お子さんの “急激な成長”に「あれ?」と思ったら……――思春期早発症になりやすい子とは
子どもの身体に、何が起きている!?実際に、子どもの思春期早発症と向き合った、保護者のリアルボイスも多数収録。思春期早発症の症状&治療がわかる。ひと足早く二次性徴を迎えた子どもに寄り添い小さな「あれ?」を見逃さないために。思春期早発症の子の父でもあるふらいと先生が監修。
発達/発育
思春期早発症、つまり子どもが通常期待される年齢よりも早く思春期に入る状態についての一冊です。お子さんと家族のための「思春期早発症」の基礎知識や役立つ情報を専門医監修で分かりやすく解説します。
今西洋介監修の『うちの子、発育が早いかな?と思ったら読む本 思春期早発症の受診・治療・対策』から一部転載・編集してお届けいたします。
思春期早発症になりやすい子とは
思春期早発症は統計上、5千人から1万人に1人の発症率とされています。
しかし実際には、それより多いと見込まれています。
症状がありながら特に困ったことはなく、それゆえ病院で診てもらうこともなく、早くはじまった思春期をそのまま終える人が少なからずいるからです。
そうした人たちは統計には現れません。
近年、思春期早発症の子どもの数が増えているといわれますが、親御さんたちがSNSなどをとおして発信するようになり、情報が増えたので、別の親御さんが「うちの子も、もしかして」と気づきやすくなったという可能性が考えられるでしょう。
なぜ思春期早発症になるのか。これはまだ一部を除いて解明されていません。
食生活の変化や化学物質が影響しているといわれることもありますが、いまのところ因果関係は認められていないのです。
ただ、思春期早発症になりやすい要因と考えられているものは、いくつかあります。
ひとつは、遺伝学的要因です。思春期早発症の問診では、同行した親御さんに自身の思春期の開始期間を尋ねることが多く、「早かった」と返ってくるのが、ひとつの典型です。
女性の親御さんは初経の時期を何歳何ヵ月とはっきり覚えている人も多く、思春期のはじまりがだいたい推察できます。
男性の親御さんには、「いちばん身長が伸びたのはいつか」──つまり成長スパートの時期を思い出してもらいます。
親御さんの成長曲線が残っている場合、お子さんのそれと見比べると、とてもよく似ているということもめずらしくありません。
病院によっては、祖父母にまでさかのぼって聞かれることもあります。
この世代になると、思春期について思い出してもらうのはむずかしいかもしれませんが、祖父母の身長がわかるだけでもヒントになります。
思春期早発症の治療が一般的でない時代ですから、最終身長が平均よりかなり低い可能性があります。
ここまで読めばもうおわかりだと思いますが、きょうだいそろって思春期早発症と診断されるのも、よくあることです。
上のお子さんが数年間通院し、ちょうど治療を終えるぐらいのタイミングで、下のお子さんに同じ診断が出て治療をスタートする、というケースもあるほどです。
●女の子に見られる傾向
思春期早発症になりやすい要因のふたつめは、女の子の肥満です。
脂肪細胞で女性ホルモンが産生されることや、レプチン──体脂肪が増えると分泌され、脳の視床下部を刺激して思春期スタートに影響を与えるホルモンの働きが指摘されています。
男の子については、肥満との影響はあきらかではありません。
ただし、これはあくまで傾向であって、肥満の子が「必ずそうなる」というものでないことは、覚えておく必要があります。
余談になりますが、インターネットなどを中心に、「低体重で生まれると早熟になる」といった言説があります。
完全に的外れとはいえませんが、あくまで傾向でしかありません。
おそらく、SGAのお子さんのことを言っているのでしょう。
SGA (Small for Gestational Age)とは在胎不当過小──「週数に比して小さい子」という意味です。
仮に40週0日で生まれた赤ちゃんを日本中から集めてきて、小さい子から大きい子まで順番に並べたときに、ある基準以下の赤ちゃんをSGAと呼びます。
そうした子は、思春期が早めだという報告があります。
しかし出生時に小さくても、約9割が3歳ごろまでに周囲に追いつきます。
約1割は追いつかないまま成長し、小柄なまま思春期を迎えます。
そうすると結果として、最終身長が低くなりやすいという理屈です。
病気ではありませんが、十分に身長が伸びないまま思春期がはじまるという意味で、思春期早発症と似ています。
ただ別ものではあるので、「低身長思春期発来」といいます。
●思春期早発症の予防は可能か?
思春期早発症は未然に防げるのか。
これは多くの親御さんが考えることでしょう。
この質問に対する答えは、「できない」です。
というのも、思春期早発症かどうかは、思春期がはじまらないうちは、わかりようがないものだからです。
それよりも、胸のふくらみや、陰毛の出現といった、平均より早い変化をキャッチしたら、早めの受診を検討するのがいいでしょう。
ふらいと先生。小児科医・新生児科医。日本小児科学会専門医/日本周産期・新生児医学会新生児専門医。医学博士(公衆衛生学)。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。小児公衆衛生学者
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