不登校専門家が伝える!――親が苦しくならないように「健康メンタル」を保つ思考方法

著者自身の不登校の親としての経験や、高校教師として多くの生徒を支えてきたノウハウをもとに、「なぜ不登校になるのか」「親はどう対応すればいいのか」を、具体的にわかりやすくまとめています。

学校

不登校専門家/ウェルビーイング教育コーチ
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いま、全国で小中学生の約34万6,000人、実に3%超が不登校という過去最多の時代。
不安と孤独に押し潰されそうな親御さんに、「絶対にひとりじゃない」と伝えたい。
自身も我が子の不登校を経験し、30年以上教育現場で子どもたちと向き合ってきた野々はなこ先生著書の『誰にも頼れない 不登校の子の親のための本――思春期の子どもとあなたを救う!』から一部転載・編集してお届けいたします。

親が苦しくならないように「健康メンタル」を保つ思考方法

不登校の子どもを支えるときに重要なポイントのひとつが親自身のメンタルを健康に保つことです。

子どもが不登校になると、子どもの言動による喜びと不安、絶望で心がジェットコースターのように激しく揺れ動きます。

子どもから「学校や塾に行く」という言葉を聞くと、天にも昇るような気持ちになったのに、次の日に起きてこないと落胆して深い穴の底に落ちたような気分に・・・・

外出中は我が子と同じ学校の制服が目に入り、「なんでうちの子は登校できないのだろう」と思い、知らないうちに涙が頬を流れる。

学校に行かなくていいと言いながら、制服姿の同世代の子どもを羨む矛盾に気付き、自分に嫌悪を感じるといったこともあるでしょう。

そんな日々を送っていると、親自身のメンタルが危険な状態に陥ります。

私自身、急に呼吸ができなくなったり、あまりの苦しさに叫びそうになったりしました。おそらく皆さんもそんな経験があるのではないでしょうか。

不登校の親の追い詰められた気持ちの向く先は自分です。

ゆっくりと、でも確実に心を蝕みます。家事や仕事ができなくなった結果、体力も気力も落ちて自分自身がメンタルクリニックを受診するようになった親もいらっしゃいました。

皆さんには、そうならないように踏みとどまっていただきたいです。

「スリー・グッド・シングス」でメンタルを整える

私が不登校回復講座で教えている親のメンタルを整える方法をお伝えします。

それは、夜寝る前にその日にあったよかったことを3つ書くことです。

できれば、なぜそれが起こったのかも添えていただくと効果的です。

これはポジティブ心理学で使われている方法で「スリー・グッド・シングス」と呼ばれているそうです。

研究では、1週間毎日寝る前に3つのよいこととそれが起こった理由を書いてもらった結果、1週間後には幸福度が上がってうつ状態が軽減されたことがわかっています。

しかも、スリー・グッド・シングスをやめた後もその効果は6カ月間も続いたことがわかっています。

なぜ皆さんにすすめるかというと、私自身もこのスリー・グッドシングスで助かったからです。

私は自分自身のメンタルがおかしくなってきたと感じたときに、なんとかせねばと思い始めました。

最初のうちはよかったことは何も書けませんでした。

当時の私は真っ暗なトンネルのなかにいたような気持ちでしたが、なんとかひねり出しました。

・今日は天気がよかった

・電車に座れた

・生徒が「おはよう」と声をかけてくれた

なぜそれが起こったのかという理由は、当時は思いつきませんでした。

自分の子どもに関するよいことは何ひとつ書けませんでした。

子どもはずっと家にいるし、表情も暗いままです。

それでも私がメンタル疾患になってはいけないと思い、夜に書けないときは通勤電車のなかで書いて続けました。

すると2週間たった頃から、目に入る世界が真っ暗からグレーになっていきました。

小さな幸せに気付き感謝できるようになったのです。

・子どもがぐっすり寝ている

・家族4人で過ごせている

・勤め先がある

当然だと思っていたことが、貴重に感じるようになりました。

そのうちに、3つどころかたくさんのよいことに気付けるようになっていきました。

実はいまも続けています。

毎日ではありませんが、よいことがあれば必ずメモするようにして、介護で疲れたとき、夫とうまくいかないとき、子どものことで悩むときなど落ち込んだときに手帳に書いて幸せを噛みしめます。そうすることでメンタルが落ちないように予防しています。

私の講座では、スリー・グッド・シングスを宿題にしています。

最初は何も思いつかなかった受講生も、だんだんと変化が起こります。

悲壮感が漂っていた顔が、明るい表情に変わっていくのです。

皆さんも、ぜひやってみてください。

3つできなければひとつだけでいいです。

毎日できなくても3日に1回でも大丈夫です。

まずは2週間続けてみましょう。

PROFILE

不登校専門家。ウェルビーイング教育コーチ。

野々 はなこ

大阪府生まれ。大学を卒業後、高校教師を務めて30年以上。担任、保健室担当、特別支援教育コーディネーターとして不登校、発達障害やメンタル不全の生徒たちと長年関わってきた経験を持つ。プライベートでは子ども2人が不登校になったが、心理学や脳科学、栄養学などを学び、それらを子どもの教育に取り入れたことで2人とも大学進学するまで回復させることに成功。不登校で悩む保護者を応援するために改善の秘訣を発信しているブロガーであるほか、ウェルビーイング教育の普及活動も行っている。本書が初の著作。
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