テレビの見方で変わる子どもの想像力

質問のしかたを変えれば想像力はみるみる伸びる 「子どもの言語水準を決めるのは親の質問の深さです」

教育

人文教育専門家。
  • このお題をXでシェア
  • このお題をLINEでシェア
  • このお題をfacebookでシェア
  • コメントを見る

「作文力」がどんどん伸びるテレビの見方

言は心の声なり、書は心の画なり。言は心の声なり、書は心の画なり。

 ――― 法言

読書によって知識を積み上げることも大切ですが、読書というものは「書く」ことでようやく完成します。自分の言葉で文章に残してこそ、自分のものになるのです。

親御さんたちにはよく、「子どもたちはどうして、書くことを嫌がるんでしょうか?」と聞かれます。

しかし、書くのが嫌いなのは本当に子どもだけでしょうか?

「書く」というのは誰にとっても難しい作業ですから、大人でも避けたくなります。私たちが書くのを嫌がる理由は、口があるからです。つまり、話す方が簡単なので、書くことから遠ざかってしまうのです。子どもに一方的に書くことを強要するというのは筋が通りません。

私たちも幼い頃は親から何度も作文を書けと言われましたが、書きませんでした。こういうときは別のアプローチが必要です。

作文というのは、姿勢を正してかしこまって書くのではなく、日常生活の中で自然に取り組むのが理想です。そうすれば、リラックスして良質の文章が書けるのです。

このような心構えを忘れずに、さっそく実践法に進みましょう。

「書く」ときに必要なことは、集中力、書こうという意志、そして中身です。そこで私がお勧めするのは、親子で一緒にテレビを見て感想を書くという方法です。

ステップ①番組を選ぼう

興味のない題材では書く気が起きませんから、子どもが好きな番組を選びましょう。

題材が面白ければ書くことに対する意欲も湧いてきますし、その題材について頻繁に考えますから、ユニークなアイデアが浮かびやすくなります。

ですから、子どもが常に見ているものについて考えさせるのがお勧めです。

番組の長さは1時間以内が望ましいでしょう。

番組が長すぎると内容が盛りだくさんで書きにくくなります。

ステップ②感想を短くまとめよう

ノートと鉛筆を用意しましょう。

大切なのは、親も楽しく取り組むことです。

子どもはどんなに大変でも親と一緒なら楽しく取り組みます。

そして、親は番組を見ながらメモを取りましょう。

子どもが聞いてきたら、「後でまとめるときの参考になるように、思いついたことを今のうちに書いておくのよ。そうすれば書くのがずっと楽になるから」と答えましょう。

初めは番組に集中していた子どもも、しばらくすると親のまねをしてメモを取るようになるはずです。

これは「子どもが自分の日常を記録し始める」という大切な変化の始まりです。

番組が終わったらすぐに、感じたことを親子でそれぞれのノートに書いてみましょう。

ステップ③5分間話し合おう

感想を書くだけで他に何もしなければ、子どもはいいかげんな文章を書いて終わってしまうかもしれません。

ですから、書き終わったら5分ほど話し合いの時間を設けましょう。

話し合いがあるとわかっていれば、子どもは番組にいっそう集中するでしょうし、きちんと書こうと頑張るはずです。

ただ、ここでは「いい文章」を書くことよりも、「書く日常」に慣れることを大切にしましょう。

書き終わったら、次のような質問を使って「5分間の話し合い」にトライしてみましょう。

「どうしてそう思ったの?」

「ママはどうしてこう考えたんだと思う?」

「あなたが主役だったら、どうしたと思う?」

子どもは自分以外の考えを聞くことによって、さまざまな人の気持ちが感じられるようになるはずです。

書くということは、人の気持ちを文章に込めることです。

そのため、他人の立場や気持ちを推し量るのは極めて大切なことです。

子どもは「書く」ことをきっかけに、これまで使っていなかった自分の能力をいろいろな形で活用し始めます。

それまで受け身の姿勢で番組を見ていた子どもが、内容の重要度や興味に応じて主体的に番組を見るようになるでしょう

CMや興味のない部分になると積極的に他のことをするかもしれません。

子どもは複数のことを同時にこなす方法を自ら学び、「時間がなくても賢く対処すれば多くのことが可能になる」と考えるようになるでしょう。

多くの人が「正義を守るべき」と言っているのに世の中に悪いことをする人が多いのはなぜだろう?

日常的に文章を書くということを3か月ほど続けたら、こんな質問をしてみましょう。

小学4年生以上ならきっと、びっくりするような素晴らしい答えを出すはずです。

実際に以前の著書『子どものための一日一行人文学』を最初から最後まで書き写しながら読んだ小学生は、こんな答えを出しました。

「正義というのは口で言うのは簡単だけれど、行動に移すのは難しいから」

口先だけの正義は世の中に何の影響も与えられず、行動が伴わなければならないという意味です。

子どもがこの素晴らしい答えを導き出した理由は、文章を書くという日常を送ったことで、質問する方法を悟ったからです。

さまざまな方向から自分に問いかければ、自分自身の文章を書くことができるのです。

私が毎日同じテーマで文章を書き続けられる理由はただ一つ、質問そのものを完全に変えたからです。

一つのテーマについて単調な文章しか書けない人は、たとえば「思索」について書けと言われると、こんな質問から書き始めます。

「身の回りで起きていることの中で、思索に関することは何があるだろうか?」

これに対し、次のような質問から始めるのはどうでしょうか?

「思索はどのように世の中を創造したのだろうか?」

「思索」を、小さな部品ではなく、この世界を初めから今まで創造してきた主体としてとらえる質問をするのです。

そうすれば、目に映るすべての物のつながりが見えてくるようになり、そのたくさんのつながりを思索というテーマに引き上げることができます。

小学校高学年以上であれば、自分で文章を書く、名作を書き写すなど、「書く」ことを週に5回ほど3か月以上続ければ、きっとこの感覚がつかめてくるはずです。

そのような子たちにとっては、子犬の鳴き声も、ありふれた建物も、自分を大事にしてくれくれる人の気持ちも、すべてが素晴らしい文章の素材となります。

PROFILE

人文教育専門家

キム・ジョンウォン

多様な年齢層に人文学を大衆化させるために活動するコンテンツ・ディレクター。 「子どものための一日一行人文学」(未邦訳)で韓国の親たちの信頼を得ている。 韓国では子供の頭脳はもちろん、人性まで発達させる韓国を代表する教育専門家として認められている。

記事の内容がよかったら「イイね!」ボタンを押してね

人文教育専門家。
  • このお題をXでシェア
  • このお題をLINEでシェア
  • このお題をfacebookでシェア
  • コメントを見る

コラムに関連している掲示板

  1. 子育て本
  2. 教育
  3. テレビの見方で変わる子どもの想像力

ログインありがとうございます。1ポイントゲット!

ログインありがとうございます。0ポイントゲット!