脳のリハビリのプロでもある作業療法士が伝える!「続けられるとき」と「続けられないとき」は、何が違う?
目標や計画はもういらない。脳科学でやりたい気持ちを作り出す。「ダラダラ動画をみてしまう習慣」も作業トレースすれば、勉強や趣味の習慣に変わる!
教育
気分の良し悪しは脳の予測で決まる
でも、英語のテキストって、そんなに警戒するほど危険なものではないですよね。Cさんの内受容感覚は、何をそんなに恐れていたのでしょうか。
内受容感覚は、予測できない状況を「危険」だと判定します。英語のテキストを進める予測ができないので、この作業を恐れています。
では、英語学習の予測は、どこでやっているのでしょうか。
内受容感覚から信号を受け取るのは、脳です。
脳が「危険」というメッセージを受けて体の動きを止めました。
問題は、この脳にあります。
「脳って何ですか?」と聞かれたら、どう答えますか?
頭の中にある臓器、と答えるかもしれません。
では、「脳は何をする臓器ですか?」と聞かれたら、どうでしょうか?
「考えること」
「体を動かす司令塔」
「記憶を保管する」
「計算すること」
「意識とか心をつくること」
こんな答えを思いつく人が多いと思います。
正解は、予測すること、です。
脳が英語学習を予測できなかったから、内受容感覚が「危険」だといったのです。
Cさんが英語の学習を続けられなかった理由が判明しました。
うーん。この理由では、なんかスパッと理解しにくいですよね。
予測という言葉がわかりにくいです。
ですが、脳が予測する臓器であるという考えは、これからお話を続けるうえで、すごく重要です。
なぜなら、これまで私たちが続けられなかった原因は、脳が予測する臓器であると考えていなかったことにあるからです。
脳は予測する臓器
私たちはこれまで、脳は反応する臓器だと考えてきました。
家庭や学校で習ったことはないにしても、なんとなくそう思わされてきました。
「知識を詰め込めば答えられるはず」とか、「刺激を与えればやる気になる」といった考えが根底にあり、詰め込み学習や一夜漬けをし、好きな動画を見てテンションを上げ、ご褒美をちらつかせて自分をやる気にさせてきました。
作業を続けるためには、賞や特典を与えたり、「ライバルはやっている」と競争心を刺激したり、目新しい道具や教材を用意して注意を惹くことが重要だと考えてきました。
脳をだまし、ほめてその気にさせたり、罰を与えてやり直させようとしてきたのは、みんな脳が反応する臓器だと考えていたからです。
この考えでうまくいきましたか?
うまくいっていたなら、世の中にこれほど継続するための書籍は出回らないはずです。
あなたも、何か違和感があるから本書を手に取ってくださったのだと思います。
脳が反応する臓器だという前提は、2006年に神経科学者のカール・フリストンが提唱した原理によって覆りました。
その原理は、自由エネルギー原理といいます。
この原理の中核となるのが、脳は予測する臓器である、という考えです。
では、脳が予測する臓器だと考えると、何が変わるのでしょうか。
あなたが今、本書を読んでくださっていることを例に考えてみましょう。
本書を手に取ってくださったのはなぜですか?
もし、脳が反応する臓器なら、「たまたま書店で見かけたから」とか「表紙が気になったから」となります。
「表紙」や「タイトル」という刺激に脳が反応したから手に取った。
でも、予測する臓器なら、これは「たまたま」ではなくなります。
書店に来る前から、あなたの脳はある作業の「続け方」を模索していたから、「続ける」という文字が目に入り手に取ったということになります。
気になっていることがあったらちょうど雑誌で特集が組まれていた。
新しい企画を考えていたら同僚がぴったりの話題を振ってくれた。悩んでいたら久しぶりに連絡してきた友人から解決策をいわれた。
こんな体験があると思います。
「いいタイミング!」「助かった!」と感じるような体験です。
もし、脳が反応する臓器なら、この体験は説明がつきません。
でも、脳が予測する臓器なら、当たり前の体験だといえます。
反応する脳に作業を続けさせるには、手を替え品を替え刺激し続けなければなりません。
この方法がうまくいかないことは、すでに実証済みのはずです。
問題は、脳が予測できていなかったことでした。この根本の考え方がずれていたせいで、私たちは何年も「続けられないこと」に悩んできました。
でもそれも、今日で終わりです。
脳は予測する臓器である、という前提をもとに、続け方を再設定しましょう。
作業療法士
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