勉強チャンネルならYouTubeも効果あり?
小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一のこども30人を生み出した究極の勉強法
教育
A.いい(ただし勉強にはならない)
YouTubeは禁止しなくていい
「勉強に集中してほしい」という思いから、子どもにYouTubeの視聴やゲームなどの娯楽を禁止されている親御さんはしばしばいらっしゃいます。
たしかに、YouTubeやゲームは時間泥棒です。
特にYouTubeは手元のスマートフォンで何の気なしに再生したら最後、関連動画が延々と垂れ流されますから、子どもも大人も関係なくつい観続けてしまいますよね。
ただ、だからといって、子どものYouTube視聴を全面禁止にすることはあまりいいことではありません。
四六時中YouTubeにくぎ付けで勉強がまったく手につかないというのであれば問題ですが、すべての娯楽を奪われて勉強漬けにされては、子どもだってストレスをためてしまうでしょう。
また、いくつかのYouTubeチャンネルは小学生にも大人気ですから、全面禁止にされては、学校でクラスのお友達の会話についていけなくなってしまうか適度な息抜きで長期的な学習モチベーションを保つことや、コミュニティーに共通する話題を得ることを考慮すると、子どもがYouTubeを視聴することは決して悪いことではありません。
そもそも、「観てはだめ!」と言われると、人間ますます観たくなってしまうものです。
親にYouTubeを全面禁止にされたお子さんは、きっとどんな手を使っても観るでしょう。
しかし、後ろ暗さを感じながらコソコソと観ても、それは息抜きになりません。
難関中学に合格した家庭では娯楽を禁止していない
もちろん、受験生の中にはYouTubeの視聴やゲームをグッと我慢して勉強に取り組み、難関中学に合格した子どももいるでしょう。
しかし、そういう子どもは極めて稀です。
難関中学に合格した受講生を対象に行ったアンケートでも、受験期に子どものYouTube視聴やゲームといった娯楽を禁止していないご家庭が大半でした。
これらのご家庭では、子どもの娯楽は受験勉強の妨げにはならなかったということです。
ご存じと思いますが、最近のYouTubeには学習系のチャンネルが溢れかえっています。
その中には、小学生を対象としたものもたくさんあります。
学校教員や学習塾の講師が小学校の学習内容をわかりやすく教えてくれるチャンネルもありますし、現役の東大生がテレビのバラエティー番組さながらの演出で知識を伝授してくれるチャンネルもあります。
子どもがそういうコンテンツと適度な時間接するぶんには、特に害にはなりません。
それどころか、楽しく勉強できているような気もしてきます。
しかし、親御さんには、「YouTube動画を観ただけで、何かを学んだ気になってはいけない」ということを心にとどめておいていただきたいと思います。
それが、一見しっかりしている教育系チャンネルであってもです。
「受け身」では学習にならない
YouTubeはそのシステムで、脳が延々と動画を観続けたくなるような反応を起こすようになっています。
再生ボタンひとつで気が紛れる娯楽が、自動で連続再生され、コンテンツが更新されれば通知まで送ってくれるのです。
何気なくある動画を観てみたら、システムが提示する関連動画を惰性で観続けるはめになり、気づけば小一時間がたっているなどというようなことは、私たち大人もしばしば経験しているでしょう。
これは、自らの意志ではなく、YouTubeというプラットフォームの設計によって、私たち人間の脳が意図的に操作されているのですね。
また、チャンネルの作成者も、視聴者が動画の途中で離脱しないよう、また、ほかの動画も続けて観るように、あの手この手の演出で脳を引きつけようとします。
つまり、YouTubeの視聴は、それが一見してどんなにタメになりそうな動画であっても、私たちはどこまでも「受け身」であり、自分の意志で脳を使ってはいないのです。
脳を使っていないのですから、決して学習にはなりません。
実際に、みなさんは「○○チャンネルのおかげで受験に合格した」とか「英語がペラペラになりました」とかいう体験談を聞いたことはないはずです。
勉強をしたことにはなりませんが、時間を決めて視聴するぶんには勉強の息抜きにはなります。
したがって、お子さんがYouTubeを観たがっているなら、観てもいいチャンネルや1日あたりの視聴時間などのルールをあらかじめ親子で決めて、息抜きの時間だと割り切って観るようにしましょう。
そうすれば、YouTubeのコンテンツをただボーッと観ているような時間も、「勉強の合間のリラクセーション」という目的のための、能動的な時間となるでしょう。
RISU Japan株式会社代表取締役
記事の内容がよかったら「イイね!」ボタンを押してね