子どもが算数を嫌いになる前に!――苦手克服のカギは親のメンタル
算数は「センス」「先取り学習」が必要?子どものテストの成績に一喜一憂…「うちの子、算数が苦手」のお悩みを解決するヒント!食卓、買い物、遊び…日常で手軽にできる親のサポートで、算数が苦手な子ほど、ぐんと伸びる!
教育
特別な教材や難しいトレーニングは必要ありません!おうちでの遊びや日常の会話の中から、子どもの「算数が好き!」は自然に育てていけます。本書は親子のコミュニケーションを楽しみながら、子どもが「できた!」と感じる瞬間を増やし、算数に自信を持てるようになるための、親の伴走ガイドとなる一冊。
たけ先生著書の『わくわくおうち算数』から一部転載・編集してお届けいたします。
苦手克服のカギは親のメンタル
しかしその前に、私から保護者の皆さんにお伝えしたい大切な「大前提」があります。
それは「親のメンタル」の重要性です。
「算数ができない」「テストで点が取れない」「宿題を嫌がる」・・・・・・そんな場面に直面すると、どうしても親の方がイライラしてしまうことがありますよね。
当然私もあります。
また、この章で紹介する苦手克服のための方法を読んで、「よし、やってみよう!」と実践してくださる方もいらっしゃると思いますが、残念ながらその方法がすぐにうまくいくとは限りません。
いや、むしろ最初からうまくいかないことの方が多いとも思っています。
大切なのは、うまくいかなくとも「少しずつでも日々継続すること」です。
けれどもうまくいかない日が続くと、親としてはついイライラしたり、「どうしてできないの?」と感情的になったりしてしまうものです。
これまでにそうした経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、「家庭で算数が苦手になる瞬間」の多くは、親のネガティブな言葉から始まります。
「なんでこんなこともできないの?」
「私も苦手だったから、あなたも無理よ」
そんな言葉を投げかけられた子どもは、苦手を克服するどころか、むしろ苦手意識を強めてしまいます。
イライラすることは絶対にダメだと言うつもりはありません。
私も当然そうなりますし、子どもと接する上でこういった感情になることは普通だと思います。
「イライラしてばかりで私はダメだ・・・・・・」なんて思わないでください。
しかし、少しずつでもそのイライラを抑える努力というのも我々大人に必要なことだと思っています。
子どもにも努力を求めるのであれば、私たちも頑張ってみませんか?
ではそのイライラを抑える方法や、苦手な子に対してどういった心持ちで接すればよいかを説明していきます。
一喜一憂しないこと
親のメンタルで最も大事なことの1つが、「子どもの姿に一喜一憂しないこと」です。
「今日はできた」「今日はできなかった」
「テストの点数が良かった」「悪かった」
「宿題を自分で頑張った」「頑張らなかった」
こうしたことに、親が大きく感情を揺さぶられてしまうと、その気持ちは必ず子どもに伝わります。
すると、子どもは「算数は親をイライラさせるもの」という気持ちを強めてしまい、算数への苦手意識はますます深まってしまいます。
算数が苦手な子どもが、今日やって明日急にできるようになる、ということはまずあり得ません。
だからこそ、「1ヶ月後、半年後、1年後」という長い視点で子どもを見守ることが大切です。
考えてみてください。
大人だって、料理が苦手な人が1日や2日で「料理が大好き!得意!」と変わるのは難しいですよね。
1ヶ月頑張っても「ちょっと慣れてきたかな?」くらいのものでしょう。算数もまったく同じです。
だからこそ、ゆったりと構えていきましょう。
ミスへの過剰反応はNG
算数の問題を解いていると、子どもは当然のように間違えます。
中には何度説明しても何度も同じ間違えをしてしまう、ということもあるでしょう。
そんなときに「どうしてこんなにできないの!」「何回も説明したでしょ!」と親に叱られてしまうと、子どもは「やっぱり自分はダメだ」と思い込み、やる気を失ってしまいます。
大事なのは、たとえ100問間違っていたとしても1問の正解に注目すること。
親が意識的に「ここはできたね!よく頑張ったね!」と子どもに声をかけてあげる。
たったそれだけで子どもの表情は変わり、次の学習に向かう力になります。
