児童精神科の看護師が伝える「『反抗期?』と感じたら子どもとの距離感を見直そう」

子どもは理由なき反抗はしない!『大人はでしゃばらない』のが対応のカギ。『子どもの傷つきやすいこころの守りかた』に続く思春期編。「話さない」=「悩んでいない」ではない。似ているようで違う、「過保護」と「過干渉」。親の「心配」がいつのまにか「支配」になっていないか。

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10代の子の心は、大人が思うよりも繊細で、壊れやすいもの。児童精神科の看護師が見つめてきた10代の「こころの声」を、やさしく受け止めるためのヒントをお伝えします。
こど看著書『児童精神科の看護師が伝える 10代のこわれやすいこころの包みかた』から一部転載・編集してお届けいたします。

「反抗期?」と感じたら子どもとの距離感を見直そう

子どもが成長するにつれ、子どもとの距離感に悩まされる方は少なくありません。

「あっち行って!」と突き放されたと思ったら、翌日にはケロッとした顔で甘えてくる。

「これまでうまくかかわれてきた」と感じていた方も、戸惑ってしまうことがあるかもしれません。

ですが、そんなときこそ思い出してほしいのです。

これまでのあなたのかかわり方や距離感は、決して間違っていなかったことを。

子どもが「NO」をはっきり言えるようになったということは、自分の意思を持ち、少しずつ親の保護的な距離から離れる準備が整ってきたということ。

つまり、その子が自立へ向かって、確実に歩みを進めている証でもあるのです。

あなたがこれまで無条件に子どもを守り、時に口を出しながらも懸命に支えてきたからこそ、その子は安心して「離れては戻ってくる」という経験を始めることができたのです。

「いつでも手を差し伸べられる距離」にいたあなたの存在が、その子の安心の土台となっていたことは間違いありません。

だからこそ、これまでのかかわり方や距離感を「近過ぎた」「甘やかし過ぎた」と嘆く必要はありません。

むしろ、今は、その距離感を見直す時期がきた、というだけのことなのです。

子どもは今この瞬間も、大人の想像を遥かに超えるスピードで成長しています。

思春期に入るとさらにそのスピードは速くなるので、その急激な成長を目の当たりにすると、「大丈夫かな」「ちゃんとやっていけるかな」と不安になるのも当然です。

なぜなら、これまでの子どもとの距離感が、とても保護的な距離感だったので、子どもが不安定ながら前に進もうとしている姿を見ると、つい後ろにピッタリと張り付いて、「大丈夫?」「ちゃんとやってる?」と声をかけたくなってしまうのです。

これは責められるようなことではなく、子どもの不安定な前進を近くで見ているあなただからこそ、どうしても余計な干渉をしてしまうのです。

さて、肝心の子どものこころの中では、何が起きているのでしょうか。

実は、「本当は親に頼りたい。けど、やっぱり親はうざい」といった、なんとも複雑で純粋な葛藤を抱えています。

はたから見れば「めんどくさい」と思われてしまうかもしれませんが、その子は本気で悩んでいるのです。

だからこそ、大人も「この子、どうしたらいいの......」と悩んでしまうのですが、そんなときこそ「今の子どもとの距離感を見つめ直す」ことを意識してほしいのです。

「子どもの歩みを阻むように口を出し過ぎていないか」「子どもの甘えを受け入れずに厳しくし過ぎていないか」と、自分と子どもの距離感を改めて見つめてみましょう。

その上で、私のおすすめは「木陰から見守る距離感」です。

子どもの後ろにピッタリ張り付くのではなく、木陰の後ろにそっとしゃがんで子どもを見守り、子どもが頼ってきたタイミングでスッと手を差し伸べる。

そして、手を差し伸べたあとはサッと定位置である木陰に戻りましょう。

なぜ木陰に戻るかといえば、「やっぱり親はうざい」からです。

どうですか?超めんどくさいですね?ただ、忘れないでください。

「自分って超めんどくさい」と一番悩んでいるのは、その子自身だということを。

実際、子どもの反抗的な言動を受ける側も大変です。

「またクソババアって言われた」「無視しないでよ……」など、これまで子どもが見せなかった言動を「スルーしましょう!」と言われても……。

それができれば苦労はしませんよね。

そんなときは、子どもと少し距離を置いて、あなた自身を休ませることも大切です。

子どもの反抗的な言動は適度に受け止めつつも、あなたはあなたで自分を休ませたり、気分転換をしてもよいのです。

そうでもしなければやっていけないほど、思春期のお子さんの毎日を支えるのは大変なことです。

少し距離を取ることで、子ども側としてはある程度自分の判断と責任で行動できるようになるため、「あれ?これも大丈夫なの?」と今までの距離感との違いに戸惑いつつも、「もしかして信じてもらってる?」と、遠回しにですが自分を認めてもらっていると感じるのです。

この感覚は、子どもの自己肯定感や自立心を育む大きな要素となります。

反抗的な態度を取る子どもに対して、「転ばぬ先の杖」として先回りして支えるのではなく、「転んだ先のオアシス」として、いつでも戻って休める場所でいる。

そんな距離感が、思春期における、お互いを尊重し合った関係と言えるのではないでしょうか。

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