん/30代)

💬 寝る前にごめんね、大好きだよ、とハグしています。

喧嘩みたいになるので必ず仲直りして、和解してから寝ること。

(ゆめひろママ さん/30代)

💬 どうするべきかを一緒に考えたりします。

自分の意見ばかりを押し付けてしまったことに対して子供に謝ります。親だからといって全部が全部正しいとは限らないので。

(はにゃまる さん/30代)

💬 「ごめんね」をちゃんと伝えます。

眠る前の布団タイム、子どもたちの話をしっかり聞くこと。余裕があれば謝ることも大切にしています。

(みか さん/40代)

※投稿内容を読みやすいよう一部要約・編集しています。

みんなの声から分かったこと

叱りすぎた罪悪感を軽くする方法として、半数以上が「謝る・ハグ」を挙げました。寝る前にきちんと気持ちを伝え、仲直りをしてから眠る、という習慣が多くの家庭に根付いているようです。

中には、翌日にいつもより優しく接することで挽回しようとする声や、子どもの寝顔を見て気持ちを落ち着かせるという声もありました。

田村 先生公認心理師

寝る前に『ごめんね』を伝えてハグするというルーティンには、子どもの心にとって複数の意味があります。

まずは、安心感の再確認です。子どもにとって怒られることは『もう愛されないかもしれない』という不安につながりやすいもの。仲直りをすることで、その不安や恐怖が和らぎ、親から愛されていることを確かめられます。怒られたことと愛情を切り離して受け取れることが、自己否定の防止にもつながります。

また、『ケンカをしても関係は修復できる』という体験は、将来の人間関係の基礎になります。小さい頃の親子関係は、大きくなってからの友人やパートナーとの関係にも影響を与えます。

できれば、その日のことはその日のうちに仲直りして、安心して眠れるようにしてあげてください。

ただし、謝りすぎると言葉の重みが薄れたり、親の罪悪感の強さに子どもがかえって不安を感じたりすることもあります。大切なのは回数ではなく、どこがよくなかったのかを伝えたうえで、『あなたのことが大切だよ』という気持ちが伝わることです。

子どもとの仲直りを大切にする一方で、親自身の心を整える時間も必要です。続いて、疲れた時のリセット方法について聞きました。

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