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小児科医オススメの食事“子どもの心の状態と栄養の関係”

明日からできる!気軽につづく!小児科医ママが伝えたい 子どもの体・脳・心を育てる食事のコツ。

更新日:

工藤 紀子
小児科専門医・医学博士。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院小児科思春期科博士課程修了。

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小児科医ママが教えたい食事“子どもの心の状態と栄養の関係”

子どもの心の状態と栄養の関係
摂りたい栄養素
ビタミンD
ビタミンB1

気持ちの落ちこみやだるさはストレスだけじゃない?

うつ病になる原因ははっきりとはわかっていませんが、ストレスによるところが大きいといわれています。

うつ病になると、気分が落ちこむ、やる気が出ない、眠れない、疲れやすい、体がだるいなどの症状が現れます。

健康な人でも、ストレスや体の不調からこうした症状が出る(抑うつ状態)ことはありますが、多くは一過性でしだいに回復していきます。

日本人の4人に1人が、一生に一度は抑うつ状態を経験するといいますから、決してひとごとではありません。

抑うつ状態やうつ病を予防するめには、ストレスに対処したり、十分な休養をとったり、規則正しい生活習慣を身につけたりといろいろなことがありますが、食事の内容も無関係ではありません。

栄養不足がうつに関係している可能性が指摘されているのです。

栄養不足がメンタルの不調を加速させる

人の体内には、摂取した栄養素からエネルギーをつくり出す工場のようなものがあります。

エネルギーをつくる過程では、鉄やビタミンD、ビタミンB1などの栄養素が必要になりますが、これらが不足すると工場はうまく回らなくなり、食べても食べても元気が出なくなってしまいます。

それだけではありません。

精神を安定させるセロトニン(「幸せホルモン」とも呼ばれます)、多幸感を得たり意欲を生み出したり感じたりするなどの働きをもつドーパミン、興奮を鎮めるGABAといった神経伝達物質をつくるさいにも、たんぱく質やビタミン類、ミネラル類などが必要になります。

糖質たっぷりのジュースやお菓子ばかり口にしている場合、血糖値が急激に上がったり下がったりをくり返すことで、集中するのが難しい、眠気が急におそってくるなどの症状が出ることがあります。

コロナ禍が招いたビタミンD不足

国立成育医療研究センターの調査(2021年実施)によれば、コロナ禍において小学5~6年生9~13%、中学生の13~22%に中等度以上の気持ちが落ちこむ、やる気が出ない、死にたい気持ちになるなどの抑うつ症状が見られたそうです。

その子たちは、学校へ行けない、友だちにも会えない、成績が下がってしまうかもしれない、そして自分の不安な気持ちを誰にも話すことができないなどのつらさや悩みを訴えていました。

くわえて、外出する機会が減って日光にあまり当たらなくなり、ビタミンDが足りなくなったことがメンタルの状態の悪化に拍車をかけた可能性も否定できません。

コ毎日の食事で心の元気を保つ

抑うつ状態のような症状を訴えていた人が、食事を変えて栄養バランスを整えたことで、症状が改善したという報告もあります。

大人の例ですが、イライラする、ささいなことで怒ってしまう、眠りが浅い、朝起きるのがつらいなどの精神・身体症状に悩まされていた30代の女性が受診したところ、いくつかの栄養素が不足していることがわかりました。

そこでバランスのよい食事を1日3食とり、サプリメントで足りない栄養素を補給するようにしたところ、4ヵ月ほどでかなり症状が改善したといいます。

さまざまな栄養素をバランスよく摂ることは、体や脳だけでなく、心の健康を保つためにも大切なのです。

肉で鉄や亜鉛、ビタミンB1、魚でビタミンD、野菜からビタミンAをしっかり摂るなど、かたよりの少ない食事を心がけて、心の元気をキープしましょう。

PROFILE

小児科専門医・医学博士。
順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院小児科思春期科博士課程修了。

工藤紀子

栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。
保育園、幼稚園、小中学校の嘱託医を務める。2児の母。
都内クリニックにて、年間のべ1万人の子どもを診察しながら子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。

「小児科医ママが教えたい体・脳・心を育てる!子どもの食事」

著者名
工藤 紀子
出版社
 日本文芸社

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