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自分で考えて動く「やる気」の高め方

「早くして!」「勉強しなさい!」「片づけなさい!」はもう言わない!自分で考えて動ける子の育て方#03

更新日:

須合 啓
学習習慣形成プロデューサー(学習塾STUDY HOUSE代表)

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自分で考えて動く「やる気」の高め方

自分で考えて動く「やる気」の高め方

自分で考えさせよう

人の話を聞いているつもりで、「答え」を押しつけていることがあります。

たとえば、みなさんは学校帰りの子どもに、

「学校おもしろかった?」

と聞いたことはありませんか。

何気ないひと言ですが、ここには聞き手が無意識のうちに子どもから返ってくることを望んでいる、

「学校はおもしろい」

という「答え」が顔をのぞかせています。

子どもに学校での様子をたずねたいなら、

「学校はどうだった?」

「今日は学校で何があったの?」

こんなふうに聞いてあげればいいのです。

ここが

大事

「子どものナビゲーション」で散歩してみる

答えを押しつけられると、きゅうくつな反面、自分で考えずにすむので楽でもあります。

答えを隠した問いかけで、子どもの脳にどんどん汗をかかせてあげてください。

自分で考えて答えを出し、出した答えを背負う癖がつけば、そこから責任感と決断力の芽が伸びていきます。

「道に迷わないかな?」と子どもが心配するようなら、「道はわかっているから大丈夫」と言って安心させてあげてください。

「ありのまま」を共有しよう

「親はこうあるべき」「子どもは常識的にはこうあらねばならない」

といった思い込みが強すぎる親御さんは、「完ぺき主義」という落とし穴にはまります。

完ぺき主義になると、自分や他人の言動のアラ探しだけをする 「評論家」が頭の中に住みつき、「こうすべき!こうあらねば!」とダメ出しを続けます。

ダメ出しは決して止まりませんので、完ぺき主義はいつか必ず挫折します。

これでは親子共々とてもつらいですし、のびのびと生きていけません。

ここが

大事

お互いのことを伝え合う「名前のワーク」

親御さんの頭の中から口やかましい「評論家」を追い出すために、私の塾では「ビーイング」というワークをやっています。

ここでは、導入部分の「名前のワーク」をご紹介しましょう。

私の塾では、入塾時の面談で、必ず親御さんを前にして、「君の名前 の由来や君への思いはわかる?」と聞きます。

そもそも名前は、名づけた人が、その子に託したかったミッションを秘めていることがよくあります。

「氏名」は「使命」なのです。

「お母さん、お父さんが、君の名前に込めた思いや願いは何か?」

「それをお母さん、お父さんはどう受け止め、何を大切にして生きてきたか?」

子どもからのこの質問をきっかけに、お互いの「ありのまま」をたずね合って共有してもらい、

さらにそれを活かし合うやり方をオープンに話してもらいます。

親御さんが名前に込めたものを子どもがどう受け止めたか、親子それぞれの弱みや強み、やりたいこと、やりたくないこと、他人にしてあげたいこと、されたくないこと、するべきこと、してはいけないことなど、 意外な答えに驚くかもしれません。

まずはご家族の誕生日などに、親子で名前のことだけでも語り合ってみてください。

「評論家」ではなく「プレイヤー」として、親子が力を合わせて困難なこの時代に立ち向かう「仲間」になるきっかけだけでもつかめれば、 ワークは大成功です。

他の「いい方法」のヒントを渡そう

難しそうなことに挑戦するとき、子どもは背中を押してほしいこともあります。

そんなとき、一番いい形で手助けできるのは、やっぱり一緒に暮らす親御さんです。

私が日ごろ「ウマいなあ」と思う親御さんは、子どもに必ず「工夫の選択肢」を提示しています。

たとえば自由工作で、カッターを使って厚紙を丸く切り抜くのが難しければ、「じゃあカッターは止めて、厚紙のほうを回してみたら?」と、こんな具合です。

分数の問題がわからなければ、ピザの絵を描いて考えてみようかと提案したり、長文の文章題で頭が真っ白と言われれば、細かく区切ってみようかと促したりします。

もっとすごい親御さんになると、自分から選択肢を出したうえで、子どもに「他に何かいい方法はないかな?」と質問し、最終的にどうするかは、出てきた方法の中から子ども自身に選んでもらっています。

子どもが自分でも考えて、自分で納得して選び、自分で責任を持って動く「流れ」を自然につくれているのです。

考える

ヒント

「最高のお手本」と「自分」との比較で伸びることも

鉄棒の逆上がりや英会話など、体を使った実技については、考え方や、やり方の選択肢を、親御さんから提示するのが難しいこともあります。

「実技」の上達の極意は、何と言っても「じょうずな人の真似」です。

今はYouTubeなどの動画サイト上に、最高のお手本がたくさんアップされています。

そのお手本と、スマホなどで撮った子どもの実技の動画を比較し、修正ポイントを、子どもと一緒に探って試し、また撮って、また比較をして、というように、くり返すことが上達の早道になります。

子どもの実技の動画の撮影、お手本との比較と修正ポイントの分析、修正後の印象のフィードバックなどを親御さんがお手伝いしてあげるといいでしょう。

PROFILE

学習習慣形成プロデューサー(学習塾STUDY HOUSE代表)

須合啓

秋田県生まれ。20歳から塾講師をスタートさせ、教員生活25年。
これまで指導した生徒数は延べ10,000人を超える。埼玉県の公立高校の商業科に12年間勤務。12年連続簿記検定全員合格と、偏差値30台の高校から難関大学への進学をサポートした。
高校野球部の監督も務める。部員不足で大会に出られなかった野球部をゼロから作って大会出場、市内大会優勝などに導く。 2012年、自宅の机1つでオンライン教員採用試験受験予備校「教採スクール」を起業。合格率26%の教員採用試験で開校以来、合格率80%以上をキープ。2021.2022年は合格率90%を超えた(現在も稼働中)。
2015年、地元秋田で、小中高を対象にした塾経営をスタート。当初7人しかいなかった生徒は現在146人、2校舎を構える。小学生の中学受験指導を担当して3年連続合格率100%を達成。まったく勉強しなかった小学3年生の生徒が自分で計画を立てて学習するようになったり、小学部から通っていた生徒が中学校を経て県内トップ進学高校へ進学したりするケースも決して珍しくない。
自らも指導を開始して3年目の2021年3月には、医学部、難関公立大学、大学推薦組、中学受験組、高校推薦入試組、高等専門学校(高専)受験組、高校私立組が全員合格。また、学力日本一の秋田県にて中学3年生の秋田県模試で4年連続(2023年8月末現在)総合順位1位の生徒を輩出中。

「自分で考えて動ける子の育て方 「早くして!」「勉強しなさい!」「片づけなさい!」はもう言わない」

著者名
須合 啓
出版社
 明日香出版社

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