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6~11歳のお悩み『かんしゃくを起こす』

我が子の心の声を聴けるようになる  最新の神経科学×実践心理学#01

更新日:

イザベル・フィリオザ
心理療法士

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6~11歳のお悩み『かんしゃくを起こす』

この子は大きくなったらどんな子になるんだろう?
「かんしゃくを起こす」

子どもが病気になった時、皮膚の発疹が消えただけでは安心できませんよね。

細菌が原因なら、それを退治しなければなりません。子どもが高熱を出したり発疹が現れたら、「どうしたんだろう?」とまず考えますよね。

同じように、原因に取り組まずに、子どもの好ましくない行動をなくせると考えるのは幻想です。見方を変えてみましょう。

もし子どもの態度や行動が症状だとしたら?

不適切なあるいは困った行動を前にして、病気の時と同じ質問をして原因を探してみましょう。

「どうしたんだろう?」と。

最初の答えは「ストレス」 です。

子どもの攻撃性、逃避行動不能は、脳がストレスを受けていることが表に現れたものです。

これは、どんな罰を与えても治りません。

子どもの脳の中では何が起こっているのでしょうか?

扁桃体と呼ばれるアーモンドの形をした小さな組織がホルモンの洪水を起こしているのです。これが状況に応じて闘うか逃げるかを命令します。

心臓の鼓動が速まり、猛然と走ったり殴ったりするために、血液が糖と酸素を手足へ送り、筋肉は緊張します。

子どもはこの身体の緊張を感じ取って、時に爆発するのです。つまり身体が命じるように、闘ってしまうのです。

危険が最高潮に達した時、または闘うことも逃げることもできない時、身体は固まってしまいます。

猫に捕まったネズミが死んだふりをするように、身体と思考の動きが止まって、苦痛を感じないよう麻痺してしまうのです。

脅されたり、平手打ちをされたり、お尻を叩かれたりして子どものかんしゃくが止まるのは、 「落ち着いた」からではありません。

動けなくなって、固まっているのです。依然としてストレスは消えていないため、少しするとまた爆発してしまいます。

攻撃性、逃避行動不能は、子どもの脳が限界を超えているしるしで、もう考えることはできません。

そんな時、子どもはまず、自分の脳を落ち着かせる必要があります。

子どもの脳を落ち着かせるために、次のようなことを参考にしてみてください。

子どもの脳内のストレス緩和に役立つもの

●身体の接触、優しさ、親の安心させる声、愛着の表現

●深くておだやかな呼吸

●内部感覚(身体の内部からの刺激源によって身体内に起こった変化を 感じ取る感覚) へ関心を向けること

●感情表現の受け入れ

●コップ一杯の水

●木や草の緑を見る

●運動 (歩く、走る、 大きくゆったりした動き)

●音楽、 笑い・・・・・・

子どもはおなかが空いたり、喉が渇いたりしていると、怒りっぽくな ることをみなさんご存知だと思います。

けれど、幼いおちびさんにはビスケットや飲みものをあげたりするの に、8歳になった子どもがかんしゃくを起こしているのを見て、水を飲むようすすめるということはなかなかしません。

子どもがいらだって、バカなことをしたり、攻撃的だったり、乱暴だったり、怒鳴ってドアをバーンと閉めて部屋に引きこもっていたりする時、ぎゅっと抱きしめたり、一緒に遊ぼうと言ったりはもっとしませんね。

ですから、こんなふうに決めてみましょう。 

今度子どもがかんしゃくを起こしたら、深呼吸して、優しく笑いかけ、水の入ったコップを差し出す。 

子どもの感情に耳を傾けて、一緒に散歩に行く。

笑いかけながら 近づいてさりげなくそばに座って、遊ぶ・・・・・・そして様子を観察する。

そう難しいことではありませんよね?

Hint

身体の接触、つまりふれ合いはたった数秒で、幸福ホルモンまたは愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌を引き起こします。


6歳から11歳の子どもはオキシトシンが必要で、日常生活のストレスに立ち向かうために、まだたくさんの身体の接触を必要としているのです。


脳にストレスを受けた子どもは、学校の勉強でも苦労します。


ですから、わが子が明日の授業の発表の準備をする前には、抱きしめてあげたり、マッサージをしてあげたり、ベッドの上でじゃれ合ったりすることがおすすめです。

PROFILE
◉──1957年パリ生まれ、心理療法士。父は心理学者、母は心理療法士で病気を体・心・感情を含めて全体的に見るというホリスティック医療の先駆者。16歳の時、インドに滞在したことがあり、インド学者の叔父の影響で仏教にふれる。
◉──パリ第5大学で、臨床心理学の修士号を取得したあと、フランス、アメリカ、ベルギー、イギリスなどで、交流分析、新ライヒ派のセラピー、神経言語プログラミングなどを学ぶ。それ以後、独自のセラピーを開発し、感情を専門とするセラピストとして、多くの大人や子どもの治療に当たる。
◉──現在は、個人や団体向けの指導は行わず、著書の執筆はじめ、雑誌・新聞への寄稿、ラジオ・テレビ、講演会などを通し、今まで培った知識やアプローチの方法を広く伝えることに力を入れていて、特に子育て世代から絶大な人気と信頼を得ている。
◉──『心のインテリジェンス』『未来をひらく愛の子育て』(いずれもPHP研究所)はじめ、20冊を超える著書があるが、中でも本書シリーズ『子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)は、世界的な大ベストセラーとなり、16カ国で翻訳されている。

「6~11歳 子どもの気持ちがわかる本」

著者名
イザベル フィリオザ
出版社
 かんき出版

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