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産後の月経再開についての疑問

「妊娠・出産」については、変わらない常識もあるが最新研究によって「昔の常識が非常識」になることもたくさんあります。

更新日:

重見 大介
産婦人科専門医

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病院では聞けない!産後の月経再開についての疑問

産後の月経再開についての疑問

産後には悪露がしばらく続きますが、いずれ月経が再開します。

ただ、個人差が大きい上に、産後1ヶ月健診の後は医師に相談する機会がなかなかないため、再開時期について不安を抱えている女性は少なくありません。

また、年齢を考えると次の妊娠を早めにしたいと考えている人もいるでしょう。

個人差がありますが、月経再開時期は、産後6週間から3ヶ月頃が一般的です。

ただし、授乳方法によって再開の時期が異なります。

再開後しばらくは月経周期がばらつきやすいため不安になるかもしれませんが、次第に周期が整っていきます。

●母乳の場合

母乳育児を行っている場合、プロラクチンというホルモンが分泌されることで排卵が抑制されやすいため、月経再開が遅れる傾向にあります。

母乳だけで育児をしている場合には、概ね産後6ヶ月から1年が再開時期となるでしょう。

●人工乳(ミルク)の場合

人工乳の場合、母乳だけの育児よりも早く月経が再開しやすいです。

通常は、産後2〜3ヶ月以内に再開となるでしょう。

混合栄養では、母乳を与える頻度が減ってくることで月経が徐々に再開しやすくなると考えられています。

妊娠可能性についても重要なのでお伝えしておきます。

産後しばらくは月経が来ないだけではなく排卵も起こっていないのですが、月経が再開する前に排卵が起こることがあります。

つまり、月経が再開していなくても避妊せずにセックスすることで妊娠する可能性があるのです。

特に、母乳での授乳間隔が長くなったり、離乳食が始まったりすると、プロラクチンの分泌が減少して排卵が密かに再開することがあります。

出産して半年以内の妊娠は早産率が上がるなどリスク増加につながりますのでご注意ください。

なお、産後の月経に関して、早めの受診が必要な目安は以下の通りです。

これらの症状がある場合は、産婦人科を受診して治療方針等の相談をしましょう。

・産後1年以上経っても月経が再開せず次の妊娠を希望している

・産後1年半経っても月経が再開していない

・再開後に出血が多い、長引く、月経痛が強すぎて日常生活に支障がある

産後の月経再開時期は個々の体調や生活状況によって異なりますが、上記の内容を参考に、焦りすぎず様子を見ていってくださいね。

なお、子宮頸がん検診は2年に1回が推奨されていますので、月経が再開していてもいなくても、最後の検診から2年経つ頃には検診を受けるようにしましょう。

Q

出産前後で月経や排卵に変化は起こりますか?
A

出産後に、月経痛の程度や月経周期が変わったという女性は少なくありません。妊娠・出産を経て子宮の大きさや位置に激しい変化が起きたため、元に戻ったとはいえ影響が残っているのだと考えられます。痛みは強くなる場合も弱くなる場合もあるので、痛みが辛い場合には早めに産婦人科で相談してみるとよいでしょう。

参考文献:NHS.Sex and contraception after birth.

PROFILE

産婦人科専門医

重見大介

日本医科大学卒業後、日本医科大学付属病院等で産婦人科医として勤務したのち、東京大学の公衆衛生大学院を経て同大学院博士課程へ進学。
現在は、研究と臨床にくわえ、ICTを活用した遠隔健康医療相談サービス「産婦人科オンライン」の運営にも携わる。

「病院では聞けない最新情報まで全カバー! 妊娠・出産がぜんぶわかる本」

著者名
重見 大介
出版社
 KADOKAWA

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