学校行事への困り感に効果的な工夫

多数派とは学び方が異なる LD当事者(Learning Difference)の工夫、学校での配慮を紹介します

発達/発育

前文部科学省特別支援教育調査官/兵庫県立山の学校 学校長
一般社団法人UNIVA理事
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行事

耳栓で苦手な音をカット

【診断名】・広汎性発達障害
困ったこと

● 運動会のピストルの音、演奏会の楽器の音など、行事内の大きな音が耐え難く感じた。


● 映像を視聴すると、内容に入り込みすぎて激しく疲れたり、夜にその夢に出てきたりした。

工夫

① 耳栓をつける


② 音源から遠い位置に座る

成長によって変わる耳栓の使い方

小学校から高校くらいまでは、演奏会や運動会に参加するとき、補聴器センターでつくったオーダーメイドの耳栓を使用していました。

この最後はほかの人に気づかれにくく気軽に使える一方で、耳と耳栓がこすれて出る雑音に疲れてしまい、長時間は使えませんでした。

学校の先生には耳栓を使う許可をもらいましたが、同級生には内緒で使っていました。

演奏会のときは、先生と相談してスピーカーや楽器から遠い位置に自分の席を移動することもありました。

また戦争や健康被害に関するものなど自分が観てつらくなりそうな映像を視聴するときは事前に聞いて欠席していました。

大学院では、オーディオ機器メーカーのノイズキャンセリングイヤホンを使い始めました。

イヤホンを使うと雑音がカットされて大きな音が鳴る環境でもその場にいられますが、一緒にいる人の話し声など必要な音も聞き取りにくくなるため、時と場合に応じてつけたり外したりしています。

苦手な音の刺激を避けるための耳栓やイヤホンって、本当にいろいろな種類があるけど、自分に合ったものを選ぶってとっても大事。さらに、TPOに合わせて、自分でイヤホンを使うときと、そうでないときを考えて使い分けるって、スマートだよね。
行事

別室で一人の演奏会

【診断名】・ASD・DCD
困ったこと

● 人前に立つことがしんどい。


● 照明や大きな響きが苦手。

工夫

① 別室を利用する


② SOSのサインを決める


③ 緊急時のシミュレーションをする

音楽は好きだけど苦手な音楽会に出るためにした工夫

一番苦手な行事は音楽会です。舞台から見えるたくさんの人の顔も照も大きな響きもすべてがしんどく、小学2年のときはホールでの練習にすら一度も参加できませんでした。

誤解されやすいのですが、音楽自体はとても好きで、楽器の演奏も好きです。

「舞台には立てないけれど自分なりに参加したい」という気持ちをくんでもらい、本番はモニターで舞台での演奏を見ながら、別室で盤ハーモニカを演奏した年もありました。

少しずつ自分にできる経験を積みながらホールでの練習にかかわれるようになり、全体練習が始まる際は前もって舞台での立ち位置を調節してもらい、本番でしんどくなった場合のSOSサインの出し方や、サインを出したときどのようにして舞台からはけるかを先生とシミュレーションすることで見通しと安心を得て、みんなと一緒に本番に臨めた年もありました。

みんなの中にも音楽は好きだけど、音楽会は苦手という人はいるんじゃないかな?もしかしたら運動が好きだけど運動が苦手という人もぜひ自分に合っている参加の仕方を提案してみよう!それがヒントになってもっと誰もが参加しやすくて面白い行事にアップデートできるかも?
PROFILE

野口晃菜

一般社団法人UNIVA理事。小6でアメリカへ渡り、障害児教育に関心を持つ。
その後筑波大学にて多様な子どもが共に学ぶインクルーシブ教育について研究。
小学校講師を経て、株式会社LITALICO研究所長として、学校・少年院等との共同研究や連携などに取り組み、その後一般社団法人UNIVAの立ち上げに参画、理事に就任。
インクルージョン実現のために研究と実践と政策を結ぶのがライフワーク。
経産省産業構造審議会教育イノベーション小委員会委員、文科省新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議委員、日本LD学会国際委員など。
共著に『発達障害のある子どもと周囲の関係性を支援する』などがある。

田中裕一

前文部科学省特別支援教育調査官/兵庫県立山の学校学校長。
1970 年生まれ。兵庫教育大学大学院特別支援教育コーディネーターコース修了。
企業の社会人野球チームに所属した後、兵庫県内の知的障害者施設、県立特別支援学校(知的障害)に勤務。
2014年から文部科学省に勤務。文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官を歴任後、2020年、兵庫県教育委員会に戻り、特別支援教育課副課長。

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前文部科学省特別支援教育調査官/兵庫県立山の学校 学校長
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