「生きづらさ」の正体がわかる:インナーマザー――成長した人、スライバーの特徴

自分の人生を、生きていますか?「生きづらさ」の正体がわかる。家族問題の第一人者による幻の名著[新装版]

発達/発育

家族機能研究所代表・精神科医。慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。家族機能研究所代表。元・医療法人社団學風会さいとうクリニック理事長。
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成長した人、スライバーの特徴

スライバーとは「サバイバーであることを主張する必要のなくなった人」のことです。

「必要がなくなった」とは、自分がサバイバーであることが、それほど重要なものと感じられなくなって、口にも出さなくなったという意味です。

サバイバーであるという自覚はあるのですが、「それがどうした」という感じの人です。

こうした人々は以下のような特徴を具えています。

1 一人でいられる、一人を楽しめる

理解してくれそうな人、共感してくれそうな人を必死で探す必要がないということです。

この術を身につけると人から裏切られるというつらい思いをしないですむようになります。

他人を責めなくなり、逆に他人にやさしくなります。

2  寂しさに耐えられる

この件については、『「自分のために生きていける」ということ』(大和書房)に詳しく説明しました。

3  親のことで過剰なエネルギーを使わない

憎んだり、恨んだり、「賠償金」を取り立てようとしたり、依存したり、甘えたりしないということです。

「ああ、あの人はかつて私の親でした。限界のある親でしたが、私を愛してもくれました」という状態になることです。

4  自分にやさしい

あるがままの自分を受け入れているということです。欠点や限界も含めて自分というものを愛し、いたわります。

決して自らを叱咤せず、萎縮させません。

たとえ失敗しても、自分の失敗の経過そのものに関心を持つことができます。

5  他人(世間)の期待に操られない

6  自分で選択し、決定する

ゆとりができてくると、自分の前にいくつかの選択肢が横たわっていることに気づきます。

不安、緊張、恐怖にとらわれているときは、とるべき道が一つしかないように感じます。

選択肢がない人生を歩いているとき、人はその道を宿命といいます。

安定し、成長してくると、目の前のいくつかの分岐のうち、どれか一つを選び続けることが人生なのだと考えるようになります。

自分の欲するところに従って選択することができるのはスライバーの特徴です。

7  自分の選択したことに責任を取れる

選択を間違えたとき、それを他人のせいにしません。

生じたマイナスは、自分の力で少しずつ埋めようとします。

現実的で、失敗の経過から学ぼうとする柔軟さがあります。

8  自分は世の中に受け入れられて当たり前という確信を抱いている

自分は他人に必要とされていると信じ、誰かに愛されて当然と思っている人は、人に愛されます。

世の中を肯定的に見る習慣を身につけていると、周囲の多くの人々がやさしく温かい人のように感じられてきます。

そのように思うあなたに、世間の人はやさしくなる。

こうしてスライバーの確信は現実となります。

というわけで、スライバー(成長した人)のほうが、サバイバーよりはるかに生きやすい。

それでは、サバイバーがスライバーへと変身するためには、どうすればいいのか。

この本では、「お母さん」についての記憶を切り口に、そのことを探ってみました。

サバイバーたちには「お母さん」についての恨みや怒りが必ず見られるからです。

こうした愚痴や嘆なげきがムダといっているのではありません。

不満を自覚しなければ、何も始まらない。

しかし、「なぜ、あの母はあのようであったのか」という理解なしに、母へのマイナスの感情を抱えているだけでは、心の発達の停滞から抜け出すこともできません。

いったい、母とは何なのでしょう。

彼女はどのようにして、私たちの心を支配してしまうのでしょう。

PROFILE

家族機能研究所代表・精神科医。慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。家族機能研究所代表。元・医療法人社団學風会さいとうクリニック理事長。

斎藤 学

1941年、東京都生まれ。アルコール依存・薬物依存などの嗜癖(依存症)研究の第一人者。過食症・拒食症、児童虐待など、多岐にわたる「現代社会の病」をつきつめていくと、健全に機能していない「家族」のあり方にその要因をみることができると説く。独自のスタイルで治療・研究を行い、各方面から厚い信頼と支持を得ている。セルフヘルプ(自助)グループの活動支援、執筆、講演などでも活躍中。
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家族機能研究所代表・精神科医。慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。家族機能研究所代表。元・医療法人社団學風会さいとうクリニック理事長。
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