“先延ばしの正体”と“今すぐ動ける方法”を徹底解説!──先延ばしの原因は性格じゃない!
「5分で終わることなのに、始めるまで1時間かかる…」「やらなければいけないのに、やる気がでない…」そんな悩みの正しい原因を特定し、心理学で解決する!
健康/病気
「またダラダラしてしまった」と自分を責めていませんか?動けないのは性格の問題ではなく、単純な睡眠・栄養不足や手を使わない生活が原因かも。自分を叱咤するのをやめ、自然と身体が動き出す習慣を始めましょう。
内藤 誼人さん著書『「すぐやる人」に変わる心理学』から一部転載・編集してお届けいたします。
先延ばしの原因は性格じゃない!
単純に睡眠不足
サボリ指標が6倍に
仕事で先延ばしをしている人は、年々増えています。
なぜ、そんなことがいえるのかというと、慢性的な睡眠不足を感じている人が増えているからです。
厚生労働省が行った令和5年(2023年)「国民健康・栄養調査」によりますと、日本の成人で十分に睡眠がとれている人は74.9%。逆にいうと、約4人に1人(25%)は睡眠不足だといえるわけです。
時代別に推移を見ても、日本人の睡眠時間はどんどん短くなっています。
OECD(経済協力開発機構)が発表している2021年の調査でも、日本人全体の平均睡眠時間は7時間22分。これは、OECD加盟国で最も短い睡眠時間でした。
日本人は、慢性的な睡眠不足に悩まされているのです。
睡眠が足りなければ、仕事のやる気が出ないのも当たり前。
睡眠不足なのに、それでもバリバリ仕事ができる人がいたら、そちらのほうが不思議です。
頭もぼんやりするでしょうし、仕事も雑になるでしょうし、面倒な作業は後回しにしたくなるに決まっています。
というわけで、先延ばしをしない人間になるにはどうすればいいのか、もうお分かりでしょう。
そう、毎日、しっかりと睡眠時間を確保するようにすればいいのです。
夜遅くまでゲームをしたり、YouTubeの動画を見たりせず、さっさと眠るようにすればいいのです。そうすれば先延ばししない人間になることができますから。
起きる時間を1時間早くして太陽の光をあびるだけでも、夜眠りやすくなります。
睡眠不足ですと、人はサボるようになります。
シンガポール・マネジメント大学のデビッド・ワグナーは、96名の大学生に42分間のビデオ講義をコンピュータ上で見せてみました。
その際、講義ではなく他のサイトをどれだけ見るのかもこっそりと記録しておき、「サボり指標」としました。
すると睡眠をきちんととっている人のサボり指標は2分から3分だったのに、睡眠不足の人は12分から13分という結果になりました。
睡眠をきちんととっている人は、しっかり講義に集中できるのに、睡眠不足だとついついサボってしまうようになるのです。
仕事のやる気が出ず、インターネットで仕事とは関係のないサイトばかり閲覧してしまうのは、睡眠不足が原因。
これでは仕事も一向にはかどりませんし、予定通りに仕事を片づけることもできません。
仕事が遅れてしまうのは、意志の弱さが原因ではなく、単純に睡眠不足だから。
とりあえず今日から睡眠時間を1時間でも、2時間でも長くしてみてください。
明日、朝起きてみると心も身体もリフレッシュしていることを体感できますし、仕事のほうも面白いくらいにどんどん片づけることができますよ。
栄養不足ではエネルギーが出ない
タブレットで10分タイムが縮まる
自動車はガソリンがなければ走ることができません。
家電製品も、電気がなければ動きません。
人間にとってのガソリンや電気に当たるのが、栄養。しっかり栄養をとっておかないと精力的に仕事もできませんし、パワー不足でダラダラしてしまうのもしかたがないのです。
燃料が少なくなった機械の動きが悪くなるのと一緒です。
しっかり栄養をとれば、フットワークよく動けるようになります。
デンマークにあるオールボー大学のアーネスト・ハンセンは、コペンハーゲン・マラソン2013(42.195キロのフルマラソン大会です)に参加するアマチュアのランナー28人にお願いして、実験をしました。
参加者は全員、大会7週間前に10キロ走のタイムを測定することになっていました。
次にハンセンは、その10キロ走のタイムと、年齢、体重、身長などをほとんど同じにした2つのグループにわけ、14名にはマラソン前に好きなものを食べてもらい、14名には、科学的な栄養学に基づいたエネルギーのタブレットを飲んでもらったのです。
タブレットの摂取は、大会の10分から15分前に2粒。
