人生に役立つ最適解にたどりつく力!「複合的思考力」
最難関が求める思考は、「わかったつもり」の先にある。読んで広げる思考の可動域。勉強にも仕事にも、人生に役立つ最適解にたどりつく力。頭がいい人は学生時代につかんでいた!入試問題に隠された思考のヒント。
教育
単なる知識の詰め込みではなく、正解のない時代を生き抜くための「地頭力」を鍛える一冊です。日本最高峰の入試問題を通して、物事を多面的に捉え、深く本質を見抜く思考法を現役東大生らを育てる著者が徹底解説。
西岡 壱誠、東大カルペ・ディエム著書の『東大・京大入試で培う 多面的に物事を深く捉える複合的思考力』から一部転載・編集してお届けいたします。
「頭がいい」とは、どういうことでしょうか。
知識が豊富なこと?
計算が速いこと?
記憶力がいいこと?
確かにそれらも「頭の良さ」の一部かもしれません。
しかし、日本を代表する2つの大学――東京大学と京都大学――が入試を通じて問うているのは、もっと別の何かなのではないか。私はそう感じています。
私自身、2浪の末に東大に合格しました。
その受験生活の中で、予備校の先生方や、合格後に出会った大学の先生方と、何度も「東大の入試は何を問うているのか」という話をしてきました。
そして、東大だけでなく京大の入試問題も研究する中で、1つの仮説にたどり着きました。
両大学が問うているのは、「複合的思考力」ではないか、と。
本書は、東大・京大の受験を目指す人のためだけの本ではありません。
むしろ、「東大や京大は、どんな『頭の良さ』を求めているのだろう?」
「あの難しい入試問題には、どんな意味があるのだろう?」と純粋に興味を持っている方に向けて書いています。
そして、その「複合的思考力」が、実は大学入試だけでなく、ビジネスや日常生活においても、驚くほど役立つ力であることを、お伝えしたいのです。
私が予備校の先生方や大学の先生方と議論を重ねる中で見えてきたのは、複合的思考力とは、一言で言えば、「複合的にいろんなものを使って、最後まで粘って考える能力」だということです。
単一の知識や単一の視点だけでは解けない問題に対して、持っている知識や視点を総動員し、試行錯誤を繰り返しながら、最後まであきらめずに答えを導き出す力。
それが複合的思考力なのではないか、と私は考えています。
本書では、この複合的思考力を、以下の6つの力の束として整理してみました。
複合的思考力を構成する6つの力
1
読解力(条件抽出・論点把握)
2
構造化力(整理・分類・因果整理)
3
多角的視点力(観点転換・比較検討)
4
統合力(要素接続・全体設計・統合構築)
5
判断力(優先順位決定・結論形成・戦略選択)
6
表現力(論理的言語化・答案化)
これら6つの力は、決してバラバラに存在するものではありません。
問題を読解し(①)、情報を構造化し(②)、多角的に検討し(③)、要素を統合し(④)、優先順位を判断し(⑤)、最終的に表現する(⑥)―――この一連のプロセス全体が、複合的思考力を形作っているのだと思います。
さらに興味深いのは、東京大学と京都大学が、同じ「複合的思考力」を問いながらも、そのアプローチがまったく異なることです。
私が両大学の入試問題を分析し、先生方と議論する中で見えてきたのは、次のような違いでした。
東大が定義する「頭の良さ」:速く、正確に、戦略的に
東大の入試問題を見ると、問題の量が非常に多いことに驚かされます。
英語では要約、リスニング、英文和訳、英作文、小説読解と、多様な問題が次々と出題されます。
数学も同様に、誘導つきの問題が複数並び、限られた時間内での処理能力が問われます。
私の分析では、東大が重視しているのは、①読解力、②構造化力、⑤判断力、⑥表現力です。
つまり、大量の情報を素早く処理し、限られた時間内で結論を出し、簡潔に答案化する能力――これが東大の定義する「頭の良さ」なのではないでしょうか。
たとえば東大英語で「order」という単語を用いた問題が出題されたことがあります。
誰もが知っている基本的な単語ですが、この問題では「alphabeticalorder(アルファベット順)」「goodorder(整頓されている)」といった様々な用法を瞬時に理解し、正しく選択することが求められました。
知識を「知っている」だけでなく、「どう使うか」を素早く判断する力が試されていると感じます。
京大が定義する「頭の良さ」:深く、自由に、論理的に
一方、京都大学の入試問題は、問題数こそ少ないものの、一問一問が非常に重い。
そして、誘導がほとんどありません。
つまり、「どう解くか」は完全に受験生に委ねられています。
私の分析では、京大が重視しているのは、③多角的視点力、④統合力、⑥表現力です。
つまり、深く理解し、視点を展開し、統合して論述する能力――これが京大の定義する「頭の良さ」なのではないでしょうか。
たとえば京大英語では、「blandly」という見慣れない単語が平気で出てきます。
単語帳に載っていないような単語でも、文脈から意味を推測し、「気安く」ではなく「深刻さをぼかすように」といった踏み込んだ訳語を考え出す力が求められます。
単格の暗記ではなく、言葉の背後にある思想まで読み取る深さが試されているように思います。
このように、東大と京大のアプローチは対照的です。
東大は「思考の速さ」を問い、京大は「思考の深さ」を問う。
東大は「大量情報→処理→結論→短時間で答案化」という流れを重視し、京大は「深い理解→視点の展開統合→論述」という流れを重視する。
しかし、両者が求めているものの本質は同じではないか――それは、複合的にいろんなものを使って、最後まで粘って考える能力なのだと、私は考えています。
「でも、自分は東大も京大も受験しないし、関係ないのでは?」
そう思われる方もいるかもしれません。
しかし、私が大学に入ってから、そして社会に出てから実感したのは、複合的思考力は、大学入試だけで必要な力ではないということです。
ビジネスでも、日常生活でも、この力は確実に役立ちます。
たとえば、ビジネスの現場を想像してください。
複雑なプロジェクトを進める際、あなたは大量の情報を整理し(②)、関係者の意見を多角的に検討し(③)それらを統合して1つの提案にまとめ(④)、限られた時間内で優先順位を判断し(⑤)、経営陣にわかりやすくプレゼンする(⑥)必要があります。
これはまさに、東大・京大の入試で問われている「複合的思考力」そのものなのではないでしょうか。
あるいは、日常生活で何かを選択する場面を考えてみてください。
転職すべきか、家を買うべきか、子どもの教育方針をどうするか――こうした問題に「正解」はありません。
しかし、情報を整理し、多角的に検討し、自分なりの結論を導き出す力があれば、納得のいく選択ができるはずです。
本書を読むことで、あなたは「日本最高峰の知性が、どのように問題を捉え、どのように思考しているのか」を疑似体験できます。
そして、その思考法を自分のものにすることで、仕事や人生のあらゆる場面で応用できる「考える力」を手に入れることができるのではないか―私はそう考えています。
株式会社カルペ・ディエム
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