育児ストレスとセルフケアの実態を408件の声から調査 【公認心理師解説】叱りすぎた罪悪感・疲れのリセット方法
子育て中の親は何に疲れ、どう気持ちを立て直している?叱りすぎた罪悪感や疲れのリセット方法、新生活のストレスを、公認心理師の解説とともに紹介します。
調査対象 372 名
育児疲れのリセット方法、最多は「甘いものをこっそり」
誰にも気を遣わず、手軽にできるリセット方法とは。「家事・育児に疲れたらコレ!私流のリセット方法」というお題で、それぞれの息抜きの仕方を聞きました。
対象のお題
家事・育児に疲れたらコレ!私流のリセット方法 (n=79)
リセット方法は「甘いものをこっそり」が最多
甘いものをこっそり食べる
友達との交流
一人の時間・買い物
動画・エンタメ
※ 自由記述を編集部が分類した概算値(複数該当あり、n=79)
【代表的な声】疲れた時のリセット方法は?
💬 「今日はここまで!」と無理をしすぎないように。
息子が寝たあとの静かな時間に、温かい飲み物や甘いものを楽しみながらひと息つきます。(Goa さん/20代)
💬 隠してあった少し高めのチョコレートを食べるのが一番の癒やし。
限界を感じたら「今日は家事をしない!」と割り切り、夕食はデパ地下の惣菜やデリバリーに頼ります。(みか さん/30代)
💬 台所で隠れてチョコレートを食べます!
夫に任せて1人で買い物に行ったり、友達とランチしたりします。夫に任せられない時は、台所で隠れてチョコレートを食べます!(ちろりん さん/30代)
💬 ずばり買い物です!
疲れてスッキリしたい時は、バナナと千円台の化粧品や美容パックなどを買って、夫には何も言わないのが一番スッキリします。(あおはるまま さん/30代)
※投稿内容を読みやすいよう一部要約・編集しています。
みんなの声から分かったこと
疲れた時のリセット方法として最も多かったのは、「甘いものをこっそり食べる」(35%)でした。「隠れて」「こっそり」という言葉が多くの声に共通しており、誰にも気を遣わず、手軽にできることが選ばれる理由のようです。
友達との交流や一人の時間を選ぶ人も一定数おり、リセット方法は一つに偏らず、それぞれが自分に合うやり方を見つけている様子がうかがえました。
田村 先生公認心理師
『こっそり食べる』という言葉には、後ろめたさがにじんでいます。『子どもや家族に尽くしたい』という親としての理想が強いからこそ、生まれる感覚なのかもしれません。
ですが、こっそり息抜きをすることは、自分を守るための自然な反応です。内緒でやることのドキドキ感には、気持ちを切り替える効果もあります。秘密のプチ贅沢だと思ってみてください。悪いことではありません。
甘いものを食べたくなるのには、体の面からの理由もあります。疲れると体内の糖分が減るため、脳が手軽に糖分を補給しようとするのです。チョコレートなどが選ばれやすいのは、そのためでもあります。
休むことを、サボりや怠惰だと感じてしまう方もいるかもしれません。ですが、心と体を保つためのメンテナンスの一部だと捉えてみてください。
日頃から『今、自分はこれがしたい』という、自分を主語にした欲求を意識することも大切です。仕事や日々の忙しさの中で押し殺しがちな自分のニーズに気づく練習になり、小さなセルフケアを取り入れやすくなります。
自分なりのリセット方法を持ちながら、日々を乗り越えている親たち。でも4月の新生活シーズンは、子どもと自分自身の変化が重なる特別な時期でもあります。
4月の新生活ストレス、親の78.2%が「ある」と回答
「新年度、正直しんどい」と感じている保護者は多いのではないでしょうか。そこで、「4月の新生活、ストレスある?」というアンケートを実施したところ、78.2%が「ある」と回答しました。
対象のお題
【アンケート】4月新生活ストレスある? (n=92)
ストレスの理由は「子どもの環境変化」が最多
子どもの環境変化(進級・入園等)
仕事・復職(異動・新しい職場等)
体調・生活リズムの変化
新しい人間関係
※ 「ある」と回答した方の自由記述を編集部が分類した概算値(上位4つで73%)
【代表的な声】新生活ストレスの原因は?
💬 親も「1年生」の緊張感。
息子が小学校に入学し、親の私も「1年生」になった気分で毎日フル回転です。把握しきれないほどの大量の提出書類と、毎日の持ち物チェック!寝る直前まで気が休まりません。(ゆう⭐︎ さん/30代)
💬 生活がガラッと変わって疲労困憊。
子どもが進級でクラスや担任が代わり、ルールを把握して慣れるまでが大変。私は復職、下の子は入園で、変化にまだ慣れずストレスがたくさんです。(めめ さん/30代)
💬 母子共に早く慣れたいです!