大人だって同じですよね。仕事で「ここがダメ、あそこもダメ」と言われ続けるよりも、「ここはすごく良かった」と一言褒められる方が、もっと頑張ろうと思えるはずです。
子どもはその何倍も、褒められることで伸びていきます。
何度でも優しく説明する
先ほど述べたように、子どもが算数の問題を間違えたり、同じ質問を繰り返したりすると、つい「前に説明したじゃない!」と口に出したくなることもあるでしょう。
でも、そこはぐっとこらえてください。
子どもにとっては、一度説明を聞いただけでは理解できないことがたくさんあります。
むしろ、何度も繰り返して聞き、少しずつ理解を深めていくのが普通です。
「前にも説明したでしょ」という声かけは、子どもが今後わからないことがあったとしても親に質問しないようになってしまいます。
何度も大人を例に出して申し訳ないのですが、たとえば、大人が生花であったりパソコンであったり、何か新しく始めた習い事の先生から「前も説明したでしょ。なんでできないの?」と言われたらつらいはずですし、質問しづらくなるのではないでしょうか。
ですから、ぜひ皆さんからお子さんに「わからなければ何回でも聞いていいからね」と声をかけてあげてください。
その上で「何度でも優しく同じ説明をしてあげる」ということがとても大切です。
子どもの「考える時間」を邪魔しない
子どもが問題に向かってじーっとしていると、つい「こうやるんでしょ」口を出したくなる気持ち、よくわかります。
でも、その時間こそ、子どもが一生懸命考えているとても貴重な時間なのです。
その最中に声をかけてしまうと、考えがストップしてしまいます。
そして「もう一度考えてみて」と促されても、子どもはまたゼロからやり直しです。
これは子どもにとってはしんどいことで、これを繰り返すと「考えるのが嫌だ」という気持ちにつながってしまいます。
だからこそ、子どもがじっとして考えているときには、あたたかく見守ることが大切です。
ここまでお伝えしたように、算数の苦手を克服するためには、まず親のメンタルを整えることが大切です。
「子どもの姿に一喜一憂しない」
「ミスを責めず、正解に注目して褒める」
「何度でも優しく説明する」
「考えている時間を邪魔しない」
こうした積み重ねによって、子どもは「算数が嫌い」から少しずつ「算数も悪くないかも」と思えるようになります。
子どものミスや間違いを「苦手」の証ではなく、「得意」への宝物と捉えましょう。
親のメンタルが整ってこそ、子どもは安心して算数に向き合うことができるのです。
子どもの「やればできる!」と感じる瞬間をどこで作るか
算数が苦手な子どもたちに勉強を教えるとき、もう1つ確認しておくべき大切なことがあります。
それは、子どもが「自分は算数ができるようになった!」と思える瞬間をいつ生むか、ということです。
お子さんに関わる場合、やみくもに教えるのではなく、どの場面で子どもの自信を回復させるのかを理解しておくことは重要です。
ではそれはいつなのか?
子どもが算数に関わる場面は大きく分けて3つあります。
それは「テスト・授業・宿題」です。
この3つの場面で、子どもが「できた!」と感じられる瞬間を作っていくことが、算数の苦手を克服するために欠かせないのです。
テストで点が取れたとき
子どもにとって最も自信を持ちやすいのは、やはりテストで点が取れたときです。
もちろん、先ほどの節でお伝えしたように、テストの点数に親が一喜一憂するのは良くありません。
点数だけで子どもを評価してしまうことは確実に避けるべきことです。
しかしそれでも、テストで点数を取れることを1つの目標にすることは大切です。
なぜなら、子どもにとって「テストで点が取れた」という経験ほど、わかりやすく自信につながるものはないからです。
そのためにはテストの点数だけを見るのではなく、他の部分もよく観察してほしいのです。
どんな問題が出ているのか、どんな問題で間違えているのかを分析することが大切です。
100点を取ることはもちろん理想ですが、まずは点数に関わらず「できているところ」「丸がついているところ」に注目してしっかり認めてあげましょう。
学年が上がるにつれて、子どもが悪い点数のテストを出さなくなることがありますが、これはあまり良くない傾向です。
親に見せたら叱られる、がっかりされると思ってしまうからです。
だからこそ、点数が低くても「ここはできたね」「前より進歩したね」と褒めてあげることがとても大切なのです。
