中学受験のプロが伝える!――理想形は「我が家は全部が第一志望」
受験家庭からの信頼度ナンバーワン! 「中受保護者が今いちばん相談したい人」と大人気の“声教の後藤さん”による初の著書!
教育
辛い受験生活を、親子の絆を深める「かけがえのない経験」へ。多くの受験生家族を支えてきた著者が、過酷な状況でも平常心を保ち、子どもの力を最大限に引き出す関わり方をわかりやすく解説します。
後藤 和浩著書の『親の「しんどい」が「大丈夫」に変わる 中学受験の味方』から一部転載・編集してお届けいたします。
理想形は「我が家は全部が第一志望」
志望校選びで一番大事なこと
それでは、ここからはいよいよ具体的に、「納得のいく合格」を得るための「志望校選び」についてお話ししていきます。
まず、一番大切なことをお伝えしましょう。
それは、「入りたい」と思う学校を、一校でも多く増やすこと。
つまり、「選択肢を増やす」ことを意識してほしいのです。
選択肢の数が少ないと、いざ出願プランを考えるときに、「2月○日の午後に受ける学校がない」なんていう、もったいないことにもなりかねません。
みなさんもご存じの通り、中学受験の日程は複数回あり、数日かけて何回かの受験にチャレンジします。
単純に考えて、その回数が多いほど合格を手にできる可能性は高まります。
つまり、選択肢が少ないと受験回数が減り、せっかくのチャンスを逃してしまうかもしれないのです。
また、本番の時期が近づいてきてから、「やっぱり別の学校も受けよう」と考えたとしても、そのタイミングでは学校見学や説明会に行く時間も余裕もないことがほとんどです。
そして、これはあまり想像したくないケースではありますが、受験校の合格が取れず、「今からでも出願できる学校」を塾と保護者とで一生懸命探した結果、入試本番が初めての学校訪問になってしまうこともあります。それでは子どもがかわいそうですよね。
「この学校に絶対に行きたい」と、第一志望にこだわるのは悪いことではありません。
そのような思いがあるからこそ、最後まで頑張って勉強できるのもたしかです。
ただ、「絶対にこの学校じゃないと」と考えてしまうと、視野が狭まり、親子共に精神的に追い詰められやすくもなります。
ですから、特に最初のうちは、学校名や偏差値にこだわらず、「良さそう」と思える学校を広いレンジでいくつも見つけておきましょう。
時間の経過と共に、第一志望はどんどん変わっていくものです。
たくさん学校を見ていくなかで、だんだんお気に入りの学校が固まっていきます。
そして、最終的に3〜5校に絞った学校を、「我が家は全部が第一志望」と言えるくらいになれたら理想的ですね。
「行きたい」と思える学校がいくつもあるのは幸せなことです。
そんな学校をたくさん見つけておくことが、親御さんとお子さんの心の余裕にもつながるでしょう。
学校選びの「軸」を見つけよう
昔と比べ、最近は学校選びの多様化が進んでいます。
たとえば、以前は男子校の最難関と言われる筑駒(筑波大学附属駒場中学校)に受かったら、偏差値最上位校ですから必ず進学するのが一般的でした。
ところが最近では、「筑駒を辞退して渋幕(渋谷教育学園幕張中学校)に行く」といったケースを見聞きします。
渋幕の、自主性を尊重する校風や充実した国際教育に魅力を感じての選択なのでしょう。
つまり、偏差値を学校選びの最優先基準として考えないことも増えてきているのです。
ひとつ前の項でも、特に最初の段階では、学校名や偏差値にこだわらずに選択肢を幅広く考えてほしいと書きました。
では、偏差値や学校名ではなく、何を基準に学校を選べばいいのでしょうか。
それは、家庭ごとに定めた、学校選びの「軸」です。
お子さんは、どんな学校に通いたいのでしょうか?そして、親であるあなたは、どんな特徴をもつ学校に通わせたいと考えているのでしょうか?
6年間を過ごす中高一貫校に、何を求めているのでしょうか?
