プロが伝える国語力の伸ばし方!―― ドライブ中は「おはなし朗読」をお供に

中学受験のプロだからこそ知っている、日常を学びに変える家庭環境づくり。書きたい!読みたい!話したい!が増える!将来の学力に差がつく子育て。

教育

すばる進学セミナー代表/かまくら国語塾主宰
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ドライブ中は「おはなし朗読」をお供に

取り組みやすさ
★★★
おすすめ学年
未就学児〜小学校中学年
塾で子どもたちと話をしていると、昔話や童話を知っている人が思いのほか少ないと感じることがあります。刺激的で面白い本やワクワクするようなアニメがたくさんある今、昔話や童話にはなかなか興味を持てないのかもしれません。ただ、昔話や童話は「国語」というものを知るうえで大切な役割を持っています。ぜひ、子どもたちにも知ってもらいましょう。

昔話や童話のよさとは?

昔話や童話には、どんな魅力があるのでしょうか。

また、そのおはなしを知ることにどんな学習効果があるのでしょうか。

ポイントとしては、以下のようなものが考えられます。

・1つひとつのおはなしが短く読みやすい

・登場人物(動物)のキャラがはっきりしているため、人物像をつかみやすい

・言い回しや効果音などが特徴的

・話の起承転結(組み立て)がわかりやすい

・教訓(人として大事にしたいこと)が描かれる

・おはなし自体をたとえとして使うことがあり、それを理解できる

このうち、いくつかの特徴についてもう少し掘り下げてみます。

「言い回し」や「起承転結」が学べる

国語という教科において、身につけるのが難しいのが「言い回し」や「起承転結」です。

「どんぶらこ」という擬音によって、重たいものが川を流れてくるときの音を知り、「それでもかぶはぬけません」によって、七音五音の心地よいリズムを知ります。

「鶴の恩返し」や「三匹の子豚」では、盛り上げてから最後のオチをどうつけるか、というパターンの存在を発見します。

さらに、おはなしの中に出てくる外国の地名や料理、伝統的な住まいや使われてい道具などには、毎日の生活の中では触れること、見ることがないものが多く含まれているので、言葉の世界が大きく広がります。

昔話で出てくる「囲炉裏」や、童話に出てくる「ハープ」など、日常ではなかなか出合うことのない言葉ですよね。

また、ディズニー作品を中心として、リメイクされている童話もあります。

最近だと、ディズニー作品としては知っているけれど元ネタは知らない、という人も多いのではないでしょうか。

童話を一緒に読んだり見たり聴いたりしていると、「あれ?こんなラストだったっけ?」というものに出合うこともあるでしょう。

例えば、「白雪姫」のラストは「王子様のキスによって目覚める」という終わり方が定番のようですが、原作グリム童話では「王子様の家来が白雪姫の棺を運んでいるときに落としてしまい、つかえていた毒リンゴが取れて生き返る」という終わり方となっています。

どっちが好みか、とか、どうしてこういうラストにしたのかな、などと子どもと会話することで、物語の展開について考えるよい機会になります。

「教訓」を学び、価値観を知る

何が正しいとされていて、何が間違っていると考えられているか。

嘘をついたらなぜいけないか、正直者であるとどうしてよいのか。欲にまみれるとどうなるのか

童話や昔話では、長い歴史のなかで人間が次の世代に伝えてきた価値観が、わかりやすいストーリーと共に語られます。

“わかりやすい”ということは、“理解しやすい”ということでもありますね。

また、日常会話において、おはなし自体をたとえとして使うこともあります。

「オオカミ少年」や「シンデレラストーリー」という言葉があったり、自分を見失っている権力者を「裸の王様」とたとえたりします。

古くから親しまれてきたということは、それだけ多くの人を楽しませ、受け入れられてきた「定番」のお話であるということの証です。

「苦しんでも最後に正義は勝つ」や「友情や愛で困難を乗り越える」といった定番の展開を知ることは、入試でも物語文や小説を読解するときの助けになります。

また、幼少期からこういった価値観に触れていくことで、自らの考え方のベースが作られます。

「自分よりも他人が持っているものが優れて見えたときにどんな行動をとるべきか」など、何かの判断をするときのひとつの基準を、ゆっくりと育むことができるのです。

ドライブ中に「おはなし朗読」を聞いてみよう

読むこと、知ることに十分な意義がある昔話や童話ですが、時代の流れなのか、おはなしを読む機会や触れる時間が以前と比べて減少していると感じます。

でも、そんな昔話や童話に自然と触れて、面白さを再発見できる方法があります。

おすすめしたいのが、ドライブ中(電車移動中)におはなし朗読の音声を聴くことです。

おはなしCDでももちろん問題ありませんが、音楽アプリの中にも童話や昔話があるので、音楽を聴くために契約している方はこちらを使えば追加の料金負担がありません。

「おとえほん」や「ゆめある」で検索してみると、無料で聴けるものもたくさんヒットします。

いろいろ試した結果、我が家の子どもたちの圧倒的なお気に入りは、キングレコードから配信されている「世界の名作童話音楽とナレーションで楽しむ物語」(第1集~第6集)です。BGMも臨場感があり、「語り」も抑揚があって引き込まれます。

ひとつだけでもいいので、入手したおはなしをドライブ中に聴いてみてください。

車の中では読書や映像だと酔ってしまうという人も、音声なら大丈夫です。

長距離ドライブで話題が枯れてきたときなどにもいいですね。

おすすめの聴き方としては、

・おはなしの続きを考える

「このあと、どうなるんだろうね」

「『幸せに暮らしました』ってどういうことだろうね」

・それぞれの作品の面白さを点数化して感想を言い合う

「さぁ、今のおはなしは何点でしょう?」

「好きなキャラは?」

「楽しめたのはどこ?」

特に点数化はゲーム性もありますし、おはなしを一度自分の中に取り込んで、その理由を話すことになるので、論理性を身につける練習にもなります。

おはなし朗読をドライブ中に聞いて、言葉と物語の世界を広げていきましょう。

PROFILE

すばる進学セミナー代表/かまくら国語塾主宰

中本 順也

1981年生まれ。3児の父。慶應義塾大学文学部国文学科を卒業後、メーカーでマーケティングや営業に従事。その後、神奈川県鎌倉市にある「すばる進学セミナー」で子どもたちの中学受験・高校受験の進学指導や国語学習をサポートしながら、2020年には小学生のための小説創作教室「かまくら国語塾」も設立。小説家を招いたり、オリジナル作品集を作成したりするなど、言葉を編む楽しみを一緒に探していく空間を提供している。

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すばる進学セミナー代表/かまくら国語塾主宰
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