最新の「幸せの研究」でわかった「意識的に自分をほめよう」

自身の子育て体験や16年にも及ぶ研究やフィールドワークからわかった、 子どもの心を豊かに、そして強くしなやかにする親子の習慣を紹介。

しつけ/育児

EVOL株式会社代表取締役CEO。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。IPPA(国際ポジティブ心理学協会)会員。
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ポジティブは3、ネガティブは1のバランスで意識的に自分をほめよう

放っておくとポジティブ1、ネガティブ3に

人はどうしても、足りないところに目がいくものです。

「あの人はいつもきれいにお掃除しているけど、私はできていない」

「あの人はいつもおおらかだけど、私は怒ってばかり」

など、ないものねだりをしてしまうんですね。

放っておくと、心の中の割合は、ポジティブが1、ネガティブが3ぐらいになってしまいます。

ただし、アメリカ・ノースカロライナ大学で心理学を研究しているバーバラ・フレドリクソン教授の研究では、ポジティブ感情とネガティブ感情の黄金比率は「3:1」としています。

この比率については、今でも議論が続いていますが、ネガティブを1感じた場合、ポジティブを3以上感じることが自己成長につながり、幸福感が高まるようなのです。

ですから、子育て中のみなさんも、意識的にポジティブな気持ちを3、ネガティブな気持ちを1、ぐらいの割合に持っていっていただきたいと思います。

ネガティブはポジティブの裏返しですから、方法はとても簡単。

ネガティブにとらえているところをポジティブに言い換えて、表現すればいいのです。

たとえば私は、何をするにもテンポが遅いのです。

文章を書くのも時間がかかりますし、洗濯物をたたむのもすごくゆっくり。

ただそれを裏返してとらえてみると、物事をなんでも丁寧にやっている、ということもできます。

具体的には、「私は何をするにも遅くって」とつい言ってしまいそうですが、「私は何をするにも丁寧にやることができます」と肯定的にとらえ直してみる、ということです。

1怒ったら3ほめればいい

自分をほめることに慣れてきたら、今度は子どものことを意識的にほめることにチャレンジしましょう。

子どもに対する声かけも、無意識のままにしているとポジティブが1、ネガティブが3ぐらいになってしまうものです。

一方で、子どものほうも、ほめられたことより怒られたことのほうが意識に残りやすいもの。

ですから、1回怒ってしまったら、3回ほめるように意識してみてください。

親だって人間ですからついかっとなって怒ることは誰にでもあります。

それはもう仕方がないことですから、それで自分を卑下する必要はありません。

もし「今日は怒りすぎちゃったな......」と感じていたら、怒った分の3倍、その日のうちにほめるようにすれば大丈夫。

そうすれば子どもは「今日は怒られたけれど、たくさんほめてもらえてよかったな」と受け取ってくれるはずです。

POINT
人は放っておくとネガティブに偏りやすいもの。ネガティブをポジティブに転換し、意識的に自分をほめましょう。

自分への「ありがとう」を見つけ自分をもっと好きになる

自分を俯瞰して「ありがとう」を探そう

幸せな心の状態を育むツールとして、「ウェルビーイング・ダイアログカード」というものがあります。

私の夫が代表を務める一般社団法人ウェルビーイングデザインがつくり提供しているものなのですが、トランプのようなカードに1枚ずつ計52の問いが書かれています。

そのすべての問いは、研究によって幸福度との関連が確認されているものになります。

その問いについて考えていくことで、幸福度が向上するように設計されているのです。

さて、その問いのひとつに、「自分に対してありがとうと言いたいことは?」というものがあるのですが、イベントなどでこのカードを引くと、みなさん、答えがすごく出にくいんです。

もしかしたら謙虚だったり、謙遜してしまったりして言いにくいという人も多いのかもしれませんが、

「今さら自分にありがとうって・・・・・・」

「自分は普通にしているだけなので、そういうことはあまり思いつかない」

といった人がとても多いのです。

でも、探すとたくさんあるはずなんですよ。

そもそも毎日生きて、かけがえのない、いろいろな経験をしているだけで「ありがとう」ですよね。

「人に対して配慮ができるから、今こういうふうに仕事がうまくいっているんだよね。ありがとう」

「毎朝、早起きしてお弁当をつくっているから、子どもたちがうれしそうに学校に行っているのかもしれないよね。ありがとう」などなど。

このように、まずは自分を俯瞰してみて、頑張っていること、人のためになっていることなどを探してみてください。

そして、そんな自分に「ありがとう」と言ってあげてください。

これを毎日の習慣にしていると、自分のことをどんどん好きになることができ、それがあなたの自己肯定感を上げ、知らぬ間に心が安定していくことでしょう。

子どもやパートナーにも伝えよう

自分自身への「ありがとう」を見つけることが習慣化できたら、次は子どもやパートナー、家族への「ありがとう」を見つけてみてください。

子どもに対しては、

「毎日、元気でいてくれてありがとう」

「おいしそうにごはんを食べてくれてありがとう」

「学校の話をしてくれてありがとう」

パートナーに対しては、

「一生懸命、仕事をしてきてくれてありがとう」

「毎日、ごはんをつくってくれてありがとう」

「おいしいお茶を淹れてくれてありがとう」

見つけたことは、実際に言葉にして伝えてくださいね。

そうすることで家族みんなの心が安定していくはずです。

POINT
自分への「ありがとう」を見つけることを習慣化すれば、子どもやパートナーへの「ありがとう」もたくさん見つけられるようになります。
PROFILE

EVOL株式会社代表取締役CEO。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。IPPA(国際ポジティブ心理学協会)会員。

前野 マドカ

サンフランシスコ大学、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)などを経て現職。幸せを広めるワークショップ、コンサルティング、研修活動及びフレームワーク研究・事業展開、執筆活動を行っている。システムデザイン・マネジメント学、幸福学の研究者である前野隆司の妻。二児の母。

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EVOL株式会社代表取締役CEO。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。IPPA(国際ポジティブ心理学協会)会員。
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