脳のリハビリのプロでもある作業療法士が伝える!「続けられるとき」と「続けられないとき」は、何が違う?
目標や計画はもういらない。脳科学でやりたい気持ちを作り出す。「ダラダラ動画をみてしまう習慣」も作業トレースすれば、勉強や趣味の習慣に変わる!
教育
「やる気はあるのに続かない……」それは意志が弱いからではなく、脳が「危険」と判定して体が止まっているから!脳のリハビリに携わってきた作業療法士が、根性やご褒美に頼らず脳を「予測」で動かす習慣化を公開。
菅原 洋平さん著書『やりつづける脳のつくり方。』から一部転載・編集してお届けいたします。
「続けられるとき」と「続けられないとき」は、何が違う?
「やればいいということはわかっているんです」
メーカー勤務のCさんは、自分に言い聞かせるように話します。
Cさんは、キャリアアップのために英会話教室に通い始めました。
自宅の机の上にはテキストが広げて置かれていて、筆記用具も準備されているそうです。
次のレッスンまでに宿題が課されていて、すぐに取り掛かれる環境をつくっています。
ただ、テキストは数週間広げられたままになっていて、手を付けられずにいるそうです。
「いつも目の端にテキストが見えていて、そろそろやろうと思うんです。でもどうしても、その気にならないんです」
Cさんはこれまで、「1年後に英語でプレゼンテーションをする」という目標を設定して、勉強の計画を立てて、目標が達成できたときのご褒美を用意するなど、自分をやる気にさせる様々な工夫をしてきました。
それなのに、いざやろうとすると気が向きません。
やろうと決めた作業を「続けられるとき」と「続けられないとき」は、どこに違いがあるのでしょうか。
Cさんの「その気にならないんです」というセリフから考えると、両者の違いは、気分です。
気分がよければ続けられて、気分が悪ければ続かない。
振り返ってみると、続けられているときはやっていて楽しいし、うまくいかなくても工夫して乗り越えて気分がスカッとすることはある。
確かに続けることに気分は関係します。
ただ、続けられるかどうかは、気分次第。
こういわれてしまうと身も蓋もない感じがするので、もう少し深く考えてみましょう。
では気分は、どうやってつくられているのでしょうか。
あらためて考えてみるとよく知らないという人が多いと思います。
でも、この問いに答えることはとても重要です。
なぜなら、「気分」は、偶然もたらされるものではなく、ちゃんと生まれるしくみがあり、そしてこのしくみが、続けることのカギを握っているからです。
続けたい気分は内臓からくる
Cさんは、テキストを見て英語の勉強をしようとすると、こんな感覚になるそうです。
「立ち上がって机に行こうとすると、なんか体が机の方に向かなくて、なんとなく引き返してしまうんです」
この「なんか体が机の方に向かなくて」という感覚、身に覚えがありませんか?
テキストやトレーニングウェア、家計簿など、作業の道具を目にしたとき、体がすくんでしまうような感じです。
気分は、体に表れます。
気分がいいときは、体はリラックスして力が抜け、ラクに呼吸ができ、のびのびと自由に動くことができます。
自分の気分を知りたければ、自分の体に注意を向ければわかります。
体のどこに注意を向けるのかというと、体の「内側」です。
頭の中、目の奥、首や肩の深いところ、肺のふくらみ、おなかの調子。
これらが軽ければ気分がいいし、重ければ気分が悪いのだとわかります。
つまり、気分は体の内側でつくられています。
内臓の感覚は、内受容感覚と呼びます。
聞きなじみがない言葉だと思います。内臓を見たり触ったりはできませんが、そこから発せられる信号をキャッチ(受容)した感覚です。
例えば、緊張したときにおなかが痛くなる。
この痛みが、内臓からの信号であり、内受容感覚です。
私たちは、「緊張しておなかが痛くなってきた」と表現しますが、「おなかからの信号を受け取って緊張している気分になった」というのが正しい表現です。
おなかの感覚だけではありません。
心臓がドキドキしたり、呼吸が速まったり、血管が収縮して手足が冷たくなったり、唾液や汗が粘っこくなったりします。
これらもすべて内受容感覚です。
内受容感覚は、私たちにメッセージを送っています。
そのメッセージは「安全」か「危険」か、を伝えています。
Cさんが受け取ったメッセージは、「危険」です。
このまま作業をすると危険だ、と内臓が警告しています。
警告を受けると、体は硬直して身構え、危険にすばやく反応できるように備えます。
これが、「なんか体が机の方に向かなくて」の正体です。
Cさんは、内受容感覚から「英語のテキストをやるのは危険です」といわれたのです。
「危険」を伝える内受容感覚の例を挙げてみます。
・目が乾いたり口が渇く
・息が苦しくなる、呼吸が浅くなる
・胃のあたりに力が入ったり腸のあたりが痛くなる
・腋の下に汗をかく
・手の先や足の先が冷たくなる
この他にも気分がのらないときの内受容感覚はたくさんあります。
自分の感覚を観察してみましょう。
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