子ども本人やその親が「何を大事にしたいか」「どこにこだわりたいか」によって、学校探しの「軸」は変わってきます。
「軸」はどのようなものでも構いません。いくつかあってもいいですね。
たとえば、「国際教育に力を入れている」のが軸になることもあるでしょう。
将来を見越して、「理系の進路に強い」ほうがいいと考える家庭もあるかもしれません。
ほかには、「○○部がある」「△△のカリキュラムがある」「国公立大学への進学実績が豊富」なども軸になり得るでしょう。
子どもによっては、「制服」を軸にお気に入りの学校を見つける子もいるかもしれませんね。
こうした「軸」は、たくさんの学校を見ていくなかで自然と定まっていくものです。
だからこそ最初は選択肢を狭めずに、広く考えることが大事なのです。
いくつも学校を見ていくなかで、「この学校のどんなところをいいと思ったのかな?」と考えてみると、共通点や似た点があることに気づくはずです。
それが、その子どもや家庭の学校選びの「軸」になります。
学校の印象は「現場」が10割
近年は、インターネットやSNSで学校の情報を集める機会も増えていますが、こと志望校選びに関して、いわゆる「ネットの口コミ」は信用しなくていいですし、そもそも見る必要もないと僕は考えています。
なぜって、インターネットやSNSに書かれていることは嘘か本当かもわからないからです。
仮に嘘でなかったとしても、それは投稿した本人にとっての評価に過ぎません。
ほかの人がその人と同じように感じるとは限らないのです。
ですから、口コミはそのまま信じてしまわずに、気になることがあれば、学校や塾に直接聞いてたしかめるのが賢明です。
学校の雰囲気や印象といったものは、実際に自分で足を運び、自分で見て、自分で聞いたものを大切にしてください。
実際に学校を訪れたときの“なんとなく”の肌感が大事です。
不思議なもので、行ってみると、合う・合わないはなんとなく感じますよ。
ある程度「軸」が定まってくると、志望校選びはスムーズになります。
まったく知らなかった学校が候補に入ってくることもあり、「こんなにいい学校があったのか!」と、嬉しい驚きに見舞われることもあるかもしれません。
ぜひ、ひとつでも多くの「第一志望」をお子さんと一緒に見つけてくださいね。
偏差値だけで判断しない、オリジナルの「軸」による学校探しをすることで、「納得のいく合格」にもつながりやすくなるはずです。
合同説明会では第一志望のブースはスルー
志望校探しにぜひうまく活用してほしいのが、いわゆる「合同説明会」です。
それぞれの中学が個別に行う説明会や相談会とは違い、合同説明会は、大きなイベント会場などに複数の学校が集まります。
規模の大きさはイベントによっても異なりますが、いずれにしても一度に多くの学校に出合えるチャンスですから、うまく利用しない手はありません。
ただ、早い時期から多くの受験生に第一志望に選ばれているような「人気校」のブースには、相談希望者が長蛇の列になっています。
せっかくたくさんの学校と出合える機会なのに、その行列に並んでいては時間がどんどん減ってしまいます。
そうでなくても、第一志望の学校は決め打ちで個別の説明会に参加しますよね。
であれば、せっかくの合同説明会ですから、割り切って“新たな出合い”を求めてみましょう。
つまり、合同説明会では、あえて第一志望の学校をスルーして、併願校を見つけに行くつもりで参加することをおすすめします。
ある程度学校探しの軸が定まっていたら、その軸に該当しそうな学校の中から、あえてあまりブースが混んでいないところに話を聞きに行ってみるといいですよ。
「ちょっとだけ話を聞いてみようか」くらいのつもりで訪れてみたら、複数回受験の優遇措置(異なる日程で同じ学校を受験した際に、科目ごとに各回のもっとも高い得点の合計で判定が行われる、いわば「いいとこ取り」や、受験回数による加点など)があることがわかったり、まだあまり知られておらず、偏差値や倍率がそれほど高くなかったりと、思わぬ“穴場”校を見つけられることもあるかもしれません。
併願校のひとつに過ぎないと思って話を聞きに行ったら、結果的にその学校が第一志望となる運命の出合いを果たした‥‥‥そんな話はざらにあります。
ぜひオープンな気持ちで、新たな出合いを見つけに行ってみましょう。
複数の学校に「同じ質問」をぶつけてみる
合同説明会では、多くの学校の話を同時に聞けるのですから、いくつかの学校にあえて「同じ質問」をぶつけてみるのもおすすめです。
質問の内容は「部活動のこと」「英語学習について」「放課後の活動」など、気になることなら何でも構いません。
同じ切り口の質問でも反応や答え方が異なり、学校ごとの個性や方針を感じられるでしょう。
また、せっかくですから、ぜひ入試問題に関することも質問しちゃいましょう!
個別の説明会や学校見学の際も同様ですが、「出題傾向の変更の予定はありますか」「どんな勉強をしたらいいですか」「どういう力があると、御校の入試に有利ですか」などは、比較的どの学校も答えてくれやすいはずです。
そして、特に聞けたらラッキーなのが、「時事問題で出題される時期の範囲」です。
時事問題は対策にキリがないため、例年、多くの親子を悩ませます。
時事問題対策のテキストは、だいたい11月くらいを目処に各出版社から発売されるのですが、ただでさえ忙しい受験生がそこから一気にその内容を詰め込むのは、かなり骨の折れることです。
ですので、例年時事問題が出題される学校に対しては、「何月くらいまでの時事をおさえておけばいいですか?」と、ぜひ聞いてみてください。
たとえばその答えが「9月」であれば、「その年にノーベル賞(例年10月上旬に発表)を受賞する日本人については覚えなくてもいい」といった取捨選択ができて、とても助かります。
教えてくれない可能性ももちろんありますが、もし教えてくれたらラッキーです!
