6~11歳のお悩み『嘘をつく』

我が子の心の声を聴けるようになる  最新の神経科学×実践心理学#02

しつけ/育児

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6~11歳のお悩み『嘘をつく』

この子は大きくなったらどんな子になるんだろう?
「嘘をつく」
7歳未満

7歳になる前、そしてそれ以降にもよくあることですが、子どもは親を喜ばせようとします。

親が怒った様子で「これ、あなたがやったの !?」 と聞くと、子どもは親がそう考えて怒っているのだと理解するので、「ううん、ぼくじゃないよ」と答えます。

要するに、期待されている答えを言うのです。

本当のことを言うのは、子どもにとってそれほど意味がありません。

「うん、ぼくだよ」と 答えるはずだと、親が考えていることに気づかないのです。

子どもは責任という概念をまだ全然理解していません(理解できるのは7歳を過ぎてからです)。

反対に、「ぼくだよ」と答えたとしても、必ずしも本当ではないのです!

「ぼくだよ」と言ったら親が落ち着くと思えば、子どもはそう言うでしょう。また、単に希望を述べているとも考えられます。

子どもはすでに実現したことのように話しますが、それは頭の中で想像しているからです。

7歳未満の子どもは、現実と想像の境界が曖昧で、しかもまだ文法を完全にマスターしていないので、自分の見たものが頭の中での想像なのだということを明確に表現できないのです。

このように子どもは事実とは違うことを言う時があります。

子ども自身の心配事を話すのです。

子どもの言うことが現在の状況からは「本当でない」としても、他のことに比べれば真実だという可能性もあるでしょう。

7歳以上

7歳以上の子どもは立派な振る舞いをしたい、一番良い子でいたいと思っています。

自分の失敗について、よく他の子のせいにしますが、それは自分のイメージを守りたいから。

失敗をとがめられたり批判されたりするのはもちろん、ただ単に失敗の事実が確認されるだけでも苦痛なのです。

罰を恐れて嘘をついたり、本当のことを隠して黙っていたりすることもあります。

子どもに嘘をつかせない最良の方法は、恥をかかせたり怖がらせたりしないこと、親自身が、子どもが本当のことを打ち明けられるような信頼できる人物でいることなのです。

アドバイス

子どもは、まねすることで学びます。

子どもはいつも親を見ていて、私たち親はお手本なのです。

望もうと望むまいと、私たちは日常の行動で子どもに教えています。

ですから、たとえわが子を苦しめないためであっても、日頃から嘘をつかないように気をつけましょう。

「食わず嫌い」
Hint

どんな子どもも食事に関して難しい時期があります。


が、これは脳の自然な発達において不可欠な現象です。


ネオフォビア(自分の知らない新しいものに不安や恐れを感じる心理的傾向のこと)と名付けられたこの反応は、4歳から7歳の間で特に激しく、この年頃の子どもの77%が、知らない食べ物を試してみるのを拒みます。


親はよく、一口でも食べてみれば好きになるだろうと考えますが、4歳から7歳では食べてみても意見は変わりません。


一口食べてみるのもそんなに悪くないな、などと思えるようになるのは7歳を過ぎてからです。


子どもが知っている食べ物に固執するのは、そのほうが安全だから。

この時期には、たとえ好きなものでもいつもと違った出し方をすると、拒否されるかもしれません。


もしこの問題が長く続き、実生活に支障をきたすようなら、個別の注意が必要になることもあります。


毎食、たった1種類の同じものしか食べたがらないのは、やはり気がかりです。

アドバイス

子どもは自分で採った果物や、自分で料理した野菜などは比較的抵抗なく味見をします。

その機会にピリッとからい、甘いカリカリしている、といった味覚や触感に関する語彙を教えることができます。

ただし「好き」だとか「嫌い」だとか、あるいは「健康に良い、悪い」 と横からロを出すのは避けましょう。

食べ物は親しむほど、好きになるものです。多くの実験でそのことが証明されています。

子どもがある食物を一度拒否したら、もう二度ととすすめないようにしましょうと言いたいわけではありません。

しばらくすれば好きになるかもしれないのです。

何度も食卓にのせるうちに見慣れて、拒否・危険 未知の反応を起こさないようになります。

「学校ではなんでも食べるのに、家では食べないのはおかしい!」と思ったことはありませんか? 

他の子どもたちが美味しそうに食べているのを見ると、まねしてみようという気になるのです。

家でも、大人がうれしそうに食べれば、それが子どもにも伝わるのではないでしょうか。

PROFILE
◉──1957年パリ生まれ、心理療法士。父は心理学者、母は心理療法士で病気を体・心・感情を含めて全体的に見るというホリスティック医療の先駆者。16歳の時、インドに滞在したことがあり、インド学者の叔父の影響で仏教にふれる。
◉──パリ第5大学で、臨床心理学の修士号を取得したあと、フランス、アメリカ、ベルギー、イギリスなどで、交流分析、新ライヒ派のセラピー、神経言語プログラミングなどを学ぶ。それ以後、独自のセラピーを開発し、感情を専門とするセラピストとして、多くの大人や子どもの治療に当たる。
◉──現在は、個人や団体向けの指導は行わず、著書の執筆はじめ、雑誌・新聞への寄稿、ラジオ・テレビ、講演会などを通し、今まで培った知識やアプローチの方法を広く伝えることに力を入れていて、特に子育て世代から絶大な人気と信頼を得ている。
◉──『心のインテリジェンス』『未来をひらく愛の子育て』(いずれもPHP研究所)はじめ、20冊を超える著書があるが、中でも本書シリーズ『子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)は、世界的な大ベストセラーとなり、16カ国で翻訳されている。

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