6~11歳のお悩み『親の関心を引こうとする』

我が子の心の声を聴けるようになる  最新の神経科学×実践心理学#03

しつけ/育児

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6~11歳のお悩み『親の関心を引こうとする』

この子は大きくなったらどんな子になるんだろう?
「親の関心を引こうとする」
Hint

子どもが心配したり、不安だったり、寂しかったり、のけ者にされたと感じたり、あるいは単に退屈だったりする時は、脳の回路が苦しんでいます。

脳はふれ合いによって分泌される愛情ホルモン、オキシトシンを必要としているのです。

これは親の愛情が不足しているという意味ではなく、今、ここで、何らかの理由で空になってしまったタンクを再び満タンにする必要があるということなのです。

愛着をたっぷり受け取っているなら、つまり必要な時いつも関心を持ってもらえるなら、子どもはタンクをいっぱいにしてもらって安心するために、愛着の対象である親に救いを求めたいという衝動にかられます。

親がそれに応えて、優しい眼差しを返すだけでも、子どもは落ち着いて、すべてはうまくいきます。

ストレスのサイクルが停止して平静に戻ります(ママに抱かれて涙を流すのは悲しいからではなくて、落ち着いたからです)。

愛情のタンクを満タンにした子どもは新しい冒険への準備ができるのです。

この時、親が忙しいなどの理由で、子どもが必要としている関心を向けてあげないと、脳内のストレスは高まります。

子どもは我慢に我慢を重ねてしまうのです...。

「わたしのほうを向いてくれるように、 パパを困らせてやろう」などとは考えていないのに、ストレスを受けた脳が最初は消極的な意思表示をし、それから落ち着かなくなって、ついには乱暴な行動を引き起こします。

消極的な意思表示は、親に気づかれないことが多いのです。

子どもは 何かしてみたり、他のことを考えてみたりして、自分が禁断症状(愛情のタンクが空になっていること)にあることがわかりません。

パパを見て、他のことで忙しくしているので、邪魔しないようにしながら待ちます。

パパが子どものほうを振り返って関心を向けない限り問題は解決しないので、やがて子どもは落ち着かなくなったり、しつこくねだりはじめます。

関心を引こうと思って騒いでいるのではありません

関心を示してもらえなかったことが引き起こしたストレスが原因なのです。

子どもはどうすれば落ち着けるかと、 椅子の上で体を動かしたり、揺すったりしてみます。一般にぎくしゃくした動作が繰り返されます。

それでもまだ親が反応しないと、脳内のストレスが強まって、子どもは自分の中でだんだんエネルギーが高まってくるのを感じ、動いたり、走ったり、殴ったりしたい衝動を覚え…時には攻撃的になってしまうのです。

ちなみに、子どもが前ぶれもなく、いきなり乱暴になることもあります。

日常的に無視され、拒否され、殴られていたりする子どもの場合、関心を引こうとすることなく直接攻撃の段階に進むことがあるのです。

私たち親は子どもに、「おなかが空いたの?じゃあ食べないでいなさい!」とか、「眠そうね?じゃあ寝ちゃダメ!」 などとは言いませんよね。

ではどうして私たちは、子どもが関心を持ってもらいたがっている時に否定的に反応するのでしょうか?

関心を向けたり、かまってあげたりしないで、爆発するまでほうっておくのでしょうか?

アドバイス

子どもの態度を観察して描写し、それに対処するための提案をしてみましょう。

「足がもぞもぞ動いているね、一緒にトランプしようか?」。 

そして、 わが子が必要とした時、すぐかまってあげられるように、いつも注意を払いましょう。

手が離せない時は、まずは要求を受け入れて、こんなふうに子どもに約束してください。

「退屈しているみたいね。 この書類が終わったら、それから洗濯機を回して、そうしたらあなたの部屋へ行くけど、それでいい?その間、絵を描くか、パズルでもしていて」。

約束したら必ず守ってくださいね!

親の友人が訪ねてきたら、その間子どもが1人で待っていられるように、愛情のタンクを十分補充してあげることが大事です。

「5分間、2人きりで遊ぼうね。そのあとママはお友だちとお話しするよ」 と。

その間、友人には本でも読んで待っていてもらいましょう。

PROFILE
◉──1957年パリ生まれ、心理療法士。父は心理学者、母は心理療法士で病気を体・心・感情を含めて全体的に見るというホリスティック医療の先駆者。16歳の時、インドに滞在したことがあり、インド学者の叔父の影響で仏教にふれる。
◉──パリ第5大学で、臨床心理学の修士号を取得したあと、フランス、アメリカ、ベルギー、イギリスなどで、交流分析、新ライヒ派のセラピー、神経言語プログラミングなどを学ぶ。それ以後、独自のセラピーを開発し、感情を専門とするセラピストとして、多くの大人や子どもの治療に当たる。
◉──現在は、個人や団体向けの指導は行わず、著書の執筆はじめ、雑誌・新聞への寄稿、ラジオ・テレビ、講演会などを通し、今まで培った知識やアプローチの方法を広く伝えることに力を入れていて、特に子育て世代から絶大な人気と信頼を得ている。
◉──『心のインテリジェンス』『未来をひらく愛の子育て』(いずれもPHP研究所)はじめ、20冊を超える著書があるが、中でも本書シリーズ『子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)は、世界的な大ベストセラーとなり、16カ国で翻訳されている。

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