その学校らしさが表れる「ある場所」
「いいな」と思う学校があったら、個別の学校説明会や文化祭などにも足を運んでみましょう。
我が家では、妻と相談しながら決めた候補の中から4〜5校、説明会や文化祭など、何らかの学校訪問を行いました。
この数は、わりと少ないほうかもしれません。
最近はお子さんが小2くらいのときから志望校探しをしている家庭も少なくないので、10校くらい訪れるのも珍しいことではないようです。
学校をたくさん見に行くのはいいことです。
たくさん見るなかで家庭ごとの軸も定まっていきますし、見る目も養われるというものです。
学校を訪れたら、実際に聞きたい内容を質問するのはもちろんのこと、いろいろな場所を見て回ってみましょう。
僕も「声教チャンネル」などでいろいろな学校を訪問していますが、特にその学校の“らしさ”が表れる箇所のひとつが、廊下の「掲示板」だと思います。
国際交流の案内、ボランティアの募集、宗教に関係するもの、体験やイベントのお知らせやポスターなど、どんなものが貼ってあるかは学校によって違いますので、意識して見比べてみると面白いですよ。
一見、綺麗に整えられた掲示板だと印象の良い感じがしますが、雑多な感じの掲示板でも、むしろそれが生徒たちの自主的で活発な活動の表れであることもあります。
子どもがどの学校を気に入るか、また、どのようなポイントに反応するかは、本当にその子によってさまざまです。
うちの息子は、文化祭のバッティングセンターの模擬店でバットを振らせてもらったのがよほど楽しかったらしく、その学校に入りたいと言うようになりました。
また、校内を見て回るなかで、技術部の人だけが着られる「つなぎ」に「かっこいい‥‥‥!」と目を輝かせた学校も志望校になりました。
「食堂のラーメンが美味しかった」との理由で選んだ学校もありました。
親としては「そんな理由で?」と突っ込みたくなりましたが、子どもとはそういうものです(笑)。
理由はどうあれ、「行きたい!」と思える学校を見つけられるかどうかは、そのあとの学習のモチベーションにも大きく影響しますから、子どもが気に入る学校を見つけられるように、気長につきあいましょう。
息子は今でも、併願校について「あの学校もよかったな」と言うくらいです。
付け加えると、学校を気に入るポイントと同様、子どもが「この学校は嫌」と言うポイントも、ユニークなものが多いですよ。
うちの息子のケースで言うと、学校に向かう道の途中に長い登り坂があり、そこを歩くのがきつくて学校の印象が悪くなったこともありました。
説明会の会場の椅子が「硬くて嫌だった」ことで、その学校を志望しなかった子もいたと聞きます。
また、歴史ある伝統校の校舎や設備に対し、「レトロな感じが素敵!」と親が胸をときめかせる一方で、子どものほうは「ボロくて嫌」と言ってまったく気に入らなかったという話も聞きました(ただし、校舎は古くても空調は最新式だったり、百貨店のようにドレッサー付きのお手洗いがあったりと、設備はきちんと整えられている学校も多くあります)。
大人と子どもでは、目をつけるポイントも、感じ方も違うようですね。
親の希望と子どもの意思をすり合わせる“裏技”
親子で感じ方が異なれば、志望校が一致しないこともよくあるでしょう。
僕の場合、施設どうこうとは別に、息子たちには大学受験を経験してほしいという考えがありました。
そのため、できれば大学附属の学校ではなく、進学校に入学してくれたらな、とこっそり思っていました。
結果的に、子どもたちが気に入った志望校には大学附属の学校もありました。
でも、そこは子どもの気持ちを尊重し、僕の希望は胸にとどめることにしました。
実際に勉強するのも、入学後の6年間を過ごすのも子ども本人ですからね。
とは言え、いろいろな事情で、いくら尊重したくてもできない場合もあるかもしれません。
そこで、志望校選びで親の意見と子どもの意見が割れてしまうのを避けるための裏技をお教えしましょう。
それは、無作為に子どもに選ばせるのではなく、先に親が5、6校をピックアップしておいて、その中から選ばせるというものです。
これなら親が許容できない学校が志望校になることはありません。
そして、子ども自身は「自分で選んだ」という感覚を持つことができます。
この主体的な感覚は、厳しい受験勉強を乗り越える原動力になりますし、入学後のモチベーションにも直結します。
ちょっとずるい方法ではありますが、通学時間など、より切実な条件も踏まえると、十分に“アリ”なやり方ではないかと思います。
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