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元自衛隊の心理カウンセラーが贈るポイント「昔とは違う子育て」

日々子育てに奮闘している、ワーキングマザーに向けて元自衛隊の心理カウンセラーが、心をラクにするための〈心構え〉と〈対策〉をまとめました。

更新日:

下園 壮太
NPO法人メンタルレスキュー協会理事長、元陸上自衛隊衛生学校心理教官。

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心をラクにする心構えと対策「昔とは違う子育て」

子育てを自分のパフォーマンスとして考えてしまいがち

今のお母さんたちの、見えづらい「つらさ」。

そのひとつには、子育てが昔よりも特別な体験になったこともあります。

昔は子どもの数が多かったので、子育て自体、あまり特別なものではありませんでしたが、今は出生数が減少し、少子化が加速しています。

その分、1人の子どもに向けられる親の注目度は上がっていて、お父さんお母さんたちは、一生懸命、子育てに取り組みます。

それ自体はよいのですが、一方で、うっかり陥りやすい「理想の子育てトラップ」になっているように感じるのです。

まるで自分のパフォーマンス結果として、子育てをチェックしてしまう方が少なからずいらっしゃるからです。

とは言え、これはある程度、仕方のないこと。

人はエネルギーを使用(拠出)したら、その分の報酬や見返りを欲しがる生き物です。子育てもがんばったらがんばっただけ、成果として「いい子」「思いどおりの子」に育ってほしくなってしまいます。

でも、子どもは、お父さんやお母さんと同じ、ひとりの人間です。

親が努力したからと言って、親の思うような成長を遂げるとは限らない。

というか、まず思いどおりにならないし、思いもよらないことのほうが多く起こるものです。

たとえば、そもそも「女の子が欲しい」と思っていても、男の子が生まれることもあるし、サッカーをやらせたくても、我が子は運動が苦手かもしれないのです。

愛情いっぱいに育てたから、正しくしつけたからといって、その子の人生が順風満帆に行くとは限りません。

と、頭では理解していても、一生懸命子育てに取り組んでしまう分、どうしても期待値が上がってしまう。

でも思うような成果が得られないと感じたとき、自分自身の子育てが失敗だったのではないかと不安になり、自信を失っていく。

現代の子育て環境では、そんな方が増えているように感じます。

子育てに「慣れる」という勘違い

今のお母さんたちが抱えるつらさについて考えるとき、気になることがもうひとつあります。

それは、お母さんたちが持つ「子育てはやがて慣れるもの」という思い込みです。

「1人目はいろいろ気になって神経質になるけれど、2人目、3人目はどんどん慣れて、おおらかに育てられる」

とは、よく聞く話ですね。

もちろん、ひととおりの経験と知識ができると、子どもの世話に熟練していくというのは事実でしょう。

一方で、この言葉をそのまま鵜呑みにしないでほしいと思うのです。

「1人目で慣れたから、2人目はもう大丈夫。ラクにできる(はず)」と、自分への期待値を無意識に高めてしまう恐れがあるからです。

実際の子育てに苦労するとき、この期待値とのギャップで不必要に自信を失ってしまい、落ち込んでしまう方が少なからずいらっしゃるんです。

1人目は、親となって、初めての体験が続きます。

そして2人目は、「1人目を育てながらの子育て」という、初めての体験になります。

3人目以降も同じです。

また、日ごとに子どもはどんどん変わっていくし、自分も周囲の環境もどんどん変わっていくものです。

常に状況は新しく、いつも「初めての体験」なんですね。

どの子育ても、特別で、難しいものなのです。

上手に、楽に、完璧にできることをイメージしすぎないようにしましょう。

PROFILE

NPO法人メンタルレスキュー協会理事長、元陸上自衛隊衛生学校心理教官。

下園壮太

陸自初の心理幹部として多数のカウンセリングを経験。
その後、自衛隊の衛生科隊員(医師、看護師、救急救命士等)やレンジャー隊員等に、メンタルヘルス、カウンセリング、コンバットストレス(惨事ストレス)対策を教育。
本邦初の試みである「自殺・事故のアフターケアチーム」のメンバーとして、約300件以上の自殺や事故にかかわる。
2015年8月退職。
現在はNPO法人メンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、産業カウンセラー協会、県や市、企業、大学院などで、メンタルヘルス、カウンセリング、感情のケアプログラム(ストレスコントロール)などについての講演・講義・トレーニングを提供。著書50冊以上。
公式HP: http://www.yayoinokokoro.net/

「ワーママが無理ゲーすぎてメンタルがやばいのでカウンセラーの先生に聞いてみた。」

著者名
下園 壮太
出版社
 時事通信出版

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