人の気持ちがわかる「共感力」の高め方2
「早くして!」「勉強しなさい!」「片づけなさい!」はもう言わない!自分で考えて動ける子の育て方
しつけ/育児
人の気持ちがわかる「共感力」の高め方
「食卓」を大切にしよう
これは食文化の研究で有名な文化人類学者、石毛直道氏の言葉です。
人間以外の動物では、親が子どもにエサを与えることはあっても、おとなになった後は、自分で獲得した食べ物を自分で消費するのが基本になっています。
人間だけが、食べ物を家族や仲間どうしで分け合って「一緒に食べる」 と言うのです。
「共感力」を育てるためには、自分勝手に何かをするのではなく、だれかと「一緒にいる」「一緒にする」という感覚を養うことがとても大切です。
子どものこの感覚を育てるために、人間の文化や家族、社会の起源にも深く関係している「共食」を、ご家庭の食卓で大切にするようにしましょう。
大事
「一緒にする」感覚を子どもにしみこませよう
私の塾でも、まわりを気づかえるやさしい子は、友だちと「一緒に勉強する」こと、「一緒にごはんを食べる」ことがじょうずです。
自然に誘い合っていますし、相手の準備が整うのをさりげなく待っています。
親御さんが料理をする、子どもが箸、食器、料理をテーブルの上に並べる。
できればテレビは消して、顔を合わせ、声をそろえて「いただきます」と言う。
今日これからのこと、あるいは今日一日あったことをおしゃべりしながら食べる。
そういう何気ない毎日のくり返しによって、子どもに「一緒にする」という感覚がしみこんでいきます。
老若男女、共食が心身の健康状態にいい影響を及ぼすことも広く知られています。
同じ家族でも、それぞれの予定もタイムスケジュールもあるでしょうから、いつも全員でというのは難しいかもしれません。
そのときそのとき、居合わせたメンバーどうしで、無理なく、楽しく一緒に食べましょう。
「晴れ舞台」での活躍を褒めちぎろう
学校には、絵画や習字の時間、読書感想文、夏休みの自由研究学芸会などがありますね。
もしもこうした「晴れ舞台」で、子どもが賞をとるようなことがあったら、もちろんほめてあげてほしいのですが、何よりもたたえてあげたいのは、その子が最後まで「やり切った」ことです。
「やり切った」ことへの称賛は、まわりの子たちと「一緒にやろう」と先生から呼びかけられたことを、その子が最後まで尊重できたことへの称賛にもなります。
つまり「やり切った」ことプラス「一緒にできた」ことへの称賛にもなるのです。
大事
「他の子」のことも聞いてあげよう
こういうときに、私がよくお願いしているのが、子どもに「他の子はどうだった?」と聞いてもらうことです。
たとえば、子どもが絵画で金賞をとってきたら、
「銀賞の子はどんな絵だった?」
「賞はとれなかったけど、すごい迫力の作品を描いている子はいなかった?」
と、親御さんにインタビューしてもらっています。
「一緒に」やっていた子たちにも注目する時間を持ってほしいからです。
その時間を通じて、子どもの”まわりの子たちの強みや個性を素直に称賛できる心”を育む機会にしてもらいたいのです。
友だちの好きなところ、いいところ
子どもから、「○○ちゃんの家で放課後勉強する」と言われて、それを頭ごなしに、「ダメ、どうせ遊ぶんでしょ!」と否定したことはありませんか?
子どもにとって友だちとの人間関係は、大切な「居場所」のひとつです。
理由はどうであれ、やみくもに否定することはおすすめできません。
こういうことを避けるためにも、日ごろからお友だちの「好きなところ」や「いいところ」を教えてもらうようにしましょう。
大事
子どもの「人を見る目」を尊重しよう
ふだんの会話の中で、お友だちの話が出たときなどに、
「○○ちゃんの話をしているとホントにうれしそうだよね。○○ちゃんのどんなところが好きなの?」
と聞いてみるのがポイントです。
子どもの交友関係(居場所)を尊重しているメッセージになりますし、「私はこういう人が好きなんだ」という、子ども自身の価値観の自覚を促す機会にもなります。
しっかりと話を聞いたうえで、親から見た友だちに対する印象も伝えることができるので、子どもの「人を見る目」も鍛えられていくでしょう。
「人を第一印象だけで安易に判断しない」といったいい習慣も身につくはずです。
学習習慣形成プロデューサー(学習塾STUDY HOUSE代表)
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