「すぐ使える心理学」――アドラー流子育て 他者信頼力編
言うことを聞かない子どもにイライラ。 怒鳴ってばかりの自分がイヤになる。 そんな親御さんに、何が子どもの自立心を伸ばすのか、 どうすれば子育ての日々を満ち足りて幸せに過ごせるか、 アドラー心理学が行動のヒントを与えてくれます。「すぐ使える心理学」で子どもと今日から心地いい関係づくり。
しつけ/育児
「早くしなさい!」「ダメ!」とつい怒鳴って疲弊していませんか?アドラー流子育てのカギは、「親子の課題を分けること」と「勇気づけ」。指示・命令を手放し、子どもを信頼して自立を促す50の習慣を伝授。
三宅 美絵子著書『アドラー流子育て 50の習慣』から一部転載・編集してお届けいたします。
\アドラー流子育てで/
ご機嫌な家では失敗のときも「味方」として振る舞う、
不機嫌な家は失敗のときに「敵」になってしまう。
子どもが自分以外の人を信頼する力を育てられるのは、「頼ってもいい」と感じられる親の対応があってこそです。
今度の試合のために、お店で悩んで悩んで、子どもと選んだTシャツ。
家に帰るや否や、思っていた矢先!
子どもが自分でタグを切ろうとしているのを見て、生地まで切らないといいけどな……と悪い予感が的中し、新品のシャツの首元に穴が開いてしまいました。
「買ってきたばかりなのに!もったいない!」
「勝手に余計なことをしないで、言えばお母さんがやってあげたのに!」
思わず頭をよぎるそんな言葉を飲み込めたなら、自分を褒めてあげてください。
子どもがはやる気持ちを抑えきれずに行動して、失敗をすることは多々あります。
後先考えずに手をつけるほど、嬉しかったり、早く遊びたい一心だったりしたことは、子どもの立場になってみると想像がつきます。
にもかかわらず、自らそのワクワクとした気持ちに影を落とすことをしてしまったときはどんな気持ちでしょう。
悲しさ、悔しさ、焦り、情けなさ、後悔などが入り混じり、目の前は真っ白。
思考も停止する大事件です。
ご自身に置き換えて考えてみましょう。
家族が大好きな餃子を、家族に喜んでほしくてがんばって作ったのに、焼いたら皮がほとんどフライパンにくっついてしまいました。
食卓に並んだのは、見るも無残な皮に包まれていない餃子。
そんなときに、
「どうせママのことだから、適当に作ったんでしょ?」
「そんな無理しないで、買ってくればよかったのに。」
「包まれていないなら、餃子って言わないんじゃない?」
こんな言葉をかけられたら、もう二度と手作りしようとは思えませんよね。
どうでしょう?お子さんなら、失敗したあなたにどんな言葉をかけるでしょうか?
失敗した餃子を見ても、ため息をついたり、責めたりすることなく、
「大丈夫だよ!味は同じだもの。」
と、むしろいいところを探そうとしてくれる様子が浮かびませんか?
失敗したくて失敗したわけではないのは、お子さんたちも同じです。
失敗してしまったときに責め立てられたり、自分の行動を否定されたりすると、自分を守るための言い訳を探したり、隠したりするようになります。
失敗したときに助けを求めると怒られる、人に頼るのは恥ずかしいと間違った思い込みを抱えて、いつも限界まで一人でがんばり過ぎるのは、辛いですよね。
親が失敗を責めたり、見放したりすることなく、子どもの気持ちに寄り添いながら、一緒にどうすればリカバリーできるかを真剣に考えてくれたら、困ったときに人に頼ることの大切さも感じることができるようになるのです。
「自立」とは、すべてを一人でできることを指すのではありません。
自分で考え、判断し、行動することに加え、ときには周りに助けを求めて、適切なサポートを受けられることも含まれます。
支え合って生きていくこと、そして自分は一人ではなく、周りの人たちに助けを求めてよいと感じられるような関わりを子どもに伝えていきたいものです。
失敗をしたときにも味方でいてもらえた経験が、チャレンジをする意欲、そして他者を仲間だと信じる土台となっていきます。失敗したときこそ寄り添おう
\アドラー流子育てで/
ご機嫌な家では自分の軸で「我が子」を見ている、
不機嫌な家は他人の軸で、「我が子」を測る。
お子さんが生まれたときに、どんな子ども時代を過ごして、どんな大人になってほしいと思っていたでしょうか。
・元気いっぱい、思いっきり遊べる
・好奇心が旺盛
・楽しさを見つけられる
・好きなことをトコトンできる
イキイキとした子どもの姿が浮かんできます。
どのように子どもを育てたいか、子どものどんな姿に喜びを見出すかという、自分の内側にある大切にしたいことが、他人の評価を気にしていると、埋もれていってしまいます。
公園に迎えに行くと、目に飛び込んできたのは全身泥だらけの我が子の姿。
「ずいぶん夢中で、楽しそうだね〜」
と笑い飛ばせる余裕はなく、
「何やっているの!そんな泥だらけで、どうやって帰るの!」
と、慌てる人の方が多いのではないかと思います。
ちゃんとした親に見られたい、というプレッシャーから、自分がどう思うかよりも、他人からどう見えるかを判断基準にしてしまうことが、子育て中は特に多いのかもしれません。
周りの目を気にし、他人と比べる目で我が子を見る癖がつくと、
「うちの子は周りの子と比べて落ち着きがない」
「常識的にものを考えられない」
など、できていないところばかりが目に入ってきます。
意識を向けたもの、つまり、「できていないところ」が、自然と目に入りやすくなるという心理現象が、さらにその見方を強めてしまうのです。
だからこそ、意識的にできているところに目を向ける癖づけをしていくことが大切になってきます。
「また汚して!」
「こんな泥だらけで帰ったら、近所の人にどう思われるか」
と頭をよぎったら、
「それは誰の軸で考えている?」
「私は、この子にどんなふうに子ども時代を過ごしてほしいと思っているのだっけ?」
と自分に聴くことから始めてみてください。
「元気に過ごしてくれることが一番」
「笑っていてくれればいい」
親が他人と比べる目を手放し、自分の軸で我が子を見る目を持つ。そうすると、泥だらけの子どもに「何やって遊んでいたの?」と興味を持ち、その子らしさや、子ども中の小さな芽生えにも目を向けられます。
そして、「できていないところ」に隠れた、大切にしたいお子さんの面が見えるようになってくることでしょう。
自分のよいところを見て、応援してくれる親のまなざしは、子どもにとって、自分らしさを確立していく上での大きな安心になります。
親子の関係は、子どもにとって最初のチーム。
チームメイトである親が自分のよいところを見つけてくれることは、子どもが他者や自分の軸への信頼の輪を広げていく力の土台になるのです。
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