教育現場のプロが伝える!――「見えない“SOS”」に気づける生活習慣

今日の学校どうだった?って聞くのは、実はプレッシャー!本書では、親の言葉が子どもの心にどのような影響を与えるのかをわかりやすく解説するとともに、 子どもの気持ちを支える具体的な声かけや会話の工夫を豊富に紹介していきます。子がどんどん話したくなる声がけ法。サクッと学ぶ!大人の語彙力&伝え方シリーズ。

しつけ/育児

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我慢や根性ではなく、安心感と自己肯定感の積み重ねが子どもの心を育みます。その土台となるのは家庭での温かい“ひと言”です。本書は、親の言葉が心に与える影響を解説し、気持ちを支える具体的な声かけを豊富に紹介します。
キャリー・A・フロー幸島 守著書『子どものストレスと不安が軽くなる言語化 「べつに」を「あのね」に変える親のひと言』から一部転載・編集してお届けいたします。

無気力・イライラ・不登校の芽。子どもの「見えない“SOS”」に気づける生活習慣

学校はストレスがたまる場所

子どものSOSは「見えないメッセージ」です。

とくに周囲が“ふつうの子”“手のかからない子”と見ている子ほど、問題を起こさず、不満も見せないため、「学校に登下校する間の8時間」を見守る先生も、「家での8時間」を一緒に過ごす親も気づけないことがあります。

そのため、子どもはストレスを抱え、不安をため込み、不満をひとりで育ててしまうこともあるのです。

けれども学校に送り出す家庭が「安心・安全マイホーム」ならそうしたことは起こりません。

ですから、子どもが学校から帰ってきたら、ホッとできる場所にしてあげましょう。

そうした家庭は、親にとってもホッとできる場所になります。

「ホッとする時間」があれば、親にも余裕が生まれます。

僕は、親の余裕を「心の余白」とも呼んでいますが、その「余白」が子どもの居場所になるのです。

親の心の余白の中に、子どもの心のホッとする場所があれば、子どもに何かあったなら、いつもと違う何かを抱えていたなら、親はすぐに気づくことができます。

見えない、気づけない、言葉にならない“SOS”も聞こえてくるのです。

ママやパパは、「子どもは学校へ勉強をしに行っている」と思っていますよね?

けれどもそれは、大人が勝手に決めたものです。

「義務教育」と言っても、「はい。あなたの義務だから。ちゃんと勉強してね」と契約書にサインさせたわけではありません。

1年生の4月の頭に「ここに行きなさい」「この教室に座りなさい」と大人が決めた四角い場所で、1年間確定の「担任」の先生、数十人の「お友達」との生活がスタートします。

それが子どもから見た「学校」です。

突然変わった日常生活の中で、子どもが、ストレスを感じるのは当たり前のこと。その前提からスタートしましょう。

ごめんなさい。驚かせたいわけではないのです。

僕も、20年間、小学校の教師をやってきました。

学校批判をして、ママやパパに「気をつけろ!」と言いたいわけではありません。

なんなら、僕は、子どもたちより小学校が大好きですから、「小学校は最高!」「ママもパパも安心してください!」と、小学校の良さや、小学校に通う価値や意義を、この本でもたくさんお伝えしたいと思っています。

どんな子であっても、新しい環境では、うれしくても、こわくても、ワクワクドキドキします。

そのストレスが、不安にするのか、期待へと変えるのかで新しい環境での過ごし方は真逆に変わります。それは大人でも同じです。

だからこそ、ママやパパには知って欲しい。

学校は疲れる場所。

ストレスも感じる場所です。

子どもは不安を抱えて帰ってきたのかもしれません。

そう考えてください。

その上で「余裕」を持って「余白」を用意して、子どもを送り出し、迎え入れて、家庭で過ごす子どもにまなざしを向けてあげてください。

「見えない“SOS”」には3つの原因がある

子どもが、学校生活でストレスを感じる事柄は3つあります。

もう、ほとんどこれらがすべてと言ってもいいでしょう。

・友だち関係が上手くいっていない。
・勉強がわからなくなってきた。
・先生とのコミュニケーションがとれない。

どれかがあると、子どもは「楽しくないな」と感じます。

でもその段階では、「不安」とは無縁です。

「悩み」ですらありません。

でも「楽しくない」が、1日、1日と続いていけばストレスとなり、解消されなければ、不安となって知らず知らずのうちに子どもの中にため込まれていくのです。

そうして「楽しくない」は意欲を削ります。ストレスはイライラに変わります。

やがて「学校に行きたくない」と思うようになり、「不登校の芽」となるのです。

まず、子どもの「楽しくないな」という変化に気づくことが大切です。

そう言われても、「でも、どうすれば気づけるの?」と思いますよね。

当然の疑問です。

子どもがいきなり「ママ、助けて!」とは言いません。

でも、家庭が「安心・安全マイホーム」なら、小さな変化に気づけます。

「楽しくない」の反対は「楽しい」です。実は、小学校には楽しいことが毎日たくさん起きています!

