お子さんの “急激な成長”に「あれ?」と思ったら……――本人の気づきと、周囲の「あれ?」
子どもの身体に、何が起きている!?実際に、子どもの思春期早発症と向き合った、保護者のリアルボイスも多数収録。思春期早発症の症状&治療がわかる。ひと足早く二次性徴を迎えた子どもに寄り添い小さな「あれ?」を見逃さないために。思春期早発症の子の父でもあるふらいと先生が監修。
発達/発育
思春期早発症、つまり子どもが通常期待される年齢よりも早く思春期に入る状態についての一冊です。お子さんと家族のための「思春期早発症」の基礎知識や役立つ情報を専門医監修で分かりやすく解説します。
今西洋介監修の『うちの子、発育が早いかな?と思ったら読む本 思春期早発症の受診・治療・対策』から一部転載・編集してお届けいたします。
本人の気づきと、周囲の「あれ?」
思春期早発症は、「あれ?」という違和感を機に見つかることが多いです。
具合が見るからに悪くなるような病気ではありません。
通常、子どもに何らかの症状が出れば、親御さんはできるだけ早く病院に連れていこうとするでしょう。
思春期早発症も、早期発見が望ましいことに変わりはありません。
しかし、それがなかなかできないところに、この病気の悩ましさがあります。
「あれ?」のきっかけはそれぞれですが、女の子は自分で身体の異変に気づくケースがめずらしくありません。
胸がふくらみはじめるとき若干の痛みが出ることがあるので、それを知らされた親御さんが、「この年齢で?」と調べたり、病院に相談したりします。
お風呂や着替えのときに、親御さんが胸のふくらみに気づくことも、当然あります。
また、早くに月経がはじまって、すでに思春期に入っていることを知るというケースもあります。
女の子の思春期は、ある意味わかりやすいのです。
男の子の思春期は、精巣が大きくなるところからはじまりますが、これはよほど意識していないかぎり、目で見ても手で触れてもわからないものです。
思春期早発症の発生は、男の子と女の子で比率が1対8とわかっています。
しかし実際のところ、男の子にめずらしい病気というわけではないでしょう。
女の子には胸のふくらみや初経といった、はっきりとした現象が起きるけれど、男の子にはそれがない。ゆえに受診に結びつきにくく、統計などに表れにくいのではないかと考えられています。
つまり男の子の思春期早発症は、本人にとっても親御さんにとっても、より気づきにくいのです。
親御さん以外には、ひさしぶりに会った祖父母が一緒にお風呂に入ったときなどに「あれ?」となったのがきっかけ、というのもよく聞く話です。
生活をともにしていない人のほうが、変化を察知しやすいということはあるでしょう。
それから、学校の身体測定で身長の伸びに顕著な変化があると指摘され、病院の受診を勧められることもあります。
●早い成長は心配されにくい
もうひとつ、違和感があったからといってすぐに「病気かも」となるわけではないところにも、思春期早発症のむずかしさがあります。
子どもの成長は多くの場合、歓迎されるものです。
思春期には、〈成長スパート〉といって身長がぐっと伸びる時期があります。
子どもがグングン成長していく姿を見て、「大きくなったね」「これからどんどん伸びるなぁ!」と声をかける大人も多いでしょう。
それが通常の伸びる時期より早くても、思春期早発症のことを知らなければ、「こんなに成長して心配だ」と受け取ることはまずありません。
胸がふくらんだり、陰毛が生えたりといった、ほかの二次性徴のはじまりについても同様です。
どこかから「最近の子は成長が早い」「個人差がある」と聞けば、「そういうものか」と思うでしょう。
なかには、早すぎるのではないかと心配になって受診した病院で、医師からそう言われることもあるようです。
子どもを気にかける大人が多いほど、「あれ?」の機会は増えます。
しかし、予備知識がないと目に入ってこない、入っても違和感につながらないものです。
思春期早発症の子を育てる親御さんのなかには、「もっとよく見ていれば、早く気づけたのに」と自分を責める方もいらっしゃいますが、思春期は「これからはじまります!」とはっきりしたスタート地点があるわけではなく、とても静かにはじまります。
通常の思春期も、ある程度進んでから本人もまわりも気づきます。
ですから、「もっと見ていれば」と気に病む必要はありません。気づいたときから、対策を考えていきましょう。
2〜3年早くはじまる二次性徴
思春期とは、成長におけるひとつの過程です。
大人の身体へと変化する時期で、基本的にすべての人に訪れます。
ご自身の子どものころをふり返ってみてください。
女性なら胸がふくらみ、陰毛やわき毛が生え、初経が訪れたことを覚えているでしょう。
男性も同じく陰毛やわき毛が生え、そして声変わりした記憶があるはずです。
そうやって、それぞれ女性らしい、男性らしい身体へと成長してきました。
平均すると、女の子は10歳ごろ、男の子は12歳ごろからはじまります。
では、思春期早発症とは? シンプルに説明すると、「そうした思春期の変化が、平均よりも2〜3年ほど早くはじまる」ことです。
診断が出たあと「うちの子は病気なのですか?」と質問する親御さんは多いです。
本書でも便宜上“病気”と書きますが、“体質”といったほうが近いかもしれません。
その多くは、命にかかわるものではありません。
苦痛をともなうこともありません。
ただ「早い」のです。
ですが、身体の変化が早いからといって、知的な発達や精神的な成熟が早いわけではありません。
考える力や感情の育ち、社会性といった面は、あくまで年齢相応です。
月経への対応や、お友だちとの違いからくる精神的負担、そして生活上の困りごとが発生しやすい状況であることから、治療をして思春期の進行を一時的に止めておくという選択肢があります。
●症状が2つあれば病院へ
病院で診断基準のひとつとなっているのが、〈図1〉に示した症状です。
このうち2項目に当てはまっていれば、詳しい検査を待たずに診断が出ることもあります。
ただ、骨の成長などで思春期の進み具合を確認するため、原因をあきらかにしたほうがいい場合があるため、各種検査は必ずします。
お子さんに症状があると気づいたら、早めの受診をおすすめします。
ふらいと先生。小児科医・新生児科医。日本小児科学会専門医/日本周産期・新生児医学会新生児専門医。医学博士(公衆衛生学)。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。小児公衆衛生学者
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