東大野球部式“子どものポテンシャルを溜めさせるには?”

30年間の塾での指導、200人の東大生を育成してきた、元東大野球部監督が教える 勉強もスポーツも得意になる育て方とは!?

教育

野球指導者。学習塾「Ai西武学院」塾長。
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才能とポテンシャル。子どものポテンシャルを溜めさせるには?

親御さんの声に、

「東大っていっても、どうせ結局、生まれつき頭のいい人の話ですよね.....」

「私には学歴がないですし、どうせうちの子も......」

というものがありました。

生まれつきの才能や遺伝についての不安があるのでしょう。

ここでは、そのレッテルをはがしてまいりましょう。

まず、世間一般に思われている才能(遺伝・生まれつきのもの)と、良く似た意味で使われるポテンシャル(潜在力・可能性)について整理します。

じつは、才能・ポテンシャルともに先天的・後天的の両面があります。

しかし、やや専門的となるので、本書では、「才能=先天的なもの」「ポテンシャル=後天的なもの」と定義します。

ここでお伝えしたいのは、「ポテンシャル=後天的なもの」についてです。

物理学では、ポテンシャルとは外部に対して働きかけるために蓄えられたエネルギーのことと言われています。

それだけに、「ポテンシャルが溜まる」という考え方があります。

たとえば、バネを例にすると、バネはそのままだと何のパワーも発揮しないですし、仕事をしません。

バネは、縮めて力を溜めて離した瞬間、初めてパワーを発揮します。

このバネを縮めている段階を、ポテンシャルが溜まると言います。

人間の生まれ持った先天的な才能をバネの強さや長さとすれば、それに力を加えてどのくらい縮めていくのか、そのとき溜まるエネルギーがポテンシャルです。

いくらいいバネを持っていても、力を加えない(溜めない)限り、役に立ちません。

才能は先天的なものですが、ポテンシャルは後天的なものだけに、教育などの環境を整備することで溜めることができます。

遺伝と環境。学力の遺伝の影響は55%。どう解釈する?

次に、才能にまつわる「遺伝か環境か」という話に移りましょう。

遺伝学についての研究や学問は古今東西で行われています。

皆さんも専門的な論文を読まなくても、「プロスポーツ選手の親もまたスポーツ選手」というような話を見聞きしているでしょうし、なんとなく遺伝の強さを想像できるかと思います。

それだけに「どうせ・・・・」とあきらめのような気持ちになるかもしれません。

実際、音楽、数学、スポーツの分野では、とくに遺伝の影響が顕著なデータがあります。

では、気になる、学力(テストの点数)についてはどうでしょうか?

行動遺伝学者・安藤寿康氏の研究結果によれば、学力の遺伝の割合は55%、共有環境が17%、非共有環境が29%という数字があり、それが参考になるかもしれません。

このデータは一卵性や二卵性などの双生児を対象としていて、「共有環境」とは双子が同じ両親の下で同じ環境で育てられた環境のことを言います。

いわば、食事などの家庭環境のことです。もうひとつの「非共有環境」とは、習い事が違う、学校のクラスが違う、部活が違うなどの一人ひとり別々の環境のことを示します。

遺伝の影響が大きいようにも思えますが、100%ではありません、環境もまた大きく子どもたちの将来に影響を与えることがわかるはずです。

「どうせ...............」というレッテルは、親こそはがしてもらい、いまからできることを考えてもらいたいところです。

学力は、才能と努力の掛け算

先ほどの学力の遺伝の割合は55%、共有環境が17%、非共有環境が29%という数字から、親ができることとは何でしょうか?

学力とは、「才能×努力」の掛け算から成り立ちます。

「才能×努力」=学力

その上で親ができることは、「刺激」「体力」「学習環境」の働きかけです。

親からの働きかけ①刺激

本物を見せることや体験させること、子どもたちのやる気を促すことです。

もともと持っている才能を開花させるために行います。

脳の発達は30代まで続きますが、8歳から16歳くらいの多感な時期にピークを迎えます。

その大切な時期に、お子さんにさまざまな体験をさせて刺激を与えてあげてください。

脳の発達に良い刺激は、運動、勉強、五感への刺激です。

親からの働きかけ②体力

こちらは日々の食事や運動です。運動部の部活に入れば、自然と培われることでしょう。才能と努力、双方に影響を与えるものです。

親からの働きかけ③学習環境

どんな習い事がいいのか、塾はどうすればいいのか?

お友達付き合いはどうすればいいのか?

など多岐にわたります。

親ができることは、この3つしかありません。

ご自身やわが家では、どんな後押しができるのか、本書をきっかけに考え、実行してみてください。

point

子どものポテンシャルに、「刺激」「体力」「学習環境」を働きかけよう

PROFILE

野球指導者。学習塾「Ai西武学院」塾長。

浜田 一志

◎―1964年9月11日、高知県生まれ。土佐高校時代は甲子園を目指し、野球漬けの日々を過ごす。3年夏の大会引退後、一念発起して東大受験を目指す。模試E判定から、独自の勉強法で驚異的に成績を伸ばし東大理2に現役合格。1983年、東京大学理科2類に入学。野球部に入部。4年次は主将として東京六大学野球リーグで活躍。卒業後、東京大学大学院工学系研究科に進学し、材料工学を専攻。大学院卒業後は、新日鉄(現日本製鐵)に入社する。
◎―1994年に独立。東京都内に、文武両道を目指す「部活をやっている子専門の学習塾」としてAi西武学院を開業。地元の人気塾となっている。ただ、開業当初は、生徒の成績を思うように伸ばせず、一時は廃業寸前にまで追い込まれた。そして、廃業の危機を脱するために教育ソフト『数学ミラクルマスター』を約10年という期間を経て開発。同教材は、現在も全国の学習塾・中学校での採用が広がっている。
◎―2008年には、母校・東大野球部のスカウティング事務局を立ち上げ、高校球児に東大受験を指南。2013年~2019年まで母校東京大学野球部の監督を務める。現在は、文武両道で東大合格を目指す高校生に、自身の学習メソッドを伝える支援活動を行っている。また、全国各地の中学・高校での講演活動も精力的に行う。2023年4月からは母校土佐高校の校長に就任予定。
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野球指導者。学習塾「Ai西武学院」塾長。

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