プロが伝える国語力の伸ばし方!―― 旅先にはカメラを持って出かけよう

中学受験のプロだからこそ知っている、日常を学びに変える家庭環境づくり。書きたい!読みたい!話したい!が増える!将来の学力に差がつく子育て。

教育

すばる進学セミナー代表/かまくら国語塾主宰
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旅先にはカメラを持って出かけよう

取り組みやすさ
★★★
おすすめ学年
小学校中学年〜高学年
子どもが撮った写真は、ブレていたり、斜めになっていたりするのですが、すごく興味深いものです。思いもよらない場所を、予想外のアングルで撮ってきます。そこには、たくさんのストーリーがあります。
ぜひ積極的に子どもにカメラを持たせて、「何を考えて撮っていたのか」を言語化してもらいましょう。思考を言葉にしていく経験をすることができます。

「マイカメラ」で撮ってもらう

撮ってきた写真を見て、「どうしてそこを撮ったの?」と聞くと、「面白い形の石が転がっていたから」と答えてくれます。

実際は、写真の中に石は無数にあって、どれのことかわからない......というようなことが多発しますが、“撮ること”には必ず理由があります。

子どもなりにその場で考えたことやストーリーを頭の中で切り取って、写真に収めているのです。

カメラは写真を撮るときだけ渡すのではなく、「本人のもの」として与えてしまうことをおすすめします。

自分のもの"には愛着も湧きますし、使用する回数も自然と増えます。

新しく買い与えることをしなくても、機種変更して使用しなくなった中古のスマホで十分です。

非常に高いカメラ性能を持っていますし、何より軽い。

万が一壊れてしまっても大きな支障がないはずですから、子どもに渡すのに最適です。

もちろん、デジカメや子どもカメラでもOKです。

ただし、写真は、衝動的に撮ることも多くあります。

「撮りたい」と思ったときに、「貸して」「使っていい?」と保護者に聞いていると、その瞬間を逃すことにもなりかねません。

また、「撮った順番」や「自分が何を撮ったか」には意図があるので、保存フォルダの中にはなるべく「ほかの人が撮った写真」が入ってこないほうが望ましいです。

子どもを旅の「記録係」に

旅行に行ったら、「この旅の記録係は任せた」とカメラを渡します。

すると子どもは注意深くあたりを見回して、撮れるもの、撮りたいものはないかな、と探し始めることでしょう。

ちょっとだけ気に留めておきたいのは、なるべく制限なく撮れるようにしてあげたいということです。

データの容量を気にすると、シャッターの手が鈍ります。

「容量は気にせずたくさん撮ってね」と声をかけてあげるといいですね。

撮っているとき、子どもの頭の中ではたくさんの言語化が起きています。

ここは少し暗いな、昨日と比べて川の水が濁っているな、木漏れ日がチラチラ光っているな――。

ファインダーや画面を通して見えているもの、考えていることを尊重し、撮ることに集中できるよう見守ってあげましょう。

ときには「何を撮ってるの?」や「いい写真撮れた?」などと声をかけてあげると、カメラマンとしての子どもの気持ちも盛り上がっていきます。

・危険な場所に行かないこと

・画面をのぞきながら移動しないこと

という2つの注意は必ず守ってもらいましょう。

つい夢中になってしまいますが、安全への意識だけは持ち続けることが大切です。

スライドショー(アルバム作成)機能を活用する

旅が終わったあと、撮った写真を編集することによって、頭の中で言語化されたことをアウトプットすることができます。

まずお手軽なのは、お気に入りの写真を選ぶこと。

撮った写真を振り返りながら、画面をタップしてお気に入りマークを付けるなどして選別していきます(カメラで撮った写真もスマホに取り込めると選びやすいです)。

「どうしてこの写真を選んだの?」

「これ、撮ったときは何を考えてた?」

と聞きながら一緒に進められるといいですね。

さらに、選んだものをつないでスライドショーを作れば記念にもなりますし、共有も簡単にできます。

子どもだけでもできるくらい簡単な作業ですが、最初は保護者の協力があるとなおよいです。

「iPhone/スライドショー/作り方」「Android/スライドショー/作り方」などで検索すると作り方が出てきて、5分でカッコいいスライドショーが完成します。

「順番、どうする?」「これはすごくよく撮れてるから、最後かな?」などと声をかけていくと、「この旅で一番盛り上がった瞬間はここだから、これを最後にする」と本人が考えるストーリーを聞き出すことができます。

また、少し長めの旅や本人が楽しみにしていたお出かけなどの特別な体験をしたときには、フォトブック作成サービスを使うのもおすすめです。

本格的なオリジナルフォトブックが2000円程度から作成可能です。

そうしてできあがったフォトブックは家族の宝物になりますし、本人にとっても大切な1冊となるはずです。

・どの写真を載せるか

・どうしてその写真を選んだのか

・順番はどうするか

・大きさや配置はどうするか

・今回の旅の一番の見せ所は

・スライドショーやアルバムのタイトルは

など、製作する過程でたくさんの意図を言葉として聞くことができます。

旅の思い出を「編集」しよう

写真を撮り続けていると、子どもたちの中に「見えているもの」「表現したいこと」がどんどん増えていきます。

どこにどんなストーリーがあるか、思い出として語れるシーンはどこか、そして何を思って写真を選び編集しているか。

小さなカメラマンが語る旅のストーリーを聞いてみませんか。

旅の記録を残していくと、表現力と共に“編集力”が身につきます。

編集という作業は、“自分が一番表現したいこと”に合わせて、さまざまなものや情報を集めてきて、“不要なもの”を削ぎ落としながら形にしていくことです。

さらに、どうしたら相手に届くかを考えることでもあります。

つまり編集する経験は、国語力を大きく高めてくれるのです。

また、応用編としては、動画の作成も面白いですね。

カメラでもスマホでも、静止画と動画は簡単に切り替えが可能です。

iPadには最初から動画編集アプリが入っています。

自分が作りたいストーリーから逆算して動画を撮影したり、場面や気持ちに合った音楽をつけたりすることで、映画監督になったような気持ちも味わえます。

旅の思い出をひとつの物語として編んでいくことで、国語力が養われていきます。

PROFILE

すばる進学セミナー代表/かまくら国語塾主宰

中本 順也

1981年生まれ。3児の父。慶應義塾大学文学部国文学科を卒業後、メーカーでマーケティングや営業に従事。その後、神奈川県鎌倉市にある「すばる進学セミナー」で子どもたちの中学受験・高校受験の進学指導や国語学習をサポートしながら、2020年には小学生のための小説創作教室「かまくら国語塾」も設立。小説家を招いたり、オリジナル作品集を作成したりするなど、言葉を編む楽しみを一緒に探していく空間を提供している。

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すばる進学セミナー代表/かまくら国語塾主宰
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