本当です!

たとえば、こんなことを子どもが報告したことがあるでしょう。

「今日の給食すごくおいしかったよ!」
「先生に頼まれて、お片付けしたんだ。先生をお手伝いしたんだ」
「○○ちゃん、すごいんだよ。こんなことしたんだって」
「先生がへんなこと言うから、みんな笑いが止まらなくなっちゃってね」

どれも「勉強」とはまったく関係がありませんね。

何かを学んだ、自分が何かできるようになった、良い結果を出した・・・・・・そうした話題ではないことばかりです。

親からすれば「勉強しに行かせているのに」と思うかもしれません。

でも、僕は、こうした日々の経験こそが、「学校に毎日通う意義」だと思います。

「今日、楽しいことがあったんだよ」
「学校で楽しい経験をしたんだよ」
「学校って楽しい場所なんだよ」・・・・・・。

子どもは、何か楽しいことが1つあれば、学校に通うことができます。

そして、その1つあれば、先ほどの3つのストレスを感じる事柄があったとしても、プラスマイナスゼロ、いえ、たいしてストレスに感じることなく、プラスばっかりで、毎日、学校で過ごせるのです。

ですから子どもの「楽しい」は必ず聞いてあげてください。そして100%肯定してあげてください。

「おいしかったんだ。よかったね」「すごいね。そんなことがあったんだね」

そしてこう続けてください。

「で、どうなったの?」「もっと聞かせて」「また、聞かせてね」

学校の「楽しさ」に続きがあり、家庭で広がることを知れば、ママやパパも学校のことに、そして自分に興味を持っているのだと子どもは感じます。

すると子どもは、学校の体験は自分ひとりのものではない、この「楽しい」を毎日もち帰るために、学校に行く、過ごす、家に帰る自分の姿をイメージできます。

注意していただきたいのは、「そんなことより、宿題はないの?」「学校でちゃんと勉強しているの?」「あなたももっと頑張りなさい!」と言って、子どもの「楽しい」を打ち消す言葉はNGです。

そういう言葉が出てしまった時は、親の心に「余白」がなくなっているからだと、気づくきっかけにしましょう。

家庭と学校の両側から子どもをサンドイッチして育てる

実は、学校の先生は、日々、子どもの気持ちに変化はないかを確認しています。

僕が続けたのは、登校時の挨拶です。

教室で出迎えて「おはよう!」と声をかけます。

そんな僕の挨拶に負けないくらい大声で「おはよう!」と返す子もいれば、「恥ずかしいなあ」と小さく「・・・・・・ございます」と返す子もいます。

毎日、チラッと見ては無言で通り過ぎる子もいます。

そうした1人ひとりを見ながら、「よし!いつも通り!どの子も今日も変わりなし!」と、僕は胸をなで下ろします。

けれども中にはいつもと違う感じの子がいることも。

たとえば、AちゃんとBちゃんに「おや?」と感じたら、今日の1日の中で、何かしらかかわりを持って、どんな気持ちを抱えているのかを確かめました。

学校にくることが不安だったのかもしれないし、もしくは家庭でのできごとで不安を持ったまま学校にきたのかもしれない。

いずれにせよ「いつもとの違い」に気づくことが大切です。そして、気づくるためには「学校に行くのは楽しい」がにじみ出ている、子どもの笑顔が大前提です。

毎朝、僕は、子どもの表情を観察し、「この子の家庭は『安心・安全マイホーム』だな。

家でも楽しい時間を過ごしているな。

ママもパパも心に「余白」を持ってこの子と過ごしているんだな。

楽しいだろうな。だからこの子は、こうした表情で今日も学校に来てくれているんだ。

よしっ!僕もこの子が楽しく過ごせる学校にするぞ!わっしょい!」と決意を新たにしていました。

子どもは小学校でストレスを感じる――そうお伝えしました。

だからこそ、その前提で、先生たちも小学校を子どもたちの「安心・安全マイホーム」にしようとしています。

読者のみなさんに、信じて欲しいことがあります。

先生たちは、小学校を、ご家庭と同じように、フワフワでホカホカでホッとできる場所にしたいのです。

学校にいる時間、先生は、ママやパパのように子どもを見守っています。

成長途中の子どもは、柔らかで、繊細な存在です。

この子を家庭ではママやパパが、学校ではママやパパのような先生が、同じフワフワでサンドイッチにして守り、育む。

「サンドイッチ教育」が僕の理想であり、実践し続けていることです。

学校で体験した「楽しい」を話せる時間が家庭にも“ある”ことが、子どもの変化を捉えることの大前提となります。

そのためには、ママやパパの心にフワフワの余白を用意してあげてください。

PROFILE
約20年間、兵庫県の教育委員会に所属。小学校教師としてリアルな教育現場の経験を積む。現在は、YouTubeを中心に子どもの成長を見守る方法や教育に役立つヒントを発信中。みんなを笑顔にできる講演家を目指している。
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