眼科専門医が教える!「目の機能に異常が起きるスマホアイ」

【視力が落ちるだけじゃない「スマホアイ」の怖さ】 今日、どれだけスマホの画面を見ていますか? スマホを使いすぎると、目に悪い。 誰もがそう思っているはずです。でも実は、スマホの本当の怖さは別にあります。

健康/病気

医学博士。眼科専門医。
  • このお題をXでシェア
  • このお題をLINEでシェア
  • このお題をfacebookでシェア
  • コメントを見る

目の機能に異常が起きる「スマホアイ」

スマホを手放せないからこそ要注意

あなたはスマホが手元からなくなったら何日耐えられますか?

ある調査では、1日も耐えられないと答えた人は、30代以下の女性で50%を超えたそうです。

言うまでもなく、スマートフォン(スマホ)の登場は、私たちのライフスタイルを大きく変えました。

今や電話やメール、カメラ撮影に加えて動画や音楽の視聴にSNSやチャット、さらには読書やゲーム、調べ物にお買い物などなど、さまざまなことが、どこにいてもたった1台の端末で行えます。

また、子育てしている親世代にとっても、その存在はありがたいものでしょう。

家で手が離せないときや、外出先で子どもが泣き止まずに困ったとき、また在宅で仕事をしている際に静かにしてほしいときなど、誰もがスマホの存在に頼ったことがあるのではないでしょうか。

ちなみに、東京大学大学院情報学環の橋元良明教授(情報社会心理学)の研究室が、0歳から6歳の第1子を育てる母親を対象に実施した調査では、0歳児を育てる母親の99%が、子どもにスマホに触らせたことがあると回答。

1歳児以降では6割を超えているというから、驚きです。

便利を超えた、なくてはならないアイテム。それがスマホです。

ただ、そのスマホが、子どもたちの目に、もっといえば子どもたちの将来に恐ろしい影響を与えているとしたら、あなたはどうしますか?

「スマホ用の目」3つの特徴

スマホに頼れば頼るほど、私たちの「目」はストレスを受け続けることになります。

たとえばみなさんが、スマホを使用しているとき、目と端末の距離がどれぐらいあるか、ぱっとは答えられない人がほとんどではないでしょうか?

私たちがスマホを利用する際、目と端末との距離はおよそ20センチほどしか離れていません。

さらに、1時間以上そのような状態でいることも珍しくはありませんよね。

もちろん、この状態は目にとって決していいことではありません。

人類の目は、長い時間をかけて環境に適応し、進化を遂げてきました。

生物の変化はそう簡単には進むものではありませんし、何千年単位、何万年単位といった気の遠くなるような歳月が必要となります。

一方で、スマホが世の中に登場してからまだ20年も経っていません。

私たちの目がスマホを見るのに適したつくりにはなっていないのは言うまでもないことです。

それにもかかわらず、20センチほど先の小さな画面に、しかも長時間ピントを合わせ続ける人がなんと多いことか。

この目にとってストレスフルな状況になんとか適応しようともがいた結果、誕生するのが「スマホアイ」です。

この言葉は私が定義した言葉で、要するに近くの狭い範囲を見ることに慣れた「スマホ用の目」のことで、具体的には次のような特徴があります。

・眼球運動が鈍い

・視野が狭い

・両眼視機能が弱い

そしてスマホアイには、それによって引き起こされるさまざまな症状があります。

・調節緊張/調整麻痺(スマホ老眼)

・急性内斜視

・近視の進行

・眼精疲労(疲れ、かすみ、充血、頭痛、肩こりなど)

・ドライアイ

さらに、睡眠不足や自律神経失調、スマホ依存など間接的に与える影響まで含めると、もっと広範囲に及びます。

スマホアイから守りたいのは子どもたちの目と脳

とても素敵な風景に出逢うと、スマホやデジカメで写真を撮っておきたくなります。

でも、さぞきれいな写真が撮れただろうなとワクワクしながら見てみると、「あれ?なんか違う」とがっかりしてしまうことがありませんか?

これは、私たちが目で直接見て認識しているものは、脳で複雑に処理された映像だからです。ものを見るという行為は、目だけでは完結しません。

脳も関係しているのです。両目で捉えた大量の情報が脳へと送られて初めて、人は目に見えているものを認識できます。

私たちは目ではなく、脳でものを見ているのです。

そのためには、目が受け取った大量の情報を脳が的確に処理する必要があります。

この能力は、生まれながらに身についているものではありません。

生まれてから10年ほどの間に、さまざまな経験を積むことで培われます。

そんな大事な時期にスマホばかり使っていると、ものを見る能力を十分に獲得できないばかりか、脳にもマイナスの影響を与え、子どもの健やかな成長に待ったをかける恐れさえあります。

PROFILE

医学博士。眼科専門医。

松岡俊行

1992年京都大学医学部医学科卒。
1996年京都大学大学院医学研究科、2001年10月、ロンドン大学UCL(University College London)客員研究員。 京都大学大学院在学中に「Science」に、ロンドン留学中に「Nature」に論文掲載。
2008年、京都大学大学院医学研究科准教授。
2019年、大阪府吹田市に江坂まつおか眼科を開業。
2021年、医療法人アメミヲヤ設立。
2022年、「近視の撲滅を目指すDr.まつおか」YouTubeチャンネル開設。

記事の内容がよかったら「イイね!」ボタンを押してね

医学博士。眼科専門医。
  • このお題をXでシェア
  • このお題をLINEでシェア
  • このお題をfacebookでシェア
  • コメントを見る

コラムに関連している掲示板

  1. 子育て本
  2. 健康/病気
  3. 眼科専門医が教える!「目の機能に異常が起きるスマホアイ」

ログインありがとうございます。1ポイントゲット!

ログインありがとうございます。0ポイントゲット!