子どもが初めての保育園で、毎日泣いてバイバイするのが精神的ストレスです。私自身も仕事復帰したのですが、育児と仕事のバランスがまだつかめずにいます。(ぐー さん/30代)
💬 子どもの泣きそうな顔に、自分のメンタルも…
次女は引っ込み思案で、関わりのない子しかいないクラスに。泣きそうな顔で学校へ行くのを見るたび、自分も泣きそうになりながら仕事をしています。(ロキ さん/50代)
※投稿内容を読みやすいよう一部要約・編集しています。
みんなの声から分かったこと
ストレスを感じる理由として最も多かったのは「子どもの環境変化」(30%)、次いで「仕事・復職」(25%)でした。子どもの変化に付き合いながら、「自分自身も新しい環境に慣れなければならない」とうその重なりが、多くの保護者の負担になっているようです。
「体調・生活リズムの変化」「新しい人間関係」といった理由も挙がり、4月の変化は家庭全体に波及していることがうかがえます。
田村 先生公認心理師
新生活期は、親自身も新しい仕事環境や人間関係への適応にエネルギーを使いながら、同時に子どもの不安や戸惑いも受け止めなければならない「二重の適応」が求められます。
特に注意したいのは、親子のあいだでストレスが連鎖する悪循環です。親がストレスや緊張を抱えていると、その緊張が子どもに伝わります。子どもが不安定になると、今度はそれが親のストレスになる。そんな連鎖が起きやすい時期です。
「全部やりきろうとしない」という前提に立つことが大切です。疲れたら外食に頼る、夫婦で役割を分担する、身近な親族に手を借りるなど、意識的に負荷を分散することが有効です。
新生活期は、誰でも消耗しやすい時期。「頑張りすぎない」ことを意識的に選択してほしいと思います。
新生活の疲れを感じながらも、子どもと向き合い続ける毎日。親たちは怒りすぎてしまった後、どのように自分自身をケアしているのでしょうか。
子どもに怒りすぎた後のセルフケア、「謝る・ハグ」に次いで多いのは「一人時間」
子どもに怒りすぎてしまった日、「やっぱり謝ろう」と布団に入った経験がある方は多いはず。そんな時のセルフケアについて、保護者の声を集めました。
対象のお題
セルフケアの上位は「謝る・ハグ」と「一人時間」
謝る・ハグ・スキンシップ
一人時間・離れて気分転換
寝顔を見る・新生児期を思い出す
紙に書く・振り返る
※ 自由記述を編集部が分類した概算値(複数該当あり、n=44)
【代表的な声】怒りすぎた後のセルフケアは?
💬 気づいた時点で、すぐに謝ります。
それから冷静に、私はこれが嫌だったんだよと伝えます。疲れていた、おなかがすいていたなども素直に白状します笑(すみまま さん/40代)
💬 ハグして、少し1人時間をもらいます。
余裕がなくなっているな、と感じたら、後日でもいいので少し1人時間をもらいます。(ちろりん さん/30代)
💬 新生児期の写真を見返します。
はじめて抱いた感触や「無事に生まれてきてくれてありがとう」と感じた気持ちを思い出して反省し、次の日には「昨日はごめんね。ママはいつだって大好きだよ」と伝えます。(あみあみ さん/20代)
💬 振り返って反省しつつ、自分を癒します。
すこし一人時間をもらいます。(匿名 さん/30代)
※投稿内容を読みやすいよう一部要約・編集しています。
みんなの声から分かったこと
怒りすぎた後のセルフケアとして最も多かったのは「謝る・ハグ」(45%)でした。子どもに謝ることが、相手のためだけでなく、自分自身の気持ちを落ち着かせることにもつながっているようです。
次いで多かったのは「一人の時間を作る」「気分転換する」といった行動(18%)で、自分を整えることも大切なケアだと感じている親が少なくないことがうかがえます。
田村 先生公認心理師
謝る・ハグをすることは、子どものケアであると同時に、親自身のセルフケアにもなっています。抱きしめることで、自分自身の気持ちも落ち着いていく。多くの方が、それを自覚しながら実践しているのだと思います。
一人時間をつくることも、立派なセルフケアです。振り返りの時間を持つことは、自分の感情や緊張を落ち着いた状態に整える『セルフレギュレーション(自己調整)』にもつながります。
最後に伝えたいのは、セルフケアは利己的な行為ではないということです。自分を大切にしてこそ、子どもとしっかり向き合える。自分も子どもも大事にしながら関わってもらえると良いと思います。
ホンネ調査から見えてきたこと
408件の回答と田村先生のお話から見えてきたのは、親たちが育児ストレスを抱えながらも、自分なりの方法で気持ちを立て直しているということでした。
体の不調として出てくる疲れ、子どもとの時間が足りないという罪悪感、新生活の負担、叱りすぎた夜の後悔。そんな中でも、「ごめんね」と伝えてハグをする、こっそり甘いものを食べる、少しだけ一人の時間をもらう。そんな小さなケアを重ねながら、毎日を乗り越えている様子がうかがえます。
記事の内容がよかったら「イイね!」ボタンを押してね