はらぺこあおむしが子どもの能力を伸ばす!
読み聞かせの最中に親子で「やりとり」をするだけ!思考力・読解力・伝える力が伸びる いつもの絵本が最高の教材に変わる!
教育
はらぺこあおむし 〜さまざまなバリエーションの質問ができる〜
はらぺこあおむし
エリック・カール作 もりひさし訳 偕成社
ダイアロジック・リーディングには、絵を見て答えを導き出させる問いや、子どもに考えさせる質問など、さまざまな種類のやりとりがありますが、「はらぺこあおむし」は、そのような幅広い種類の質問をたくさんすることができる絵本です。
たとえば冒頭のたまごが描かれているページで、「たまごはどこ?」、お月さまのページで「これは何?」などと問いかければ、子どもの語彙力を計ることができます。
質問だけでなくコメントすることも大切です。
たとえば、フルーツがたくさん出てくるページには西洋なしが描かれています。
そこで、「このなしって日本のなしとちょっと違うね?」とか、すももを指しながら 「すももって食べたことないね」といったコメントをすることで、のちに1人で本を読むときにも自分で考えながら読み進めたり、ただ文字を追うだけでなくそこで描かれている事柄とかかわる姿勢が育まれます。
では、具体的なやりとりの例を挙げましょう。
このように、子どもの答えを反復、拡張すれば、語彙力や表現力を育むことができます。
子どもの生活と関連した質問
食べすぎでおなかが痛くなったあおむしのシーンでは、「○○ちゃんと同じだね」 というようなコメントをすると、絵本の世界が、じつは現実の世界と結びついているということも学べます。
文章を自分と関連づけて考えることができるわけです。
最初にあおむしが登場する場面では、あおむしを見たことがない子どももいるでしょうから、次のようなやりとりをしてみましょう。
文章を完成させるやりとり
「おなかはぺっこぺこ」という文章が続くシーンでは、3回目以後、以下のように子どもに文章を完成させてもらいましょう。
「おなかは」ということばがヒントとなり、子どもが「ぺっこぺこ」と発したら物語の展開を予測できているということです。
難しいときには、「ペ」とヒントを出して、「ぺっこぺこ」と発したら、「そのとおり」とフィードバックを忘れずに。
決まった答えのないやりとり
大きくなったあおむしが、さなぎになり眠りにつく場面では、「さあ、何が出てくると思う?」とたずねて、子どもに考えてもらいましょう。
私の研究に協力してくれたアメリカ人の子どもは、ちょっと考えてから「赤ちゃん」と答え、その発想に感心しました。
答えが合っているかどうかがポイントではなく、自分でも考える習慣をつけることが目的です。
子どもは何度も同じ絵本を読むことを好むので、2回目に読んだときに「ちょうちょ」という答えが出るでしょう。
すべての絵本に言えることですが、子どもが発話したときには必ずフィードバックしてあげてください。
そうすることで読み手と子どもとの間にやりとりが生まれ、ことばが育まれるのです。
大阪女学院大学・短期大学学長/大阪女学院大学国際・英語学部教授。Ed.D(教育学博士)。
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