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知っておきたいPMSとPMDD

「妊娠・出産」については、変わらない常識もあるが最新研究によって「昔の常識が非常識」になることもたくさんあります。

更新日:

重見 大介
産婦人科専門医

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病院では聞けない!知っておきたいPMSとPMDD

知っておきたいPMSとPMDD

月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)という疾患を聞いたことがあるでしょうか。

PMSは「月経開始の3〜10日前から始まる心身の症状で、月経開始とともに改善するもの」です。

PMDDは「PMSと同時期にイライラ、不安、落ち込みのような精神症状がメインで、PMSより症状が重いもの」です。

PMSはかなり多くの女性に大小の影響を与えていると考えられており、PMDDは症状が重いため日常生活さえままならないことも少なくありません。

●主な症状

・PMS:腹痛、頭痛、乳房の張り、腰痛、むくみ、不安、イライラ、気分の変動、だるさなど。

・PMDD:PMSの症状に加え、極度の不安、憂うつ、怒り、自己否定感、集中力低下、自分を傷つけてしまいたくなる気持ちなど。

●原因

・PMSおよびPMDDの原因は完全に解明されていませんが、ホルモンの変化が関与していると考えられています。

特に、月経周期に伴うプロゲステロンとエストロゲンの変動が、脳内の神経伝達物質の働きに影響を与えるとされています。

なお、女性ホルモンが不安定なのではなく、しっかりと分泌されているが故に起こっているものだと考えられています。

●主な治療法

【ホルモン療法】

低用量ピルやプロゲステロン製剤により、ホルモンバランスを整えることで症状が緩和されます。

【鎮痛薬】

主にNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が、頭痛や腹痛などの身体的症状に対して処方される場合があります。

【抗うつ薬】

PMDDの場合には、主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬が処方されることがあります。

●普段からできるセルフケア

【適度な運動】

ウォーキングやストレッチなどの軽い運動習慣により、症状が少し軽減できる場合があります。

【バランスのよい食事】

ビタミンB6、マグネシウム、カルシウムなどを含む食事をとり、カフェインやアルコールの摂取を控えましょう。

【ストレス管理】

リラクゼーション(瞑想、ヨガ、深呼吸など)や適度な休息を取ることで、ストレスを軽減しましょう。また、7〜8時間の睡眠をしっかりとりましょう。

【月経周期の記録】

2〜3ヶ月の月経周期を記録し、体調が悪くなるタイミングを把握することで無理のない生活を送るよう工夫することも大切です。

これらのセルフケアが有効な場合もありますが、症状が改善しない、または悪化する場合や、心配が強い場合には、早めに産婦人科を受診してください。

その際に、2~3ヶ月の月経周期を記録しておき、症状の強さやタイミングを一緒に伝えられるとスムーズに診察を受けることができるでしょう。

PROFILE

産婦人科専門医

重見大介

日本医科大学卒業後、日本医科大学付属病院等で産婦人科医として勤務したのち、東京大学の公衆衛生大学院を経て同大学院博士課程へ進学。
現在は、研究と臨床にくわえ、ICTを活用した遠隔健康医療相談サービス「産婦人科オンライン」の運営にも携わる。

「病院では聞けない最新情報まで全カバー! 妊娠・出産がぜんぶわかる本」

著者名
重見 大介
出版社
 KADOKAWA

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