6千人以上の親子をアドバイス!――1日10秒見守るだけでいい「世界一簡単な育児法」

長男一橋大、二男慶大、三男東京藝大現役合格に導いたのは、10秒ほど寄り添うことがメイン。 従来の放任主義とは違うその方法を公開!

しつけ/育児

一般社団法人コンシャスペアレンツジャパン代表。親子・家族関係の専門家/日本人唯一のDr. Shefali認定コンシャスペアレンティング&ライフコーチ。
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「もっと手をかけないと」と焦る必要はありません。3人の男の子の子育てと、6千人以上の親子をアドバイスしてわかったのは、「子育てで一番大事なことは、子どもにとって安心安全な『心の空間』をつくり、親が『ただ、いる』こと」でした。
本書は、一橋・慶應・東京藝大へ進んだ3兄弟の家庭が実践していた、エビデンスに基づく見守り力を伝授。たかもりくみこ先生の著書『ただ見守る科学的子育て』から一部転載・編集してお届けいたします。

東京藝大に挑む三男は言った。「ゼロ勉でいく!」

「俺、倫理ゼロ勉でいくことにしたから!」

大学入学共通テスト3日前の午後、高校3年生の三男とおやつを食べながら話していたとき、突然三男が言い放ったセリフです。

私は「えっ?」としか言えませんでした。

「ここまできたら、ゼロ勉のほうがカッコいいでしょ?ゼロ勉でいく」

「えっ、ゼロ勉?カッコいい?何それ?意味がわからない・・・・・・」

まるで宇宙人を見るような気持ちで私は答えました。

ゼロ勉とは、一切勉強せずテストに臨むこと。まったく勉強せずに倫理の試験を受けると言うのです。

「ゼロ勉で共通テストって、共通テストなめすぎでしょ!?!?!?せめて、今から教科書ざっと見るだけでも違うんじゃない?」と言うと、

「母さんは、ゲー大や美大受験、やったことないし、知らないでしょ?」。彼は極めて落ち着いて答えました。

言われれば、確かに私は、美大受験を知りません。我が家にはアーティストはいないし、絵を描く親戚もいません。でも、共通テストの1点2点のために、日本全国の受験生が必死になって勉強していることは知っています。

「俺なりにいろいろ調べたから。ゼロ勉でいくよ」

子どもを育てていると、いつも親は試されます。18歳の大学受験。「ゼロ勉でいく」という子どもにどう対応するのがいいのか?子育ての最終テストのような出来事が起きたのでした。

それで結局私は、三男の言うことを尊重したのです。

育児書200冊には書いていなかった解決策とは?

三男のことで悩んでいた当時の私は、真っ暗な未来しか描けず、「この子をどうしたら大人まで育てられるだろう?」と途方に暮れていました。

何年も前にさかのぼった話になります。

冬の夜に、ずっとあこがれていた自宅出産を迎えていました。女医さん、助産師さん、家族みんなに見守られた、完璧に素晴らしいお産で誕生したのが三男。

だから当然、子育てもスムーズにいくはず―そう信じていました。

けれど、それがまったく違うことに気づいたのは、生後1ヶ月を過ぎた頃でした。

「まるで宇宙人・・・・・・」。彼は生後1ヶ月から怒ってばかりの赤ちゃん。

抱っこの仕方が悪い、母乳がおいしくない、寒い、暑い、おむつが濡れた、気持ち悪い・・・・・・。そんなそぶりを見せてばかりで、文権のオンパレード。

怒ってばかりの赤ちゃんに戸惑いながら、ワンオペ育児が始まりました。

3人の元気な男の子に恵まれ、幸せなはずなのに………………。

ギャン泣き、かんしゃく、モノを投げる、つかみかかってくる、乱暴、ぶっ壊す、ちょっとでも気に入らないとあたり構わず転げ回る。

突然怒り出すたびに、私は緊張でいっぱいになり、まるでDV夫から身を隠す妻のように固まっていました。

長男、次男とのあまりの違いに、何十回も親をやめたくなりました。

産んだことを後悔してしまうほどで、そんな自分自身もとても責めていました。

三男は、しょっちゅう地団駄を踏み、かんしゃくを起こす。

おもちゃ売り場で「買って!!」と大の字になって泣き叫ぶ。

悪いことを悪いと叱ってもヘラヘラ笑って逃げ出す。物事の善悪すら伝わらない。

当時、子育て本を200冊以上読んでも答えはなく、途方に暮れ、何度も絶望に突き落とされる真っ暗な時期が続きました。

「前世で何かあったに違いない」――思わずそう思ってしまうほどだったのです。

「ママが笑っているのが一番」なんて言葉を見かけるたびに、落ち込みました。「それができたら苦労してない。この子を前にして笑っていられる人なんて、どれだけいるの?」と。

「中学生になる頃には三男は不良になって、家出、ドラッグ、犯罪に走り・・・・・・」とも思ってしまってゾッとしました。

「この子は、私じゃ無理」と何十回も思い、なんとかそこから逃れたいとさんざんもがきました。

でもまったく道が見つからなかったのです。

でもある日、ふと気づきます。

「この子の母は、世界中で私しかいないんだ」という当たり前のことに。すべてを受け容れた瞬間でした。

相変わらずこの心の暗闇をどう抜けられるのか、まったくわからないけれど、答えがないなら、自分で見つけるしかない。

そこから、悪戦苦闘の試行錯誤が始まりました。

すると少しずつ、希望の光が差し込み始めました。

気づけば彼と楽しく過ごせる時間が増え、中学生になる頃にはその先の未来も明るく、すっかり楽しみになっていったのです。

「この子がこう言うのだから、きっとそうなんだろう」

「この子と一緒にただ、ここにいよう」

この場面で、彼と「ただ、いられる」親になれたことに心底ホッとしたのでした。

どれほど成功し、幸せそうに見える大人であっても、その心の奥底には「わかってほしかった」という幼い日の悲しみが眠っています。

私たちは、立派な親や正しい教育を求めていたのではありません。

ただ自分の痛みに寄り添い、ありのままをジャッジせずに受け容れてくれる「心の居場所」がほしかったのです。

どんなに多くのことをしてあげても、心が不在であれば、子どもは深い孤独の中で自分を封印して生きていくことになります。

「あんなに一生懸命子育てをしたのに・・・・・・」そう嘆く親。

「親に感謝できない自分が嫌だ」と自分を責める子ども。

どちらも、心の「つながり」を感じられていたら、そんな悲劇にはならなかったでしょう。

子どもの心の隣に「ただ、いる」こと。

「つながり」を感じること。それが、子どもにとって最も必要なことではないかと思うのです。

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