「働き方改革」よりも「休み方改革」――母親が家事を休むと子どもの生涯年収が上がる

気鋭の実業家で注目のインフルエンサーである著者が、世界100ヶ国を訪れて見えた「休みの本質」について、自身の体験やヨーロッパの事例などをもとに解説します。

生活/暮らし

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「休むことに罪悪感がある」「何もしない時間が怖い」……そう感じる人にこそ読んでほしい言葉が詰まっています。仕事や役割に追われる日々から一歩立ち止まり、人生の満足度を高める「思い出づくり」の大切さを教えてくれる一冊です。
谷口 たかひさ著書の『休む勇気 人生で一番大事な仕事は「思い出づくり」』から一部転載・編集してお届けいたします。

子どもの生涯年収を上げたかったら、お母さんが家事を休むこと

「スペック婚」と呼ばれるものを僕は推進したい立場ではありませんが、それに限らず、子どもには経済的に安定してほしいというのも、親心なのかも知れません。

そしてそう思うなら、その実現方法の一つは、まさに「休む勇気」と密接に関わっています。

ここでいう「休む勇気」とは、「仕事を休む勇気」ではなく、「家事を休む勇気」のことです。

「日本のお母さんは家事をやりすぎ」

僕の著書『シン・スタンダード』(サンマーク出版)に書いたこのことが、色々なメディアで反響を呼びました。

例えば料理に関しては、イギリスやドイツでは、晩ごはん以外で火を使うことはないといいます。

また、お母さん(お父さん)が家事から遠ざかるメリットは、自分の時間が増えることだけではありません。

「お母さんが『家事』から遠ざかれば遠ざかるほど、子どもは『自立』に近づいていく」

僕がホームステイで一緒に住んでいたイギリスの家庭では、一人ひとり、「自分の食器」が決まっていました。

だからごはんを食べたあと、それを自分で洗わないと、次に食べる時に自分の食器がありません。

食べてすぐではなくても、どこかのタイミングで自分で洗うことになる。

これをもし洗濯にも応用できれば(洗う服が少ない時は洗濯機を使うべきではないかもしれないが)、自分の服は自分で洗うようになる。

掃除も、自分の部屋の掃除はもちろん自分でといった具合に、とにかく子どもが家事をする範囲をいかに増やせるか。

そうすることで、子どもが自分で家事をするようになり、「自立」に近づいていく。

先日、「中学生になる子どもが、湯沸かし器の使い方もわからない」というお母さんに出逢いました。

子どもが「自立」に近づいていっていないということは、その子どもの未来を考えるとの残酷だと思います。

僕の実家は家族8人で住んでいましたが、料理を作るのは僕の役目であることが多かったです。

だから、料理が上手につくれるようになりました。

そしてそれは、僕の人生でおおいに役立っています。

イギリスに一人で留学した時、現地でなかなか友だちができないという悩みを解決してくれたのは、僕が日本食をつくって現地の人に振る舞うというパーティーを始めたおかげでした。

一人で暮らすようになってからも、料理ができることで食費を抑えられたり、変なモノを食べて健康を損なわずにすみました。

実際に、小さい頃に家事をしていた子どもほど、自己肯定感が高まるということは、世界中の研究によって指摘されてきています。

またアメリカの大学で行なわれた研究でも、子どもの頃に家事をしていたことと年収は正の相関関係にあった、つまり子どもの頃に家事をしていた子どものほうが(因果関係ではなく相関関係にしろ)年収が高かったという結論が出されています。

子どもが将来、経済的に安定するかどうかも、親の「休む勇気」にかかっているのかも知れません。

愛が優先される国をつくるには?

では、(それが良いか悪いかは個人の価値観に委ねられるものとしても)「スペック」よりも「愛情」が結婚において重要視される国をつくろうとしたなら、何をどうすればよいのでしょうか?

一つの解は、北欧モデルのような「より高福祉で、より格差(男女の賃金格差など)が少ない国」を目指すことだと思います。

医療や教育、子育てといった分野に関する社会保障が無料に近いほど充実しており、生活や将来に対しての不安を払拭することができたなら、「スペック婚」と呼ばれるものの割合は減り、より「愛情」といったものが中心になっていくのではないでしょうか。

北欧のデンマークや、フランスなどの国々では、いわゆる「事実婚」、法律上婚姻に必要な書類は提出せずに、一緒に住んで生活をして、自然に子どもができるスタイルが一般的になりました。

こういった国々における婚外子、つまり法律的には結婚していない男女が子どもを産む割合は、2017年の時点で約半分になったということを日経新聞も報じています。

北欧ではとくに、周りからどう見られるかといったことや、人と比べてどうか、といったことより、あくまでも自分とパートナーの価値観をベースに、幸せを感じられるかが大切だといいます。

また行政サービスも、法律的な結婚と事実婚の間に差をつけることが、ほとんどなくなってきていることも大きいようです。

とくに「比較しない」ことに関して、デンマークは徹底していて、それが大きな理由となってテストや通知表を法律で禁止したのは先に書いた通りです。

「スペック婚」は、実際に自分の人生を安定的なものにしたいという理由があるのかも知れませんが、「人からどう見られるか」を気にし過ぎる心が生み出した面もあるといえるでしょう。

PROFILE
1988年大阪生まれ。10代の時に起業し、イギリスへ留学。卒業後、アフリカのギニアで学校設立に携わり、メガバンク/M&A/メディアのコンサルタント、グローバルIT企業の取締役を経験した後、社会課題解決を志してドイツへ移住し、起業。2019年、ドイツで気候危機の深刻さを目の当たりにし、「みんなが知れば必ず変わる」をモットーに、気候危機に関する講演を開始。その中で、最大の脅威は「他の誰かが何とかするだろう」という思い込みであることを感じ、自己肯定感も講演内容に加える。現在も講演を続けており、累計で22ヶ国、2400回余に。趣味は旅と勉強で、訪れた国は100ケ国。保有資格は国際資格や国家資格を含め30種以上
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