お子さんの “急激な成長”に「あれ?」と思ったら……――女の子と男の子、それぞれの思春期
子どもの身体に、何が起きている!?実際に、子どもの思春期早発症と向き合った、保護者のリアルボイスも多数収録。思春期早発症の症状&治療がわかる。ひと足早く二次性徴を迎えた子どもに寄り添い小さな「あれ?」を見逃さないために。思春期早発症の子の父でもあるふらいと先生が監修。
発達/発育
思春期早発症、つまり子どもが通常期待される年齢よりも早く思春期に入る状態についての一冊です。お子さんと家族のための「思春期早発症」の基礎知識や役立つ情報を専門医監修で分かりやすく解説します。
今西洋介監修の『うちの子、発育が早いかな?と思ったら読む本 思春期早発症の受診・治療・対策』から一部転載・編集してお届けいたします。
女の子と男の子、それぞれの思春期
思春期には、発達の順番があります。
〈図2〉にあるとおり、女の子はまず、胸のふくらみ、つまり乳房と乳頭の発達からはじまります。
その後、陰毛が生えはじめます。
お子さんが9歳、10歳ぐらいになるとそれとなく気にかけ、下着などを準備するご家庭は多いですが、わずか7歳での変化は想定していないでしょう。
胸は段階的にふくらんでいき、やがて陰毛が出現します。
その後、しばらくしてから初経が訪れます。女の子の成長において象徴的な出来事ですから、初経が思春期のスタートのようにとらえられがちですが、実際にはその前に乳房の発達や陰毛の出現があります。
つまり、思春期が進んだ結果、初経が訪れたと理解するほうが正しいのです。
通常は、前の段階を飛ばしていきなり月経がはじまるようなことはありません。
ただ現れ方や程度はそれぞれで、乳房のふくらみがほとんど目立たず、陰毛も薄いまま、初経を迎える子もいるため、そう見えることはあるでしょう。
次に、男の子です。〈図3〉を見てください。
最初に起きる変化は精巣が大きくなることです。生まれたときの精巣容積は約2mlで、それが約4mlになったところが思春期のスタートとされます。その後も約10mlを超えて成長していき、思春期が終わると、身体は成長しても精巣のサイズはほぼ変わらなくなります。
ただ外見からはわかりにくいので、本人や身近な大人が変化に気づくのは、精巣を包んでいる陰囊が赤みをおびつつ大きくなりはじめ、陰毛が生え、陰茎の発達が進んでからでしょう。
その後、ひげが出現し、声変わりがはじまるという順番です。
〈図2〉〈図3〉と、〈図1〉を照らし合わせると、思春期早発症の診断基準は、通常の発達段階と比べると2〜3年前倒しになっていることがわかるでしょう。
思春期早発症とは、通常の思春期と違う現象が起きたり、特別な現象があったりするわけではなく、くり返しになりますが、ただ「早い」のです。
身長の伸びが急に大きくなるとき
グラフにはもうひとつ、身長の伸び率が示されています。
思春期=「身長がぐっと伸びる」というイメージは、多くの人が共通してもっているでしょう。
なかでも1年間に5〜10㎝と著しい伸びを見せることを、成長スパートと呼びます。
子どもが成長する過程で、身長の大きな入れ替わり──小さかった子が急に伸びて大きな子を抜かし、次はその子が伸びてほかの子を追い抜くという現象は、二度起きます。
最初は生まれて間もなくから3歳ぐらいまでの時期で、次が思春期です。
そのあいだは伸び方が一定しており、背が高い子は高い子なりの、低い子は低い子なりの伸び方をします。
学校などで背の順に並ぶ機会があると思いますが、2、3歳から思春期が開始するまでの期間は、その順がダイナミックに入れ替わることはあまりないのです。
思春期で入れ替わりが起きるのは、はじまる時期に個人差があるからです。
思春期早発症の子どもを育てる親御さんのなかには、「急に身長が伸びた時期があって、本人も喜んでいたのですが・・・・・・」とお話しされる方が多いです。
まわりの子を追い抜く勢いで伸びていた。
すでに成長スパートの真っ只中だったのですが、それが思春期早発症だとは知る由もなかったという後悔が大きいのでしょう。
逆に、思春期が遅くはじまるお子さんもいます。
その場合は、まわりが伸びているときに伸びが小さいため、一時的に成長が止まっているように見えます。
ほとんどの場合、あとになって大きく伸びますが、それがいつくるかわからないので、不安が募ります。
●いつ伸びるかが、最終身長に影響
成長スパートとは単に身長が高くなることではなく、「伸び方が大きくなる」ことです。
もとの身長が高めでも低めでも、成長スパートは起こります。
一定の身長に達したらはじまるものではなく、その子なりのタイミングがあります。
気になるのは、思春期がはじまった時点で身長がどこまで伸びているかということです。
というのも、〈図2〉〈図3〉にあるとおり、成長スパートがピークに達したあと、今度は伸びが急速に小さくなり、2、3年もすればほぼ伸びなくなります。
そして最終的に伸びが止まると、「最終身長に達した」といいます。
思春期スタートの時期が平均より早くとも、その時点ですでに身長が高めであれば、結果として最終身長は十分なものになるでしょう。
実際、幼少期から体格がよく背の高い子ほど、思春期が早めの傾向があります。
成長スパートが起きると、まわりの子から頭ひとつ飛び抜けて大きくなり、これは最終身長も相当高くなると思われがちですが、たいていは次第に伸びが落ち着きます。
今度はまわりの子の成長スパートがはじまり、身長が追いつき、場合によっては追い越します。
では、身長が低めで成長スパートが起きた場合は?
思春期早発症では、身長がとても気にされます。
身長が十分に伸びていない年齢で思春期がはじまる──たとえば、ある男の子が130㎝の時点で成長スパートが起きたとします。
思春期での男子の身長の増加量は25㎝前後と言われますから、大きく見積もっても最終身長は160㎝に届かないと予想されます。
いつ、身体がどんな状態で思春期がはじまるかを重視するのは、このためです。
子どもの身長の伸びは、見た目の印象や衣類のサイズアウトなど、生活のなかで気づきやすいものではありますが、思春期早発症の診断や治療において、正確な記録に勝るものはありません。
学校の身体測定の結果を、〈成長曲線〉としてきちんと記録しておくと、後々さまざまに役立ちます。
ふらいと先生。小児科医・新生児科医。日本小児科学会専門医/日本周産期・新生児医学会新生児専門医。医学博士(公衆衛生学)。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。小児公衆衛生学者
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