幸せを感じとるセンサーのつくり方 - 発達心理学の専門家コラム

コラム・弥生先生の心の相談室

しつけ/育児

法政大学文学部心理学科教授。教育学博士
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発達心理学の専門家コラム 幸せを感じとるセンサーのつくり方

幸せを感じとるセンサーのつくり方

親は誰しも自分の子どもに「幸せな人生を築いてほしい」と願っています。

では、その「幸せ」「幸福感」とは、どのようなところから生まれてくるのでしょうか。

日々の暮らしを考えてみると、おそらく誰もが心のどこかで幸せの青い鳥を探していると思います。

穏やかに、楽しく、幸せだなと感じる人生を送りたいと望んでいます。

それは、遠い未来にあるような気もすれば、意外と身近な今にあるような気もして、いつも迷ってばかりいます。

ただ、この幸せ探しがどんな旅になるとしても、最も大事なのは、「今、幸せ」と感じられるセンサーを自分自身に持っていることです。

センサーがなければ、幸せをいくら探し回っても「幸せ」を感じられません。

つまり、親が子どもに「幸せな人生を築いてほしい」と願うとき、真っ先に必要になるのは、「幸せ」を感じられるセンサーを身につけさせてあげることです。

やがて、子どもは自立し、自らの幸せの青い鳥を探しにいくでしょう。

そのとき、このセンサーがあるかないかで、人生の見え方はまるで違ってきます。

では、親はどのように支援していくとよいのでしょうか。

日々の暮らしに、穏やかで楽しく幸せだなと感じる時間をどんどんつくっていくことです。

そして、親自身が「幸せだなぁ」と感じたとき、素直な気持ちで「今、すっごく幸せを感じる」と子どもたちにくり返し伝えることです。

たとえば、夕飯がおいしくつくれたとき、穏やかな家族団らんが持てたとき、子どもと散歩をしているとき、家族で公園に行って芝生に寝転んだとき、子どもと一緒にテレビを見ながら笑っているとき、一日の終わりにふかふかの布団に入ったとき‥‥‥。

日常の中には「あぁ今、幸せ」と感じる瞬間があります。

幸せを感じる瞬間とは、大きな夢の中より、むしろ当たり前の日常の中にあふれています。

その瞬間、親が「幸せだなぁ」と言葉にすることで、子どもも自分の中にわき起こってくる穏やかな感情が「幸せ」というものだと知ります。

幸せを感じとるセンサーとは、そうして毎日の生活の中で育てていくものなのです。

PROFILE

法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。

渡辺弥生

大阪生まれ。
筑波大学卒業、同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、ハーバード大学客員研究員、カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。
同大学大学院ライフスキル教育研究所所長。
専門は発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学。
社会性や感情、道徳性の発達研究と対人関係の問題行動の予防やソーシャルスキルトレーニングに力を入れている。
最近は、ソーシャル・エモーシショナル・ラーニングの教育支援のもとに幼児や大人までを対象に教育実践も行っている。

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法政大学文学部心理学科教授。教育学博士
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