どんな子育てにも「こころの余裕」が必要
“良い” とされる子育てをしても、どんなに愛情を伝えていても、結ばれていないことはあるのです。 そんな子の困った行動が減り、困難を乗り越える力が育つ!
発達/発育
発達障害?グレーゾーン? どんな子育てにも「こころの余裕」が必要
どんな子育てにも「こころの余裕」が必要
→いかにこどもと気持ちよくかかわれているか
こどもと愛着の絆を育んでいくうえでもっとも大切なのは、思い入れの度合いでも、かかわる時間の長さでもありません。
こどもの気持ちやタイミングを察知するために必要なものは、あなたの感受性です。
親御さんのなかには、子育てにどっぷりのめり込んでいる方もいれば、もう解放されたくて仕方がないと嫌々子育てしているという方もいらっしゃいます。
両者はまるで正反対のタイプに思えるのですが、実は共通点があります。
それは、子育てをあまりにも大変なことだと思いすぎている、ということです。
子育てにはもちろん大変なことがたくさんあります。
ただ子育てには、大変なこと以上に喜びもあり、発見もあり、何より「ともに成長していける」すばらしさがあるものです。
でも、こころに余裕がなければ、大変さばかりを感じてしまいます。
疲れていたり、せっぱ詰まっていたりすれば、感受性の働きも鈍ります。
すると、こどもとの絆も結びにくくなって、よけいに愛着の問題が生じるという悪循環をまねくでしょう。
あなたは、どう感じているでしょうか?こころに余裕があるか否かを計るのに、とてもいい質問があります。
「今、あなたはお子さんと気持ちよくかかわれていますか?」
もし答えに迷いがあるのなら、こころの余裕が失われているかもしれません。
いかに親が気持ちよくこどもとかかわれているかとてもシンプルですが、この状態を意識することが、何よりも”いい子育て”の原点なのです。
→「煮詰まったら、違うことをする」を意識する
「自分は気持ちよくこどもとかかわれているかな?」
そう問うてみて違和感があるのなら、あなた自身がケアを必要としているタイミングかもしれません。
日々、目の前でさまざまに変化するこどもの感情を見ていると、親御さんのほうもネガティブな気持ちの連鎖に巻き込まれてしまうことがよくあります。
自分が負っていたトラウマ的な気持ちを、思い出してしまうのです。
すると、「自分はこんなにがまんしてきたのに」と爆発したくなったり、「こんなにひどいことを言ってくるこどものことなんて、もうやっていられない」と育児放棄したくなったり、「こんなふうに思ってしまう自分に子育てなんて無理だ」と全否定してしまうような心境になることもあるでしょう。
そんなときにまず必要なのは、気分転換です。
今とは違う方向を向いて、気持ちを鎮めることを目指しましょう。
できるだけ意識的に、「煮詰まったら、違うことをする」というパターンをつくって習慣にしてください。
そんなあなたを察して「じゃあ、どこかお出かけしようよ」と誘ってくれるパートナーだったら最高ですが、自ら意識するだけでも気分が変わるはずです。
子育てのあわただしい日々のなかでは、何でも「今すぐやらなきゃ」と追い立てられているような気持ちになりますが、本当に今すぐ何とかしなくてはならないことは、実はそんなにありません。
あとからいくらでもフォローできるのですから、あなた自身の気分転換を優先したって問題ないのです。
和歌山大学教育学部教授/臨床発達心理士スーパーバイザー/学校心理士スーパーバイザー/上級教育カウンセラー/ガイダンスカウンセラー・スーパーバイザー。
臨床発達心理学・実践教育心理学が専門。 保育園や幼稚園、小中高や支援学校、医療福祉施設など、子育ての現場に自ら足を運ぶ。
何千、何万というこどもに触れ、現場の視点を大切にし、支援者が元気になり納得できるを信条に、親や教育者、支援者へ“愛着の問題”解消のためのアドバイスを行っている。
また、保育・教育・福祉関係者から保護者まで、幅広い層を対象とした数々の講演会で講師としての実績も豊富に持つ。
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