学校行事への困り感に効果的な工夫
多数派とは学び方が異なる LD当事者(Learning Difference)の工夫、学校での配慮を紹介します
発達/発育
別室で一人の演奏会
● 人前に立つことがしんどい。
● 照明や大きな響きが苦手。
① 別室を利用する
② SOSのサインを決める
③ 緊急時のシミュレーションをする
音楽は好きだけど苦手な音楽会に出るためにした工夫
一番苦手な行事は音楽会です。舞台から見えるたくさんの人の顔も照も大きな響きもすべてがしんどく、小学2年のときはホールでの練習にすら一度も参加できませんでした。
誤解されやすいのですが、音楽自体はとても好きで、楽器の演奏も好きです。
「舞台には立てないけれど自分なりに参加したい」という気持ちをくんでもらい、本番はモニターで舞台での演奏を見ながら、別室で盤ハーモニカを演奏した年もありました。
少しずつ自分にできる経験を積みながらホールでの練習にかかわれるようになり、全体練習が始まる際は前もって舞台での立ち位置を調節してもらい、本番でしんどくなった場合のSOSサインの出し方や、サインを出したときどのようにして舞台からはけるかを先生とシミュレーションすることで見通しと安心を得て、みんなと一緒に本番に臨めた年もありました。
野口晃菜:一般社団法人UNIVA理事。
田中裕一:前文部科学省特別支援教育調査官/兵庫県立山の学校 学校長。
一般社団法人UNIVA理事。小6でアメリカへ渡り、障害児教育に関心を持つ。
その後筑波大学にて多様な子どもが共に学ぶインクルーシブ教育について研究。
小学校講師を経て、株式会社LITALICO研究所長として、学校・少年院等との共同研究や連携などに取り組み、その後一般社団法人UNIVAの立ち上げに参画、理事に就任。
インクルージョン実現のために研究と実践と政策を結ぶのがライフワーク。
経産省産業構造審議会教育イノベーション小委員会委員、文科省新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議委員、日本LD学会国際委員など。
共著に『発達障害のある子どもと周囲の関係性を支援する』などがある。
田中裕一
前文部科学省特別支援教育調査官/兵庫県立山の学校学校長。
1970 年生まれ。兵庫教育大学大学院特別支援教育コーディネーターコース修了。
企業の社会人野球チームに所属した後、兵庫県内の知的障害者施設、県立特別支援学校(知的障害)に勤務。
2014年から文部科学省に勤務。文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官を歴任後、2020年、兵庫県教育委員会に戻り、特別支援教育課副課長。
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