防災収納インストラクターが伝える!――熊本地震から学んだ「片づけの本当の目的」
熊本地震を経験した防災収納インストラクター・松永りえさんが、命を守るためにたどり着いた答え。それが、“地震に強い収納=防災収納”。日常生活で無理なく続けられる防災収納を紹介します。 初心者でもすぐに取り入れられるヒントが満載! この一冊で、あなたの家が“地震に強い家”に変わります。
防災
「いつ起こるかわからない地震に、備えられていますか?」本書は収納の視点から防災を考える“防災収納”のヒントが満載の1冊です。
家具の配置や収納物の選び方を工夫すれば、暮らしの安心度がぐんとアップ。
家族を守る知恵が詰まっています。
松永りえ先生の著書『地震に強い収納のきほん』から一部転載・編集してお届けいたします。
熊本地震で学んだ「片づけの本当の目的」
2016年の熊本地震を思い出すと、今でも少し、体に力が入ります。
4月14日の夜、突然襲ってきた下から突き上げる衝撃とその後の長い横揺れ。
当時保育園の年中だった娘を抱き、小学校2年生の息子の手を引いて避難した公園の暗さ。
鳴り止まない地鳴りと続く余震。
「大丈夫」だと思っていた防災リュックがまるで使いものにならなかったときの絶望感—。
明け方頃でしょうか、余震が収まったので帰宅しましたが、15日の深夜、再び大きな揺れに襲われました。
その大きさは「震度6強」。
14日の「震度6弱」とは比較にならず、ガシャンガシャン!と、なにかがぶつかり倒れて落ちる音を聞きながら、その場にうずくまるのが精いっぱい。
子どもたちのところに駆け寄ることすらできませんでした。
家族全員、無事でよかった。
今でも本当にそう思います。
すでに整理収納アドバイザーとして活動していたこともあり、家の中のものは少なかったので、周りの家と比べると、被害は軽いほうだったのだと思います。
片づけの大切さや正しい収納が安全につながることを再確認しつつ、一方で、それだけではたりないことも痛感しました。
片づけの目的は人それぞれです。
私自身はというと、熊本地震前は暮らしやすさや機能性、おしゃれだけを目指していました。
ですが、熊本地震を経験し、片づけの目的は「安全」だと確信。
家の中で亡くなる人をゼロにしたい!という思いで、防災士や防災共育管理士など、防災関連の資格を取得し、災害があっても生きて、暮らしをつなぐ収納—「防災収納」の必要性を伝える活動を始めました。
片づけをして使わないものを減らせば、家の中の危険を減らすことができるし、避難生活や被災生活のための備蓄品を保管する空間をつくることができるのです。
片づけは大切な人、大切な暮らしを守るため。
そんな視点で、家の中を見直して、防災収納を始めてほしいと思います。
人まかせの防災は危険!命を守るのは「自分」次第
「安全対策ってダサいし、少し面倒」「避難所に行けば大丈夫でしょ」「いざというとき、だれかが助けてくれるはず」―。
あなたがもし、こうした考えをもっていたら、かなり危険です。
災害時の支えには、国や自治体による「公助」、町内会やご近所とのつながりによる「共助」、そして自らが備える「自助」の3種類があり、これら3つが連携し、助け合うことで効果的な災害対策ができるとされています。
そして、注目すべきはそのバランス。
自助:共助:公助の比率は、「7:2:1」。
なんと、7割は自分自身での備えが必要なのです。
そう聞くと「自分の身は自分で」と言われているようで、冷たく感じるかもしれません。
しかし、見方を変えれば、自分の対策次第で助かる可能性が高まるということ。
そして、準備次第でストレスの少ない被災生活を送れるということです。
人まかせでどうなるかわからない不安を抱えるよりも、できることを行って安心材料を増やすほうが、普段も被災時の暮らしもラクになると思いませんか?とくに、家の中のことは実際に住んでいる人が対策するしかありません。
だれかがチェックしてくれるわけではありませんし、自分の責任なのです。
熊本地震の前、熊本県は地震リスクが少ないといわれていました。
しかし、マグニチュード6・5/最大震度7の地震が発生し、その28時間後にマグニチュード7.3/最大震度7の地震に襲われました。
同じ地域で28時間以内に2度、震度7級の地震が起こるのは「観測史上初」でした。
このように、想定外のことが起こるのが災害。
だからこそ、「自分は大丈夫」と過信せず、備蓄品の準備や安全対策など自ら備えておくことが大切です。「まぁ、そのうちに」と思うかもしれません。
でも、備えの重要性に気づいた人たちから、着々と準備を始めています。
周囲には言わないですけれどね。
mujikko。防災収納インストラクター。Laughing Home代表。JCDP認定分科会 日本災害連携協会つなぐ 理事。
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