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子どもの自己肯定感を下げない褒めかたとは?

子どもが「安心感・自己肯定感」を持つためには

更新日:

こど看
精神科認定看護師。

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児童精神科の病棟看護師が伝える“子どもの自己肯定感を下げない褒めかた”

子どもの自己肯定感を下げない褒めかた

子どもが挨拶をした、お手伝いをしてくれた、自分から宿題に取り組んだ............。これらの行動に対して、あなたならどんな言葉で褒めるでしょうか。ズバリ言い当ててみせますね。

「すごい!」「えらい!」「がんばったね!」のどれかではないでしょうか?

当たったかどうかはさておき、私はこれらの言葉が悪いとはまったく思っていません。むしろどんどん使ってほしいと思っているくらいです。

ただ、こういった褒め言葉は、子どもが大人の期待に応える行動をしたときに出やすい言葉だということは、頭の片隅にとどめておきたいと思っています。

たしかに「すごい!」「えらい!」などの言葉を聞いた子どもは喜ぶでしょうし、また次も褒められるようにがんばろうと思うはずです。

しかし、このような「大人の期待に応えたときにだけ褒める」という方法を繰り返していると、子どもの自己肯定感が低下してしまうことがあります。

大人に置き換えて考えてみましょう。

例えば、あなたが仕事で何か成果を出したとします。

そのとき、上司や同僚から「こんなに売り上げを上げるなんてすごいね!」「君は職場に貢献して本当にえらいよ!」といった感じで、成果だけを評価される形で褒められ続けたとします。

最初は誇らしい気分になるかもしれませんが、人間なので成果をずっと出し続けるということは不可能です。

すると、「次も成果を出せるかな」と心配になったり、「成果を出せなかったら異動させられるかもしれない」と不安を感じたり、「いろんな形で会社に貢献しているのに、成果でしか評価されない」と不満や怒りを感じるかもしれません。

このように、「成果を上げなければ褒められない」「成果だけに注目されて褒められる」という状況は、大人であっても非常につらいものです。だからこそ、成果だけを見て褒める言葉の代表格である「すごい!」「えらい!」「がんばったね!」一辺倒の褒め方はおすすめできないのです。

では「すごい」「えらい」「がんばったね」を使わないで、どのように褒めればいいのでしょうか。

それは、「子どもから受けたよい影響をそのまま言葉にする」という方法です。

例えば、子どもがお風呂掃除のお手伝いをしてくれたとします。そんな子どもの姿を見たとき、きっとあなたの気持ちの中に、「助かったな」「うれしいな」「ありがたいな」といったポジティブな感情が芽生えますよね。すると.........もうお気づきですね?そのポジティブな感情をそのまま言葉にして、「本当に助かったよ、うれしいなぁ.........ありがとう!」と子どもに伝えてあげるのです。

この褒め方のポイントは、子どもがあなたにポジティブな感情を芽生えさせていることを褒めている点です。

ピカピカのお風呂を見て喜んでいるのではなく、お風呂をピカピカにしてくれたその子の存在そのものを褒めることになります。この方法が、「子どもから受けたよい影響をそのまま言葉にする」というやり方です。

子どもへの褒め言葉に困ったときにこそ、子どもの姿を見たときに生まれる自分のポジティブな感情に集中しましょう。

そこには、子どもがあなたによい影響を与えているというすばらしい事実が確実に存在します。その事実を子どもにストレートに伝えることで、子どもが「あれ?自分って結構すごいのかな?」と自分で自分を褒められるようになるかもしれません。

PROFILE

精神科認定看護師。

こど看

精神科単科の病院の児童思春期精神科病棟に10年以上勤める。
現在も看護師として病棟勤務しながら、「子どもとのかかわりを豊かにするための考え方」をSNS等で精力的に発信中。
メンタル系YouTuberの会所属。一児の父。

「児童精神科の看護師が伝える 子どもの傷つきやすいこころの守りかた」

著者名
こど看
出版社
 KADOKAWA

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