ルールを守れないならルールのほうを変える

子どもとのコミュニケーションをおざなりにしないで

親子関係

精神科認定看護師。
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ルールを守れないならルールのほうを変える

門限やお小遣いの使い方、スマホやゲームの使用時間などの「ルール」を子どもが守らず、「ルールを守りなさい!」と強く叱った経験は誰しもあると思います。

その結果、子どもがさらにルールを守らなくなったり、隠れてルールを破ろうとして、また「ルールを守りなさい!」と強く叱る......。

このつらいループですが、なぜこのような状況になっているのかを考えたとき、「その子が守れないルールを課している」ことが結構あります。

例えば、「中学生だから門限は夜6時にしよう」「ゲームは1日1時間にしよう」というように、どこかで見たルールをそのまま採用すると、子どもがルールを守れない可能性が非常に高くなります。

なぜなら、「なんとなく」で決められたルールは、当然ながら子どもの今の状態に合わせたルールではありませんし、子どもの納得感を無視しているので、子どもにとっても到底納得することのできないルールだからです。

このような「その子が守れないルール」を課すと、子どもは当然がんばってもルールを守ることができないため、「ルールを守れた」という小さな成功体験を積むことができません。

それどころか、「ルールを守れなかった」という失敗体験を積み重ねてしまい、その状況が長引くと、「ルールを守れない自分が悪いんだ」と自分自身を批判するかもしれません。

この反応は、ルールによって子どもが自信を失っている状態であり、避けるべき状態です。

「子どもがルールを守らない」と感じたとき、そばにいる大人にしてほしいのは「子どもが守れないルールを課していないか」という自問です。

そして、守れないルールを課していたことに気づいた場合は、子どもの意見を積極的に取り入れながら、「その子が守れるルール」を、子どもと一緒に新しくつくってほしいのです。

では、何に気をつけて子どもと一緒にルールをつくればよいのでしょうか。

まずは、「どんなルールだったら守れそうか」を、お互いの意見を出し合いながら考えてみましょう。

基本的には子どもができることを中心として、ほんの一部に「少しがんばれば守れそう」といったチャレンジ的な内容も盛り込むとよいでしょう。P5でもお伝えしたように、「ここまでは親がやるけれど、これ以上はやらない」と境界線を考えるのもおすすめです。

ここで大人が意見を言いすぎたり、その子が守れそうにない厳しいルールを入れようとしてしまうと、子どもに「どうせ大人が全部決めるんだ」という無力感を感じさせてしまうので、かならず子どもの意見を積極的に聞き入れましょう。

最初から完璧にルールを守れる子はいませんので、「ルールは徐々に守れるようになっていくもの」と、ゆるく考えながら、お互いの意見を出し合うことが大切かなと思います。

そしてルールをつくった後に忘れてはいけないのが、「守られていないルールを放置しない」ことです。

子どもがルールを守っていないことを知りながらも、働きかけをせずにその状況を放置することは、子どもにとっての「ルール」の価値を大きく下げてしまいかねません。ルールを一緒につくって終わりにするのではなく、ルールとその子の関係を定期的に見直す必要があります。

加えて、日々の生活の中で、子どもがルールを守れているならば、その事実を定期的に子どもへ伝え、評価してあげてください。

ルールを守れなかったときにだけ「ルールを守りなさい!」と言われると、子どもはいやになってしまいます。

ルールを守れているときにこそ、「ルールを守っている君は最高にかっこいいぜ!」といった感じで褒めましょう。このような小さな成功体験の積み重ねが、「自分はルールを守ることができる存在なんだ」と子どもの自信につながっていくのです。

ルールは子どもと一緒に考え、その子に合わせたものにすることで、初めて子どもが自発的に「守りたい」と思えるようになっていくものです。

子どもの納得感を無視して「子どもが守れないルールをつくる」ということは、「その子をルールが守れない子にする」ということです。

守れないルールを一方的につくるくらいなら、そもそもルールなんかつくらないほうがいいと思うくらいです。

PROFILE

精神科認定看護師。

こど看

精神科単科の病院の児童思春期精神科病棟に10年以上勤める。
現在も看護師として病棟勤務しながら、「子どもとのかかわりを豊かにするための考え方」をSNS等で精力的に発信中。
メンタル系YouTuberの会所属。一児の父。

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