レース後40分が経過したところでもう1粒、その後は20分おきに1粒ずつ飲む、ということになっていました。
なお、1粒のタブレットには、20グラムのマルトデキストリンとグルコース、0.2グラムのナトリウム、0.03グラムのカフェインが入っています。
これは科学的な栄養学で十分にエネルギーになることがわかっているものです。
では、大会の結果はどうなったのでしょう。
自分の好きなものを食べたグループの平均タイムは、3時間49分26秒。
エネルギーになる栄養をしっかり摂取したグループでは、3時間38分31秒。
栄養をきちんととると、10分以上もタイムを縮めていることがわかります。
もし読者のみなさんが、日頃から「パワー不足」「エネルギー不足」を感じているとしたら、その原因は私たちの身体に必要な栄養が足りていない可能性があります。
栄養バランスが崩れているのに、仕事へのやる気を出すのはムリです。
ガソリンの足りなくなった自動車が動かなくなるのと同じです。
自分に対して、「もっと動け!」「もっと力を出せ!」とどれだけ言い聞かせようとしても、栄養が足りていないのなら、力を出せるわけがないのです。
自分にハッパをかけるよりも、まずは食生活を見直しましょう。
食生活を見直せば、わざわざ自分にハッパをかけるという面倒なことをしなくとも、自然にエネルギーを出せるようになりますよ。
手を使わないとうつになる
手は第二の脳
「何となく仕事の気分が乗らない」ということで悩んでいる人は、軽いうつ病になっている可能性があります。
気分が乗らない、意欲も出ない、疲労感が強い、といった症状は、うつの診断基準に完全に合致するものです。
うつ病になっているとすれば、仕事を先延ばししてしまうのもしかたがありません。
何しろうつ病なのですから。
元気いっぱいのうつ病患者などいませんよね。
うつ病になると、だれでも元気がなくなるのです。
では、どうすればいいのかというと、もっとたくさん手を使いましょう。
米バージニア州にあるランドルフ・メーコン大学のケリー・ランバートによりますと、テクノロジーが進化し、スイッチひとつですませる生活になってから、うつになる人が増大しているそうです。
昔の人は、洗濯をするときには自分の手を使って洗濯をしていました。
ところが今では洗濯機のボタンを押すだけですみます。
昔の人は料理を自分で作っていました。ところが現代人は電子レンジをチンするだけ。
このように手を使わない現代人の生活がうつを引き起こしている可能性がありますとランバートは指摘しています(『うつは手仕事で治る!』木村博江訳、飛鳥新社)。
では、どうすればうつな気持ちを吹き飛ばすことができるのでしょうか。
手を動かさない生活がうつを引き起こしているのですから、もっとたくさん手を動かすようなことをすればよいとランバートはアドバイスしています。
具体的には、ガーデニング、編み物、絵を描く、自分でパンを焼く、などをすればよいのです。
そうやって手を動かすようにすると、不思議なくらい気分がスッキリしてくるものです。
仕事への意欲が湧かないからといって、「もっとしっかりしなきゃダメだ!」と自分に言い聞かせても、おそらくはうまくいかないでしょう。
うつ病の人に「もっと頑張れ!」とハッパをかけても、そんなに都合よく意欲が出せないのと一緒です。
というわけで、ダラダラ、グズグズして物事を先延ばししている人は、自分を叱咤するのではなく、手を使う趣味を持つようにしてはいかがでしょうか。
そのほうが確実にうつを吹き飛ばせますし、仕事への意欲も湧いてくるはずです。
手は、「第二の脳」とも呼ばれています。
私たちの手と脳は密接に結びついているので、手を動かしていると、それに連動して脳のいろいろな領域も活性化するのです。
手を動かしているとやる気が出てくるのは、手が脳を動かす働きをしているからです。
手を使っていると、認知症の予防にもなりますし、仕事への意欲も湧きますし、たくさんの利点があります。
自分の生活を振り返ってみて、「私は、あまり手を使っていないなあ」という自覚があるのなら、手を動かす趣味を持つようにするといいでしょう。
平日はムリでも、せめて週末には手を動かすような趣味の活動をしていれば、仕事へのモチベーションも自然に高まりますから。
心理学者。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。
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