「ハマれる子」は一生伸びる!「夢中じゃなくても、やめなくていい」

16万人以上の脳画像データを解析してきた脳科学者・瀧靖之先生が、子どもが「好き」を見つけ夢中になれる力を育てる方法を解説。ゲームばかり、飽きっぽいなど親の不安にQ&A形式で答え、子どもが自分らしく豊かな人生を歩む力を伸ばす一冊。

習い事

東北大学加齢医学研究所臨床加齢医学研究分野教授。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター長。医師・医学博士。
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無理に勉強させなくても、子どもは「夢中」になることで自然と頭が良くなる?脳科学の知見に基づき、子どもの「好き」を才能に変える親のサポート法を解説。子育ての不安が楽しさに変わる一冊です。
瀧 靖之さん著書『夢中になれる子の脳』から一部転載・編集してお届けいたします。

夢中じゃなくても、やめなくていい

Q

ピアノをやらせていますが、どうも夢中という感じがしません。
「熱がない」というか、「興味がなさそう」というか......。
こういう場合は、やめさせたほうがいいですか?

A

いえ、やめさせないほうがいいと思います!
「やっていることが素晴らしい!」と、伝え続けてあげてください。

1つのことを長く続けることは、それだけで財産になる

習い事を始めたとして、「子どもがあまり乗り気でない……」ということはよくあります。

熱を持っていないような、楽しくなさそうな、夢中とはほど遠いのではないか……というような状態。

親としては不安になってしまうかもしれませんが、本人が「どうしようもなくイヤだ!」「苦痛で仕方ない!」と感じていない限り、やめさせる必要はないと思っています。

基本的に趣味も習い事も、親としての目標は「長続きさせること」だと思ってみてください。

他の子と比べてあまり才能がなさそうとか、熱がなさそうとか、あんまり上達しないと、そういう場合でも、「長く続けること」は大事なのです。

なぜならば、「1つのことが続いている」ということは、時間が経ったあと、それだけで本人の自信にもなるからです。

たとえば、「12年間書道をしている」と聞くと、他人からすると「おお、すごいな」と思いますよね。

やっているときはわからないものですが、大人になったときに「書道を12年やってました!」と言えるのは、字が実際に上手に書けるかどうかは別としても、1つの財産になります。

ですから、ピアノなどの楽器にしても、とりあえずやってみてもらください。

たとえば、その子が成長して高校や大学でバンドを組んでキーボードを担当するかもしれません。

大人になったあとも趣味で楽しい時間を送ることができるかもしれません。

長く続けていれば、それだけ可能性が増えるということなのです。

親としても、「続けることはすごいね」「それだけで才能だね」と、心からそう言えると思います。

挫折体験になることが一番の問題

では反対に、やめさせるタイミングは、どんなときなのでしょうか?

やめさせるないほうがいいというもう1つの理由は、「やめたことが挫折体験になる場合があるから」です。

挫折体験とは、「自分は〇〇ができなかった」という記憶が蓄積されてしまうことです。自己肯定感をなくしてしまう原因にもなるので、なるべくなら続けていったほうがいいかと思います。

しかしそもそも、なぜ子どもは「やめたい」と思うのでしょうか?

繰り返すように、子どもが何かをやめたくなるのは、「楽しくない・おもしろくないから」です。

・指導がスパルタすぎて(やらされている感覚が強すぎて)楽しくない

・できるようになったという感覚が得られなくて、おもしろくない

・仲のいい友だちがいなくて、楽しくない

このような要因があるはずです。

だから、興味がわかない。だから、「飽きた」「面倒だ」思う。そんなループにはまってしまうんですね。

ですから、まずは楽しい・おもしろいと思ってもらうことが第一です。

いきなり難しいことをしたり、教本通りに教えたりするのではなく、ハードルを下げて、楽しいと感じてもらえるところから始めてもらいましょう。

すでにある程度続けていて、上達できていないのがおもしろくない問題なのであれば、どこでつまずいているのか、つまずいているなら上達できるようなコツを教えてあげてください。

また反対に、「できることに気づいていない」ということもあるので、たとえばピアノなら「五線譜読めるようになってるじゃん、すごいね!」というように、できるようになったことを認識してもらうというのも大事なことですね。

「できている」「それでいい」ということがわかると、それだけで自己肯定感がわいてきます。

自己肯定感を高めてあげることで、熱は感じずとも、本人なりのペースで取り組んでくれるようになるでしょう。

やめるときは「ここまで」のラインを決めてみる

ただ、それでもやめたいと言ったり、やめたそうにしていたりすることはあるでしょう。

そのこと自体にネガティブな印象を持つ必要はありません。

「なんで続けられないんだ」とか「自分でやりたいって言ったのに」とか、そのような表現は子どもの自己肯定感を奪ってしまいます。

やめるならやめるで、まったく問題ないのです。

ただ、やめ方だけは考えてみてもいいでしょう。

1つは、「別の興味のあること」「別の楽しそうなこと」があるかどうかです。

完全にやめてしまうのではなく、「その代わりにこっちならがんばれそうだな」というものを見つけてもらったり、提案してみたりしてください。

もう1つは、「ここまでやったらやめる」というゴール設定をしてみます。

たとえば水泳なら、「じゃあ25メートル泳げるようになったら終わりにしようか」というように、1つのゴールを設定します。

そして、クリアした段階で、やめるかどうか再確認してみてください。

この形であれば、「できなくて終わった」ということにはならないので、挫折体験にはなりづらくなりますね。

「がんばれ」より「がんばってるね」が大事

習い事などで何より大事なのが、「やったことがすごいね」としっかりと褒めてあげることです。

大事なのは、結果ではなく、がんばって取り組んでいる姿勢です。

がんばって続けること自体が、とても尊いことですので、親としては、続けられてえらいね、すごいねと、たくさん褒めてあげてください。

このような経験は、子どもが成長したあとで人生の壁にぶつかったとき、悩むようなときに、心の支えとして無意識のうちにも残っているものです。

「がんばれ」も大事ですが、それ以上に、「がんばってるね」が大事なんですね。

やめることの問題は、挫折体験になってしまうこと。
うならないように、やっていること、努力する姿を褒めてあげましょう

PROFILE

東北大学加齢医学研究所臨床加齢医学研究分野教授。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター長。医師・医学博士。

瀧 靖之

1970年生まれ。東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。研究室では、脳の発達や加齢、認知機能の変化を、MRIを用いた大規模脳画像解析によって研究している。これまでに読影や解析をした脳MRIデータは16万人以上にのぼる。また、最新の脳研究と自身の子育ての経験をふまえ、科学的な子育てを提唱。書籍や講演、メディアを通して脳と健康に関する知見をわかりやすく発信している。
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東北大学加齢医学研究所臨床加齢医学研究分野教授。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター長。医師・医学博士。

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