不登校専門家が伝える!――通信制高校とフリースクールの後悔しない選び方

著者自身の不登校の親としての経験や、高校教師として多くの生徒を支えてきたノウハウをもとに、「なぜ不登校になるのか」「親はどう対応すればいいのか」を、具体的にわかりやすくまとめています。

学校

不登校専門家/ウェルビーイング教育コーチ
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いま、全国で小中学生の約34万6,000人、実に3%超が不登校という過去最多の時代。
不安と孤独に押し潰されそうな親御さんに、「絶対にひとりじゃない」と伝えたい。
自身も我が子の不登校を経験し、30年以上教育現場で子どもたちと向き合ってきた野々はなこ先生著書の『誰にも頼れない 不登校の子の親のための本――思春期の子どもとあなたを救う!』から一部転載・編集してお届けいたします。

通信制高校とフリースクールの後悔しない選び方

中学時代に長く学校に通っていなかった子どもが、高校に入学して、いきなり毎日登校できるようになるのはなかなかハードルが高いです。

先述したように高校には留年制度がありますので、ゆっくりと自分のペースで学べる環境がある通信制高校を選択肢として入れてもいいでしょう。

通信制高校を知るためには、まずは学校の概要をつかむことが大切です。

インターネットで「通信制高校」と検索すると、たくさんの情報が得られます。

スクーリング(通学日)の必要日数は、月に2回~週5日まで幅があって、少ない場合は年に7日ほどしか通わなくてよいという学校もあります。

学校によっては、慣れてきたら日数を増やすこともできます(変更のタイミングは、学期ごとや学年ごとなどさまざまです)。

クラス形式か個別指導か、運動会や遠足といった学校行事の有無なども学校によって異なります。

スクーリングの日数が多い通信制高校を選ぶ場合は、自宅から1時間以内で通える範囲の学校を候補にすることをおすすめします。

大手や全国規模の学校は比較的簡単に検索できます。

「通信制高校おまとめサイト」は、通信制高校が広告料を支払って掲載している場合が多く、広告料に資金をかけない小規模な学校はインターネットの検索で上位に出てきません。

必ずしも子どもに合った学校が見つかるとは限らないでしょう。

それよりも、「通信制高校 〇〇県」や「通信制高校 ○○市」といったシンプルな検索のほうが確実です。

地元の小規模校が見つかります。

「大手だから」「有名だから」「小規模だから」いいというわけでもありません。

商魂たくましい学校もあれば、サポートがおざなりになりがちの学校など実態はさまざまです。

インターネットの口コミよりも、実際に見学に行って学生の様子や担当の先生の話を聞くのがいいでしょう。

対面で話すことで細かな情報が手に入ります。

子どもの状況を伝えたときの学校担当者の反応を見る

子どもに合った学校探しで後悔しないためには、学校見学に行ったときにお子さんの状況を包み隠さず話すことです。

親のなかには入学に不利になるのではないかという理由で何も言わない人がいらっしゃいますが、その考えは不要です。

しっかりとサポートする体制があるのか、これまで不登校の学生が入学したことがあるのか、気になることを聞いてみましょう。

真摯に向き合ってくださると感じたら、その学校を選択肢に入れていいでしょう。

しかし学校側が怪訝な表情を示したり、不登校は困るという態度を見せるようなことがあれば、こちらから願い下げです。

生徒を育てる気持ちがある高校に子どもを預けたいわけですから。

学校に選ばれるという気持ちではなく、私たちが選んでいくという気持ちで見学に行くとよいと私は考えます。

あまりに選択肢が多すぎると目移りして決められなくなるので、最終的には3~5校ほどの候補を用意しておきましょう。

お子さんが動き出したときにすぐに対応できます。

フリースクールは学校の雰囲気が苦手な子と相性がよい

そもそも学校という雰囲気を苦手に感じるお子さんもいるでしょう。

そのようなときはフリースクールを選択肢に入れてもいいかもしれません。

スクーリング日数が少ない通信制高校は自宅学習が基本ですが、フリースクールだと自由に登校日を決めることができるというメリットがあります。

フリースクールには3~40人ほどの規模で、同学年が少人数集まるところや、小学生から高校生までの異年齢の子どもの交流が中心のところもあります。

個人宅のところもあればビルの1室、古民家などが活動場所となっていて、勉強だけでなくさまざまな体験ができることが特徴です。

昔の寺子屋とお伝えすれば、イメージしやすい人もいらっしゃるかもしれません。

私は以前フリースクールでボランティアをしていたのですが、高校生と小学生が一緒に過ごしている空間は、とても温かくてのんびりしていると感じました。

小学生、中学生と一緒に調理をしたり、上の学年の子どもが下の学年の子どもの面倒を見たりするのは、フリースクールならではの体験です。

フリースクールは、しっかり勉強をしたいというよりもアットホームな雰囲気で過ごしたい、個別対応でしっかりと子どもを見てほしい、教室の雰囲気がどうにも苦手だ、というお子さんに向いているでしょう。

じっと座るのが苦手であったりという特性を持っている子どもにもおすすめです。

個人や非営利団体(一般社団法人、NPOなど)が運営していて費用のかかるネット広告には掲載されていない場合が多いので、地域名で検索するようにしましょう。

いずれにせよ、見学をして実際の空気を感じていただいたほうがよくわかります。

見学に行ってみると、フリースクールもイメージが変わると思います。

全日制と全く変わらないほど明るく元気な校風の学校もあれば、とても静かで落ち着いて学べる学校もあります。

フリースクールは地域密着型で不登校の子どもへの熱い想いを持った人や不登校である我が子のために開校している場合が多く、地域の不登校の親の会、学校・相談機関の情報などをもらえるため、その点でも利点は大きいです。

継続的に通うために送迎できる場所を選ぶ

不登校経験のある子どもが、次の学校に進むときにはすぐに以前のように通学できるようにはなかなかなりません。

親がつい期待してしまって、学校が変われば元気に毎日登校できるはずだと思いがちですが、子どもは少しずつ変化するものです。

ですから、急に体調が悪くなり、で送らねばならなくなる可能性は相当高いでしょう。

途中で早退することもあるかもしれません。

不登校の子どもは、人目が怖い、大勢の場所が苦手、体力的に弱いといった場合が多く、慣れない電車通学はできるだけ避けたいものです。

満員電車を避けられる時間帯や方向を選びましょう。

送迎をすることを想定して、備えておくと安心です。

PROFILE

不登校専門家。ウェルビーイング教育コーチ。

野々 はなこ

大阪府生まれ。大学を卒業後、高校教師を務めて30年以上。担任、保健室担当、特別支援教育コーディネーターとして不登校、発達障害やメンタル不全の生徒たちと長年関わってきた経験を持つ。プライベートでは子ども2人が不登校になったが、心理学や脳科学、栄養学などを学び、それらを子どもの教育に取り入れたことで2人とも大学進学するまで回復させることに成功。不登校で悩む保護者を応援するために改善の秘訣を発信しているブロガーであるほか、ウェルビーイング教育の普及活動も行っている。本書が初の著作。
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