幸せを感じとるセンサーのつくり方 - 発達心理学の専門家コラム
コラム・弥生先生の心の相談室
しつけ/育児
幸せを感じとるセンサーのつくり方
親は誰しも自分の子どもに「幸せな人生を築いてほしい」と願っています。
では、その「幸せ」「幸福感」とは、どのようなところから生まれてくるのでしょうか。
日々の暮らしを考えてみると、おそらく誰もが心のどこかで幸せの青い鳥を探していると思います。
穏やかに、楽しく、幸せだなと感じる人生を送りたいと望んでいます。
それは、遠い未来にあるような気もすれば、意外と身近な今にあるような気もして、いつも迷ってばかりいます。
ただ、この幸せ探しがどんな旅になるとしても、最も大事なのは、「今、幸せ」と感じられるセンサーを自分自身に持っていることです。
センサーがなければ、幸せをいくら探し回っても「幸せ」を感じられません。
つまり、親が子どもに「幸せな人生を築いてほしい」と願うとき、真っ先に必要になるのは、「幸せ」を感じられるセンサーを身につけさせてあげることです。
やがて、子どもは自立し、自らの幸せの青い鳥を探しにいくでしょう。
そのとき、このセンサーがあるかないかで、人生の見え方はまるで違ってきます。
では、親はどのように支援していくとよいのでしょうか。
日々の暮らしに、穏やかで楽しく幸せだなと感じる時間をどんどんつくっていくことです。
そして、親自身が「幸せだなぁ」と感じたとき、素直な気持ちで「今、すっごく幸せを感じる」と子どもたちにくり返し伝えることです。
たとえば、夕飯がおいしくつくれたとき、穏やかな家族団らんが持てたとき、子どもと散歩をしているとき、家族で公園に行って芝生に寝転んだとき、子どもと一緒にテレビを見ながら笑っているとき、一日の終わりにふかふかの布団に入ったとき‥‥‥。
日常の中には「あぁ今、幸せ」と感じる瞬間があります。
幸せを感じる瞬間とは、大きな夢の中より、むしろ当たり前の日常の中にあふれています。
その瞬間、親が「幸せだなぁ」と言葉にすることで、子どもも自分の中にわき起こってくる穏やかな感情が「幸せ」というものだと知ります。
幸せを感じとるセンサーとは、そうして毎日の生活の中で育てていくものなのです。
法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。
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