授業でわかったとき
次に大事なのは授業です。
算数の授業は1年生を除けばほぼ毎日あります。
つまり、もし授業で「できない」「わからない」と感じてしまうと、子どもは日々算数への苦手を強化してしまうことになります。
これはとてもつらいことですよね。
だからこそ、算数の授業を子どもがストレスなく受けられるようにすることは、苦手を克服するうえで非常に重要です。
授業中に「わかる!」「できた!」と感じられる経験は、算数に対する前向きな気持ちを少しずつ育ててくれます。
授業を楽しく意欲的に受けられるようにする方法については、この後の「復習より予習!授業で子どもの『わかる!』を増やす方法」で詳しくお伝えします。
宿題で問題が解けたとき
そして3つ目は宿題です。
算数の授業が毎日あるように、算数の宿題もほとんど毎日のように出されます。
もしその宿題が「できない」「嫌だ」と感じるものだったら、算数だけでなく勉強そのものが嫌いになってしまうこともあります。
実際に、「宿題を自分からやらない」「何度説明しても間違える」「親子で喧嘩になる」といった相談を、これまでにたくさん耳にしてきました。
ここで少し私自身の考えをお伝えすると、宿題によって子どもが算数や勉強を嫌いになってしまうことについては、学校にも大きな責任があると思っています。
算数が得意な子も、好きな子も、そして苦手な子や嫌いな子も、一律に同じ宿題を出されることに本当に意味があるのか。
私はずっと疑問を持ってきました。
そのため、私が教師をしていたときには、できるだけ一律の宿題を減らし、子どものレベルに合わせた宿題を出したり、ときには本人に内容を選ばせたりしていました。
もちろん全員同じ宿題を出すこともありましたが、その場合は「苦手な子でも必ず1人でできる内容」を選ぶように工夫していました。
宿題ができないことから「算数嫌い」を生んでしまうのを防ぎたかったからです。
また、算数の宿題といえば、「ドリル」や「スキル」というものを使うことが多いと思いますが、これらには結構難しい問題も含まれています。
実際には、その難しい問題も「基礎的な知識を活用すれば解ける」ように作られています。
けれど、この「活用」という部分は、算数が苦手な子にとってはとても難しいのです。
だから私は宿題を出す前に、必ず自分でドリルを解き、苦手な子にとって難しそうな問題があれば「この問題は授業でするから、それ以外を宿題にするね」と調整していました。
こうした配慮があれば子どもも宿題に安心して取り組めるのですが、残念ながらそうでない場合も多くあります。
ですから「ドリルなんてできて当たり前」と考えるのではなく、しっかりとフォローしてあげることが大切なのです。
親は宿題にどう関わる?
では、親としては宿題にどう関わればいいのでしょうか。
まずは、すでに算数が苦手な子にとっての「宿題のハードル」を下げてあげることです。
「自分からやり始め、丁寧に取り組み、さらに全問正解でないといけない」などと思う必要はありません。
まずは、机に向かって宿題に取り組めているだけで十分だと捉えます。
間違えた問題については、先ほど述べたテストに対する関わり方と同じように「できている部分」に注目して褒めてあげましょう。
それと同時に、子どもがどんなところでつまずいているのか、どの問題に時間がかかっているのかを観察し、分析することも大切です。
宿題は、今まさに授業で学んでいる内容が出されていることが多いので、子どもの「現在の困りごと」がよくわかる場面でもあります。
宿題を通してつまずきを把握できれば、より効果的なフォローが可能になります。
以上のように、算数の苦手を克服するためには、「テスト・授業・宿題」という3つの場面で、子どもが「できた!」「やればできる!」と感じられる瞬間を意識して作っていくこ
とが大切です。
テストでは点数にこだわりすぎず、「できているところ」を認めてあげる。
授業では毎日の小さな「わかる!」を積み重ねる。
宿題では無理のない取り組みを大切にし、つまずきを見つけてフォローにつなげる。
この3つの場面でポジティブな体験を積み重ねることが、子どもにとって「算数って意外とできるかも」という気持ちを育み、苦手を克服する大きな力になっていくのです。
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