「伝説の育児講師」が伝える!――人の顔色を窺ったとき
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しつけ/育児
人の顔色を窺ったとき
「良い子だから、あなたが大切なんじゃないんだよ」
赤ちゃんは、「察する」ということができません。
私たちは、元々、人の顔色、人の気持ち、人の状況を察することができませんでした。
早朝でも、真夜中でも、え~~んと泣いて、その声のボリュームを、時間帯や人によって変えることもしません。自分が泣きたいときに、泣くのです。
ママを呼びたいときに呼ぶのです。
「今、忙しそうだから」「ママ、疲れてそうだから」「二夜連続は、さすがに寝不足で悪いか」なんて、考えることもしません。
言葉を持たない赤ちゃんは「お腹がすいた」も「おむつが汚れた」も「眠たくなった」も「ママ、抱っこして」も「痛い」「痒い」「暑い」「寒い」も全部、泣くことで伝えてきます。
自分でもなぜ泣き出しているのか分からない理由を、ママは察しようとします。
「おっぱい?ミルク?」「おむつ気持ち悪い?」「抱っこ?」とその理由を分かろうと手探りてさぐりその声に応えることで、赤ちゃんとママの間に信頼感情が生まれてきます。
赤ちゃんは、人との間に信頼感情や愛情があることを学ぶために、言葉を持たず生まれてきたのかもしれません。
そして、1歳を過ぎた頃、はじめての言葉を発するようになって、2歳を過ぎた頃には、その数が増えていきます。
察してもらうことで、欲求を叶えてもらっていた時期は過ぎ、「言葉」を使って、自分の意思を伝えることを学ぶ大事な時期がやってきます。
「イヤイヤ期」と呼ばれるように、意思を伝える言葉は「イヤ」という言葉一つ。
泣き声から言語に変わったのだから、大きな成長なのですが、親にとっては、大変な時期でもあります。
「自分で選びたい」も「本当は眠たいの。でも、もっと遊びたい!」も「最初から自分でやりたかった。ママ、手伝わないで」も、全部「イヤ」で伝えてくるのだから。
赤ちゃんのときのようにいのちを育むための欲求から、もっと複雑、難解になっていきます。
ただし、それを表現するほどの言葉を使えるようになるのも、自分の思いや考えに気付けるようになるのも、まだまだ先。
その練習期間であるのが、この時期なのです。
「察してもらうこと」で欲求を満たしてもらっていた時期を卒業していくために、察して(想像して)もらいながら「言葉」と結びつけてもらう期間になります。
親になった私たちに、その大きな成長を遂げようとした2歳の頃の記憶が残っているはずもなく、その時期の子どもとどう関わり、どう自分と向き合うのか、イヤイヤ期で初めて対峙することになります。
初めてのイヤイヤ期で親が最初に直面する壁は、自分の中の「思い込み」によって、子どもを見てしまうこと。
「イヤ!」という言葉で、自分が否定されているように感じたり、「イヤ!」という言葉に、わがままな子と思ったり。
親は、「自分の思いや考えを言葉に結びつけられる子」に育てようとするより、「良い子」に育てようとします。
「イヤ!」の言葉の奥に隠された思いを推し量ろうとするより、「ダメ」と叱りつけたり、「こっち」と決めつけたり。
子どもに伝わらないと感じたら、もっと大きな声にして、もっと強い気持ちでぶつけるように伝えることもあるかもしれません。
「悪い子ね」「そんな子は、嫌い」と一番悲しい言葉を使って、「良い子」に育てようとすることだってあるかもしれません。
きっと、あなた自身も言われたことのある悲しい言葉を使って。
自分の生活を守り、自分でいのちを育むことができない幼い子どもにとって、自分の意思より親の意思に任せること、自分の感情より親の感情を優先することが、最善だと学習することもあります。
親の機嫌によって自分の行動が制限されたり、親の都合によって自分の思いが叶わぬことがあっても、自分の心を守るために、それを選択の基準にする術を身につけていきます。
朝も夜も泣いていた赤ちゃんが、泣きたくても泣かない子どもへと成長していきます。
いつも察してもらっていた赤ちゃんが、人の顔色を窺って察することができるようになっていきます。
察することが上手になった子は、やがて「良い子ね」と言われるようになります。
大人になると「良い人ね」と言われるようになります。
でも、あなたは「良い子」である前に、「良い人」になる前に、あなたはあなたであることを忘れてはいけません。
本当は、お母さんだって、あなたが良い子だから大切にしたんじゃない。
あなたが大切だから、良い子に育てようとしたんです。伝える順番が逆だったのです。
あなたが愛されることに、条件はありません。
早朝も真夜中も構わず泣いていたあなたを、早朝も真夜中も抱きしめた人がいます。
あなたがあなたの赤ちゃんにそうしたように、あなたもその愛を受け取っています。
でも、その愛よりもっと大きな愛があります。それが、子どもがお母さんに抱く愛です。
人の顔色を窺ってばかりいて、疲れている自分に気づいたときは、大切な自分の存在に気づくとき。「良いお母さんだから」と条件もつけず、愛してくれる子どもの存在に気づくときです。
(株)mother ship代表。ピースフルコミュニケーション協会こども未来コーチング協会主宰(ベビーライフコミュニケーター・子育てコミュニケーター)。
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