子どもたちが学び方を選べる学校~「教えない授業のエッセンス」
家庭でも学校でも「教えない授業」のエッセンスを取り入れ、変化の激しいこの時代に自分をアップデートしながら自律して学ぶ人材を育てていきましょう。
教育
子どもたちが学び方を選べる学校
日本の学校教育は明治維新以降150年間一斉指導を中心として教師主導の授業スタイルを続けてきました。
簡単に言い換えれば、カリキュラムと指導方法(何をどう教えるか)を研究してきたと言うことができます。
この中で生まれたのが一斉教授型の授業です。
一斉教授型の授業は一見効率よく見えます。
しかし、この方法だと生徒一人ひとりの学力や学び方の特性に合わせることができず、必ず取り残される子どもが生まれます。
授業についていけなくなったり、授業よりも高いレベルの学びに挑戦したりするために塾に行かなければならないことに違和感を感じませんか?
これからの教育は「何をどう学ぶか」を学習者自身が自己決定し、それぞれが最適な学習方法を選択していく仕組みに変えていく必要があるのです。
これを実現するために僕が勤務する横浜創英中学・高等学校では、「学び方改革プロジェクトチーム」が発足し、授業の在り方を検討しています。
すでに実行している例では、中学校の英語では、中1〜中3が同じ時間帯に英語を学びます。
学びの集団はクラスではなく、学び方で別れており、生徒が目的に応じて教室を選びます。
「先生が教える部屋」では、年間計画に従って先生が講義をします。
中1〜中3までの誰もがその教室で学ぶことができます。
「生徒同士コミュニケーションをしながら学ぶ部屋」では生徒が教え合ったり、会話の練習をしたりしています。
「個で学ぶ部屋」ではAI教材などで黙々と学んでいます。
他にも外部の企業と連携し、「英会話を学ぶ部屋」「英語でプログラミングを学ぶ部屋」など、毎回4つ〜6つくらいの教室から、学び方を選ぶ方法を採っています。
「学び方改革プロジェクトチーム」では、すべての教科で生徒が学び方を選べる仕組みをつくろうと、カリキュラムをつくっています。
校長の本間朋弘は、「知識伝達のための授業はゼロにしてください」と言い切りました。
今やインターネットで多くのことが学べる時代。子どもたちが「学び方」を手に入れ、教師も含め、さまざまな手段を活用しながら学び続けるようになってほしい。
そのために、学校に何ができるかを考えて、「学び方改革」を中心に学校改革を行っています。
横浜創英中学高等学校 副校長 日本パブリックリレーションズ学会理事長
1994年から、公立中学校で英語教師として教壇に立つ。
都立中高一貫教育校を経て、2019年より横浜創英中学高等学校(今年度より副校長)、 新渡戸文化中学校・高等学校、浜松開誠館中学高等学校の他、日本パブリックリレーションズ学会理事長、GRASグループ、News Picksなど複数の団体・企業でも活動。複数の学校、企業と雇用契約を結んでいる二刀流(複業)教師。
Apple Distinguished Educator、LEGO ® SERIOUS PLAY ® メソッドと教材活用トレーニング終了認定ファシリテーター。 著書に『「学びのミライ地図」の描き方』(学陽書房)、『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』(日経BP社)、『「教えない授業」の始め方』(アルク)、『学校に頼らなければ学力は伸びる』(産業能率大学出版部)などがある。
記事の内容がよかったら「イイね!」ボタンを押してね